法の番人
その人物は法の番人。
下手人を睥睨して、裁きを与える。
しかし、その職を辞するきっかけとなった、その男は、
まだ少年と言っても過言ではないほど、首筋の青い男は、
まるで子犬の様に上目使いで、法の番人を見上げてきた。
媚びているとも、挑戦しているともつかない不思議な目つき。
その人物はここに立っていることができなくなった。
法の番人でいられなくなった。
そこに立っていられなくなったのは、強い視線の持ち主を自分を重ね合わせてしまったからだ。
法の番人はただひとり、裁けない人間がこの世にいた。
それはその人物、自身。
その人物は階段を下りた。