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白銀 温もりを感じる

村に着くとルーの母親が私を迎えてくれた。

「まあ、お美しい方…ルーの母親のテユ・サムサラです。この度は娘を救って頂き本当にありがとうございます」

ルーに似ているが強さを内包しているのが感じられた。

「いや、偶々通りかかっただけだ…気にしないでくれ」

「そういうは訳には、いきませんわ。お礼をさせてくださいまし」

「有難く頂こう…私は咲神至だ、よろしく」

断っても面倒が増えるだけだ。


「お姉ちゃん、サカガミ・イタル?って言うんだ!」

こっちだと名前は先に言うんだったかな?

「いや、至でいい…」

「イタル様ですね?わかりました」

「イタルお姉ちゃんって呼ぶね!」

むず痒さを感じる。

「では、私達の家へご案内させて頂きます」

テユについて行く。


古い木造建築の家に入る。

「こちら、お掛けになって下さい」

「ああ…」

家の中を見回す、特に特別な物はない…避暑地のペンションみたいな感じだな

「朝ご飯はもう食べられましたか?」

「ああ、済んでる。聞きたい事があるのだが…」

「何なりと…」

私はこの世界の事、ここが何処で、どういう人達が居るのか聞いた。

怪しまれない様に名前しか覚えてない、記憶喪失という事にして…


テユから聞いた話は、ここが私が住んでいた場所ではなく、やはり異世界なのだと痛感させられる話だった。

『ココガ、異世界ダト思ウト、興奮シマスネ。テユノ言ッタ通リナラ、冒険ギルドガ存在シテイルトイウ事デスカラ』

『ふぁんたじーだな…魔術もあるなんて』

テユやルーは私が難しい顔をしている所為か距離を取り、考える時間をくれた。

『イエ、マスター。魔術ノ存在ハ、マスターノ世界ニモ、存在シテイマシタヨ?』

ニルヴァーナはトンデモない事を言い始めた。


『嘘だろ?…』

『嘘デハ無イデスヨ。クエーサー粒子ノ名称ハ、私ガ考エタ名称デアッテ、本来ハ魔力ト、呼バレテイマシタ』

『いや、何でわざわざ名称を変えたんだ?魔力でいいだろう』

『私ハ変身ベルト、魔法ノステッキトハ違イマスカラ。魔力ト言ッテシマウト、マスターハ魔法少女トナリマスガ、ソレデ、イイノデスカ?』

言いたい事は何となく分かる。変身ベルトで変身したのが3年前…

その時、私は…15歳だった。

最初に装着した日に、もしニルヴァーナにチカラの源は魔力と言われていたら、私は魔法少女を連想していただろう。


このベルトは使用者のイメージで変身スーツを変化させる。

”至は変身ベルト=変身ヒーローとイメージした”

もしあの場で魔法少女を連想していたら、確実に魔法少女の衣装に身を包んでいただろう。

魔法少女☆ニルヴァーナ…

想像するだけで、死にたくなる…

『良かったよ、変身ヒーローで…汗』

18歳になっても魔法少女の格好をするのはキツイからな。

いや、変身ヒーローってのもキツイモノがあるかもしれんが、魔法少女よりマシだ。

『最初ノイメージハ大切デスカラ、変身ノ設定変更ハ不可能デスシ。

私好ミノ、変身スーツデ良カッタデス。ソノ点ニオイテ、マスターノセンスノ良サニ感謝シテイマス』


そういえば、私の存在を政府が世間に公表した時。”正義の味方としての公表”

其れに便乗して変身した姿をオモチャメーカーが販売していたのを思い出した。

かなり売れたと聞いていたが、私には一銭も入らなかった…

『ソウ言エバ、マスターハアイドルモサセラレテイマシタネ。クスクス』

思い出せば、殺意が沸く。

ミスコン世界大会に政府は、私の許可を得ず勝手に応募。

”政府は至がニルヴァーナの正体だと知っている”

当然、私が出場する訳がなく…

大会委員の計らいか、政府が送り付けた水着写真(スクール水着)や一般生活の動画を会場で映像として流すというミスコン世界大会、前代未聞の珍事が起き、その所為かそのまま優勝してしまった時は唖然とした。


優勝が決まったと同時に、政府は私が正義の味方ニルヴァーナの正体だと世界に公表

それで世界を騒がせたばかりかその際、政府から広告塔になってくれと言われ、その時の私は彼等に信頼を寄せていたので断る事が出来ず…

嫌々、アイドルの真似事していたのだ。

『マスターハ、見タ目”ダケ”ハ、圧倒的デスカラネー』

『だけを強調するな!』

腹立たしい事を思い出させくれる…


『しかし魔術か…私にも使えると思うか?』

『マスターハ既二、魔術ヲ使ッテイル様ナ、モノデショウ?』

変身後の超人的な動きの事を言っているのか?

『何というか、もっとふぁんたじーな感じだよ。火を出したりとか…』

『雷霆・ケラウノスガ、アルデハナイデスカ?』

あれか…ニルヴァーナに言われ、使って見たわいいが、当てた敵ごと山が更地になったので使用禁止にしたやつか…

『アレハ、胸ガ熱クナリマシタネ…思イ出スダケデモ、シビレマス』

”雷霆・ケラウノス 技説明

超高高度まで飛び上がり、上空から敵に目掛け飛来する…その最中、クエーサー粒子を右足に高濃度圧縮(この時、キックモーション)、其れをそのまま敵にぶつける技だ。(キックモーションから縦に1回転し踵落としする。何故踵落としなのかは不明)

天から落ちる雷の様なので雷霆・ケラウノスとニルヴァーナが名付けた。”


『ソウデスネ。マタ新シイ技ヲ考エテイルノデ、次ノ戦闘アタリデ実践シテミマショウ』

物騒な技でなければいいが…


「あの…イタル様?夕食はどうしますか?」

ん?いかん、いかん…ニルヴァーナと話している間に夕方か。

「頂こう…」

お腹が空いた、朝に食べたのは魚一匹だったしな。

「いただきます」

手を合わせ食事をする



「ごちそうさまでした」

「イタルお姉ちゃん!美味しかった?」

ルーが味を聞いてくる。

「…」

コクリと頷き同意する。

美味しかった。

久々に食べる家庭の味に、食欲がすすんだ。

テユが私の食いっぷりをサポートするかの様に、おかわりをよそってくれるから、つい食べ過ぎてしまった。


洗いモノを洗うテユやそれを手伝うルーを、ボーッとしながら見る。

眠いな…最近、生きている実感を感じると思う至だった。

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