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間奏
重たい。
冷たい。
暗い。
痛い。
苦しい。
淋しい。
何かが圧し掛かってくるような感覚と、何かが自分を纏っているような感覚がする。何かに包み込まれて、ゆっくりと落下していくような、そんな不思議な感覚がする。
手を伸ばしてみようにも、あるはずの手は無く、動くことすらできない。ただ、時の移ろい行くままに、いずこへかと沈んでいくしかなかった。
不意に、視界が開ける。目に入ってくるのは、上へ上へと上がっていく数々の気泡。ゆらゆらと揺らめく視界は、どことなく水の中を連想させた。
遠くの方に人影が見える。それは音も無く近付いてきて、柔和な笑みを浮かべた。
「大丈夫。あなたは、救われる」
彼は物語に出てくる、王子様のようだった。流れるようなブロンドの髪に、きらきらと輝く虹色の瞳。右手を差し出してくるその様は、気品が溢れに溢れ返っていた。
自分は差し出せないはずの手を差し出した。彼がそれを握ると、確かに触れられたような感覚を覚えた。彼は聖人のように微笑み続け、彼方を指さしてみせる。
「さぁ、あちらへ」
言われるままについて行く。
途端に視界が開け、それは意識を手放した。
これにて第一章完結です。
次から。次から漸くファンタジックワールドに舞台が移ります(*´ω`*)




