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パワーオブマジック  作者: レンシン
8/13

自己紹介しました。

入学式が終わり、1-A教室。

そこでは最初のホームルーム活動としてそれぞれ自己紹介をすることになった。

廊下側からスタートし、このクラスはだいたい60~70人。

どんだけ絞ってんだ。

まあ、いいや。俺の自己紹介なんてまだまだ先だ。


『──────です。得意魔法は────』


そんな声が耳に入ってくる。

そうだな。名前と得意魔法だけでいいか。

……いや、得意魔法なかったわ。

そんなことを考えていると、やたら偉そうな声が聞こえてきた。


「よく聞け、下民ども!俺はフリード・ミルド・ガイウス!第七位貴族のガイウス家の長男だ!俺と同じクラスであることを光栄に思うがいい!得意魔法は雷魔法!試験の魔力上限は15400だ!」


そして俺に「ドヤァ」って感じの目線を向けてくる。

うるせえ。なんだガイウス家って、知らんわ。

めんどくさそうなので目を逸らす。

フリードは鼻を鳴らして席についた。

するとカズマが小声で話しかけてくる。


「いやー、貴族の息子とはねー、驚いたわ」

「なんなのあいつ?」

「お前ホント何も知らねえのな。ここじゃこの国での地位も魔力の大きさで決まんの。あいつの家はこの国じゃ上から7番目ってことだな」

「ふーん」

「どんだけ興味ないんだよ、お前」


カズマに苦笑された。

失敬な。なにも知らないだけだ。


『おい、カズマ・フェルト!お前の番だぞ!』

「げっ、やばっ」


先生に促され、カズマが急いで立ち上がる。

ドンマイ。


「えーと、俺はカズマ・フェルト。得意魔法は補助魔法と治癒魔法。魔力上限は9800。よろしくな!」


聞いただけでわかるすげーサポート特化なのな。

カズマの得意魔法。


「ほら、お前の番だぞ。ちゃんと魔力上限まで言えよ。主席の上限は気になるからな」

「…………わかったよ」


カズマに促され起立する。

視線が俺に集まる。やばい、胃がキリキリする。


「俺はユート・ステラ。得意魔法はない────」


『『『嘘つけ!』』』


ホントだわ。なにも使えないわ。

入学式のはモモの指示だわ。


『みんな、静かにしろ。ユート・ステラ。続きを』

「えー」


まだ言うの?別に上限とかどうでもいいだろ。


「はぁ……試験の魔力上限は機械を壊して上限測定不能。まぁ、よろしく」


そう言って俺は席に着く。

当然教室はざわつく。


『上限測定不能?機械壊すって……』

『いやいや、さすがに嘘だろ』

『でも、嘘つく意味あるかな……?』


こんな声がところどころで聞こえる。

ただ、そんなことはまだ可愛いほう。

さっきの貴族様の驚いた顔に困る。絶対めんどくさいわ。


「お前すごいな、ユート!」

「おう、サンキュー」

「これならあの生徒会長の攻撃返せるわけだ!」

「ああ、そっか。地位も魔力で決めるんだもんな」

「そう。生徒会長はこの学校で最強の証拠なんだぜ!こりゃ、お前がそうなる日も近いな!」

「えー」


生徒会長なんて絶対めんどくさい。

だって校長に会う機会が絶対に増える。

つまり生徒会長になったら、俺は校長のオモチャ決定。

それはイヤだ。

今は校長が来ないからいいんだ。俺の安息の場所は教室とこれから行く寮の部屋。いいじゃないか。


『では、みんなの自己紹介が終わったところで担任を紹介する』


教壇に立っていた先生がそんなことを言う。

は?あなたじゃないの?

すると教室の扉が勢いよく開かれた。

そこにいたのは──────


「はい、私が1-A担任兼校長のミリア・カルヴァンスよ」


さようなら、俺の安息の地その1、教室。

周りのやつらは盛り上がるが、俺はみんなが盛り上がるだけ落ち込む。

ツライ……教室でもオモチャなんて……


「なに落ち込んでんだよ、ユート!すげえことじゃん!」

「俺には俺の事情があるんだよ……」


ため息をついて机に突っ伏した。

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