それぞれの部屋にて。1
(ユート視点)
マリー会長と別れ、部屋の前に着いた。
「一応ノックしとくか」
(コンコンコン)『あいよー』
返事とともに部屋の扉が開いてカズマが顔を出した。
「おおー、ユートおかえり!」
「おう、今戻った」
「なにノックなんかして遠慮してんだよ、ここはお前の部屋でもあるんだぜ?」
「まあ、なんとなく?」
そう、なんとなくだ。なんとなく。
部屋に入って荷解きをしながら、カズマが興味津々だったので、呼ばれてからのことを話した。隠すなとか言われてないしな!
「へぇ、ってことはお前明日から生徒会役員なのか!やっぱすっげえのなお前!」
「いやいや、そんなことないって」
「そんなことあるだろ!貴族のやつ…フリードだって驚いてたじゃないか!」
貴族様の名前そんなんだっけ?
ん?もしかしてこいつ……
「1つ質問よろしい?」
「ん?なんだ?」
「カズマってもしかして、クラス全員の名前覚えてる?」
「おう、覚えてるけど?」
「すっげえな!」
いや、すげえよ、こいつ!
あのダラダラ長くて俺は塵ほども覚えてないけど、こいつは全員分しっかり聞いてたなんて!
「んなことねーよ、普通だろ?」
「俺覚えてねーもん!」
「自慢になんねーよ」
カズマと他愛ない話をしてる間に荷解きは終わり、消灯ギリギリまで話は続いた。
同年代でここまで気が合うやつも久しぶりだ。
この出会いは大事にしよう、絶対いいことある、うん。
「さって、そろそろいい時間だし寝ようぜ。明日も早いしな」
「もうそんな時間なのか。そうだな、また校長に呼ばれたりとかしたら面倒だし」
「はは、相変わらず校長苦手だなあ」
「カズマも俺の立場になればわかるよ」
最後にそう笑い合って俺もカズマも眠りについた。
モモも空気を読んだのか、今日は出てこなかった。いいとこあるじゃん。