それぞれの部屋にて。2
(マリー視点)
ユートくんと別れ、女子寮の部屋へと向かう。
今日のことを思い返しながら、私は少し恥ずかしくなっていた。
「うぅ…まさか無意識に男性の腕を掴んだいたなんて…ユートくんに嫌がられてないかしら…」
さすがにあれはない。
初対面だし、あんなことしたら引かれてるかも…
部屋に入ってため息が出てしまった。
「はぁ…………」
「相変わらず会長どのは大変そうだねぇ」
声が聞こえたので、顔を上げるとそこには私のルームメイトで副会長のカオル・フェルトがいた。
綺麗な茶色のロングで中性的な顔立ち、誰とでも仲良くでき、飄々とした性格の彼女とは昨年からいい友人で、生徒会の全体の補佐もしっかりこなしてくれている。
「期待の新人くんとなにかあったのかい?」
「うぅ……カオルぅ~!」
「おっとー、こりゃ重症だね」
カオルに抱き着き慰めてもらった。
落ち着いたところで今日のことを説明した。
「たしかにマリーにしちゃ珍しいね。その子そんなに魅力的なのかい?」
「うん、魔力量とかそういうのとは違って楽しい子よ」
「一目惚れなんじゃないかい?」
「…………………………ええっ!?」
カオルからさらりと唐突にそんな言葉が出てきて驚いてしまった。
「わわわわわかんないよ!まだ恋愛なんてしたことないし……」
「ハハハ、相変わらずからかうと可愛いねえマリーは」
「か、からかわないでー!」
「まあ、とりあえずそんなんじゃ明日のお迎えは無理だろう?私が行くよ」
「でも、カオルに悪いよ…」
「いーや、私も不肖の弟に会いに行く予定があるんでね。そのついでに迎えに行ってくるよ」
そういえば、ユートくんと同じクラスにカオルの弟くんいるんだっけ。
カオルと一緒でなんか誰とでも仲良くなれそう。
「じゃあ、カオルにお願いするね、ありがとう」
「いーえ、どういたしましてー。そんじゃそろそろ寝ようか?寝不足はお肌の大敵だからねー?」
「そうだね、おやすみカオル」
カオルのおかげでゆっくり眠りにつけそう……。
……………………あれ?この件に関してはうやむやになってないかな?
そんなこと考えている間に私は眠りに落ちていった。