転生しました。
目が覚めると、見たことのない天井。
女神が転生とか言ってたし、ここは日本でも地球でもないのだろう。
そして自分の体を見る。
高校生だった元の俺の体と比べても、あまり大差ない。
つまり高校くらいだろうか。
しばらくすると、結構綺麗な女性が入ってきた。
「あら、ユート。起きたのね」
「えっと……」
とりあえず俺の名前が「ユート」か?
奇跡的に変わってなくてよかった……
で、この女の人は……
なにも言えずにいるとその女性に抱きしめられた。何事!?
「ユート、無事でよかった。お母さん心配したのよ?」
「おかあ……さん?」
どうやら母親らしい。
しかし俺には実感がない。
「ここは?」
「ここ?ここはミドガルの国立病院よ?」
ミドガルってどこだよ。
そんな言葉を飲み込みつつ、母親という女性に視線を向ける。
「やっぱりいろんなこと忘れてるのね……車に轢かれたし」
この体よく生きてるなって思った。
女性は俺のことを悩んでいるようだ。
しばらくすると、なにかを決めたのかこちらを見る。
「体はなんともないのよね?」
「まあ、はい」
「じゃあ、帰りましょう?」
「え」
いいの!?さっきの話聞くにここ病院でしょ!?
「いいの?」
「いいのよ」
俺は母親という女性に連れられて病院らしき建物を出た。
そして、まもなく家らしき建物に着いた。
今頃病院じゃ、患者が消えて大混乱だろう。
「大丈夫ですよ、私の力で記憶を消しましたから」
「その声……女神か」
「はい」
その声は母親から聞こえる。
たぶん母親に取り憑いた感じなんだろうな。
「まあ、いいや。ここはどこなんだ?」
「ここは魔法がすべての優劣を決める世界ガルガンディア、その中の一国ミドガルです。今のあなたはミドガルの魔法学校の試験を受けに行く途中で車に轢かれた、『ユート・ステラ』です」
「ふーん……って試験!?」
それは不合格になるのではないか!?
どんなによくわからん場所にきてもいきなり不合格とかいやだ。
「事情を説明して、これから受けにいくことになってます」
「そ、そうか、よかった……」
「今後私は滅多に干渉できませんけど、もしものためにフェアリーを残していきますね、それでは」
俺の右肩に蝶みたいなのをのせて、女神は消えた……っぽい。
すぐに母親が目を覚ました。
「あら?私なにやって……それより、ユート、試験にいかないと!」
「ああ、そっか」
そんなこと女神が説明してくれてたな。
ならとっとと行こう。
俺は母親の車に乗り込み、急いで魔法学校の試験会場に向かった。