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74 深部へ

 3階層からはまたゾンビやスケルトンとの戦いだ。罠も激しさを増しているが、セルカンのお陰でまったく脅威にはならない。


 良いペースだ。消耗も少ないし。


 あとは、ジャンが探している死霊喰らいを見つけたら完璧だな。いや、ダンジョンを攻略できたら1番いいんだけどさ。


『なあ、死霊喰らいって、どんな魔獣なんだ? 外見とかさ』

「ふははは! 分からん!」

『はぁ? だって、捕獲するんだろう?』

「元は普通のゾンビの様な姿と言われているな。だが、他の死霊を喰って進化を続ける故、その姿は一定ではないのだよ。前回、撤退の際に遭遇した死霊喰らいは、巨人の様な姿をしていたがね。今の姿は想像できん」

『その時は、死霊喰らいはどこにいたんだ?』

「ダンジョンの地上部である。我に対する追手として、ダンジョンマスターが召喚したのだろう」

「ジャンでも勝てなかった?」

「うむ。我も死霊術師の端くれ。いつか相見える日を夢想し、対策をいくつも考えていたのだがな。対死霊喰らいを想定して用意していた僕も、結局は死霊喰らいに吸収されてしまった。痛恨であるよ」

『手強そうだな』

「なに、手に入らなければそれでも構わぬよ。どこにいるかも分からんのだ。まあ、元々はダンジョンを攻略するために欲していた。今回君らと共に攻略できてしまえば、必要はなくなる故な」

『じゃ、探さなくてもいいのか?』

「うむ」


 という事で、俺達は特に寄り道することもなく、ただただ最深部目指して前進を続けた。


 ダンジョンに潜って2日後。俺たちは3、4層を踏破し、5、6層を越え、ついに7、8層も攻略する。9層にもなると、出現する魔獣にヘルハウンド・ゾンビやナーガ・スケルトン、スケルトン・ダークパラディンなどの、脅威度Dのモンスターが混ざり始める。


 正直、ジャンの援護がなければ、ここまで到達することは出来なかっただろう。時にはアンデッドを浄化し支配するジャンは、アンデッドダンジョンにおいて、ジョーカーとも言える優位性を持っていた。


 それに、ジャンが持ち込んだアイテムの数々は、様々な場面で役に立ってくれたしな。


 あの髑髏型のランプが、アンデッド除けのセーフティエリアを作る道具だったとは。おかげで夜も安心して休めた。まあ、セーフティーエリアの外をゾンビが「アーアー」言いながらグルグル回ってたのは、ちょっと気持ち悪かったが。相変わらず寝つきの良いフランと、同じくらいグッスリなジャンに、マジで尊敬の念を覚えたね。


 いや、ジャンの方がフランよりも上手だろう。食事中、セーフティエリアを利用して食事をしていると、やはりゾンビが寄ってきたのだが……。フランはちょっと嫌そうな顔で、ゾンビが視界に入らない様に体の向きを変えたのに、ジャンは全く気にならない様子で食事を続けていた。 


 いや、だってゾンビだよ? 動く死体だよ? 腐ってるし、なんか色々垂れてるし。死霊術師だから慣れてるのかもしれないが、さすがにちょっと引いたね。


 あと、ここまでの戦闘で形状変化も試せた。


 槍に斧、短剣などにも姿を変えられるが、正直今の俺たちには無意味なんだよな。まず、消費が大きい。変化中は常に魔力を消費するのだ。しかも、武器スキルは剣しか育ててないし。質量も変わらないので、大きい武器にもなれない。


 なんか、もっと使い方があるんじゃないかと思うんだけど……。これも要研究だな。


『あれが、9階のボス部屋か』


 このダンジョン、内部の作りは迷宮のように複雑だが、階層の最後に必ずボスのいる広間があった。


 すでに何度も見た扉。この先がボス部屋なのは確実だろう。


 オーガ・ゾンビ以降、デッドタイガー・スケルトン、ドラゴノイドゾンビ・セイバー、ナーガ・スケルトン、オルトロス・ゾンビ、キマイラ・スケルトン、エルダーゾンビ・グレータースピアラー、とボスは段々と強くなっていた。8階のエルダーゾンビ・グレータースピアラーなど、魔槍を装備していた上、槍聖術、槍聖技を使う超強敵だったし。


 このダンジョンに入って初めて、フランのHPが半分以下まで削られた。まあ、おかげで槍聖術、槍聖技が手に入ったが。形状変化の槍が日の目を見るかも?


「では、開けるぞ?」

「ん」


 中には、スケルトンが1体だけと分かっている。さて、どんな相手なのか。


『フレア・ブラスト!』

「ヘキサゴナ・トルネイド」

「ヘル・ブレイズ!」

「グルアァ!」


 ここまでの基本戦術、入った直後の魔術飽和攻撃だ。4人が放った魔術が、スケルトンに同時に直撃する。


「む、まだ動くか!」


 と言うか、全然ダメージが入ってない気がするぞ。


種族名:レジェンダリースケルトン・ファイター:死霊:魔獣 Lv24

状態:守護者

HP:1568/1663 MP:988 腕力:637 体力:713 敏捷:436 知力:289 魔力:521 器用:550

スキル

感知妨害:Lv6、剣技:LvMax、剣聖技:Lv1、剣術:LvMax、剣聖術:Lv1、再生:Lv8、自動魔力撃:Lv6、状態異常耐性:Lv9、死霊支配:Lv4、死霊魔術:Lv8、精神異常耐性:Lv9、属性剣:Lv6、毒魔術:Lv6、魔術耐性:Lv9、闇魔術:Lv4、気力操作

エクストラスキル

潜在能力解放

称号

ダンジョンの守護者

装備

魔剣・デスゲイズ、オリハルコンのフルプレート、冥王のマント


 黄金の鎧を身に纏った、真紅のスケルトンがゆっくりと動き出す。凄まじい威圧感を叩きつけてきた。それにこの魔力の巨大さ。文句なしの脅威度B。


 以前闘った悪魔と同格の化け物だ。ステータスでは悪魔に軍配が上がるが、スキルによる防御力の高さはこのスケルトンの方が上だろう。


再生:Lv8、状態異常耐性:Lv9、精神異常耐性:Lv9、魔術耐性:Lv9って……。しかも、魔術への抵抗力を高めるというオリハルコンの鎧まで装備している。これは、魔術の攻撃は無駄だな。


『ジャン、下がってろ』

「ああ、これは我とは相性が悪そうだ。回復役に専念するよ」

『ウルシはジャンの護衛と、他のアンデッドへの警戒だ』

「オン!」


 そしてスケルトンの相手は――。


「師匠」

『おう』


 フランは幻輝石の魔剣を収納に仕舞った。本気で行かなくては勝てない相手。そう理解しているからこその行動だ。


 フランが俺を握りしめ、構える。やっぱり、この状態が一番しっくりくるな。


「ん。やっぱり師匠がしっくり」

『ははははは!』

「?」

『いや、何でもない。なあ、俺達が力を合わせたら、絶対に負けないよな?』

「当たり前」

『よっしゃ、久々の強敵だ。気合入れろ!』

「ん!」


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