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923 仲間たちの力


 鋼狼たちによって周囲の抗魔が蹂躙され、露払いは完璧である。


 このチャンスを逃すフランではなかった。


「このまま! 抗魔のボスを倒す!」

『そうだな! でも、油断するなよ!』

「だいじょぶ!」


 そう叫んだフランはさらに速度を上げた。そして、より強い存在感が放たれる方へと向かって、走り出す。


「たぁぁぁぁ!」


 フランと俺が放つ雷が進路上の抗魔を倒し、空いたスペースを抗魔が埋める前に、フランが駆けこんで再び俺を振る。


 そうやって邪魔な抗魔を始末しながら、フランは一気に抗魔の指揮官個体へと迫っていた。何万もの抗魔の防壁を、僅か数秒で突き破ったのだ。


 神獣化、恐るべし。だが、ここからが真の戦いと言っても過言ではないだろう。


「ガロロロオォォ!」

「グギォォォォ!」

「シャァァアァ!」

「む。強そうなのいた!」

『でも、この数は……!』


 明らかに、他の抗魔とは放つ雰囲気も力も姿も違う、特殊な抗魔がいた。だが、1体だけではない。なんと、5体もの特殊個体がフランを待ち受けていたのだ。


 どいつがこの群れの指揮官だ? それとも、全部? もしくは、もっと強いのがいる? だが、こいつらは明らかに、特別な存在だ。


 今まで戦った抗魔で一番強かったのは、カステルの捻じれ角だ。あれほど強くはないと思うが、その次に強かった赤い竜型の抗魔に比べたら、遥かに強い。


「……全部叩き潰せばいい」


 フランはそう呟き、好戦的な目で指揮官個体と思われる抗魔たちを睨んだ。


『よし! 今の俺達なら、やれる! 全力を出せばな!』

「いつまで神獣化してられるか分からない。やれるうちに、やれるところまでやる!」

『おう! 俺が鋼狼たちを使って分断する。1体ずつ仕留めていくぞ!』

「ん!」


 決して楽な戦いではないが、今の俺たちなら1対5でも戦えるはずだ。だが、俺たちが戦いを挑む前に、この場所に新たな乱入者たちが現れていた。


「私も、戦うわ!」

「俺だって、やりますよ!」

「ガルルルル!」

「はははは! 我も混ぜろ!」


 顔以外の全身が竜化したベルメリア。青い魔力を立ち上らせる、豹の顔をしたゼフメート。黒い闇を纏うウルシ。白い炎を立ち上らせるメア。頼もしい仲間たちだ。


 彼らの強化度は、フランに匹敵していた。水色の鱗を全身に生やしたベルメリアは神竜化状態となっており、まさに王都で暴れたあの時の力を取り戻しているのだろう。


 ゼフメートは頭部が完全に豹と化していた。さらに足の形も限りなく獣に近く、その体には神属性を纏っている。明らかに、通常の覚醒状態ではない。


 鑑定では、聖獣化と表示されていた。十始族以外の獣人の行きつく先は、こちらなのかもしれない。


 敏捷が1500オーバーで、『青豹』というスキルを発現させていた。種族の名前を冠したスキルだ。弱いわけがない。どうやら、全身に豹足のような力を纏うことが可能になったようだ。


 トリッキーな動きと攻撃力に、磨きがかかったということなんだろう。


 ウルシは潜在能力解放状態となっている。潜在能力解放は危険だが、今はソフィたちの歌のお陰で自動回復状態でもある。どうやら、負担は俺たちの使う潜在能力解放よりもかなり軽いらしい。


 自動での生命力減少は、ほとんどないように思えた。これなら、自滅はかなり先だろう。


 ステータスは、敏捷以外はさほど上昇していない。


 だが、『黄昏』という名前の固有スキルを得ていた。どうやら、自身の触れた相手を大幅に弱体化させる、強制デバフ能力であるようだ。


 そして、最も恐ろしい進化を遂げたのは、メアだろう。白獣化という状態になっているのだが、ステータスが軒並み1000を超え、スキルに『神炎』が追加されている。


 全身に纏う白い炎が、神属性を放っており、オートカウンターが凶悪という言葉では足りぬほど、凄まじいことになっていた。


 ほんの一瞬でも触れてしまえば白い神炎が燃え移り、あっというまに全身に燃え広がる。そして、相手が消滅するまで消えないのだ。


「メア凄い」

「ふはははは! そうだろう! だが、我が得た力はこれだけではないぞ!」


 高笑いをあげながら、メアが背中の剣を引き抜いていた。


 そのまま、愛剣を高々と掲げる。


 それは、赤竜リンドの宿った神剣だ。


「もしかして!」

「その通り! 我とリンド、双方が強化されたことで、新たな力への門が開かれた!」


 メアは神剣を横に一振りし、叫んだ。


「竜の王たる赤き暴虐の竜よ! 我が前にその姿を現せ!」


 今この場に、2つ目の神剣が顕現しようとしている。


「リンドヴルム、神剣開放っ!」


 メアの叫びに、暴竜剣・リンドヴルムが応えていた。膨大な魔力が神剣の周囲に渦巻き始める。


 その刃に刻まれた赤い竜の刻印が、猛々しい光を宿す。そして、その光が剣全体を包み込み、強烈な閃光を放った。


「ぐぎゃぁ!」


 ちょ、一番近くにいたメア自身が、目をやられてるんだけど!


「目がっ! 我の目がぁ!」

『ムス〇か!』

「ム〇カ?」

『すまん、なんでもない。ちょっと突っ込まなきゃいけない気がして』


 それにしても、初めての神剣開放で自爆とか! 締まらないな!


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― 新着の感想 ―
メアって ・・・ (苦笑) 無口なフランと良いコンビです! ボケのメアとツッコミのフランって感じかな?
きちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
[気になる点] 獣王なら百獣化とか、しないんかなぁ?
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