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420 アシュトナー侯爵家の陰謀?


 魔石の吸収を開始してから10分後。


『あー……すんません』

「何で謝る? 師匠は何も悪いことしてない」

「オン」

『じゃあ、なんでそんな目で見てるんだよ!』


 俺は保護者としての威厳と引き換えに、大量の魔石値とスキルを手に入れていた。


 魔石値は全部で1420。スキルは新規のものを11個。しかもユニークスキルを2つも入手してしまった。


そのスキルの中に、フランたちのジト目をどうにかしてくれるスキルはないけどね。

 

 しかし、面白そうなスキルはいくつもあった。その筆頭が生命魔術だろう。これで雷鳴魔術、生命魔術、砂塵魔術、溶鉄魔術、樹木魔術、氷雪魔術の複合属性6種をコンプリートしたことになる。


 ちょっと期待していたんだが、やはり称号をゲットすることが出来た。その名も『属性究めし者』である。


 魔力の制御力と、魔術運用時の処理能力の上昇という、魔術師にとっては喉から手が出るほど欲しい能力を有していた。フランの称号だから俺には効果はないが、今後はフランが魔術を使う際の助けになってくれるだろう。


 さらに職業、魔究師を選ぶことができるようになったらしい。名前からして、魔術師の上位職だと分かる。


 他には、あまり役に立ちそうもないスキルとして歌唱、舞踊、木工、大工かな。いわゆる技能系のスキルだった。


 役に立ちそうなスキルとしては、通常スキルである腐敗無効、重量超加、死霊退散、動物知識。ユニークスキルは捕食吸収、共食いを入手していた。


 腐敗無効はその名の通り、腐敗攻撃を無効化する耐性スキルだ。腐敗は生物であれば肉を腐らせ、無機物であれば腐食状態にしてしまう属性である。俺にもフランにも使える耐性だと言えるだろう。


 重量超加は、すでに所持している重量増加の上位互換スキルであるらしい。自身と、自身の装備品の重量を増加させるスキルだ、攻撃時に使用すれば、より威力を増すことができるだろう。


 死霊退散は、弱いアンデッドなら倒し、強い相手も怯ませることができる浄化魔術に似たスキルである。動物知識はそのまんまだね。まあ、持っていて損はしないだろう。


 気になるユニークスキルだが、捕食吸収は、食事から得られる経験値などが上昇するスキルだ。ウルシが所持しているが、このスキルの効果によって得たと思われるスキルもあるので、地味に役立ってくれると思う。


 そして共食い。うーん。これだけは微妙な感じだな。自分の同族を殺すと、その力の一部を吸収できるというスキルだ。あのゼロスリードが所持しているスキルでもある。あいつがあれ程急激に強くなっていたのは、このスキルで邪人の力を吸収しまくったからだろう。


 ただ、俺の場合はどうだ? 同族って、神剣なのか、インテリジェンス・ウェポンなのか。それに、殺すと言われてもね。相手は武器なわけだし、破壊したことで殺したことになるのか? 正直言って、発動する可能性が限りなく低そうなスキルであった。


 まあ、装備しておいて、発動したらラッキーと思っておこう。ああ、因みに魔道具や魔剣は同族と認識されなかった。宿の側にある武具屋で魔法武器を買ってきて、すでに実験済みである。


 結果としては、お高い魔法武器を無駄に破壊するだけとなってしまったのだった。


 他にも大量のスキルを吸収したが、ほとんどは上位スキルに統合されてしまったらしい。いや、俺の処理能力を考えたらその方がいいんだけどね。今まではスキルの数を増やそうと頑張ってきたからな。まだ慣れていないのだ。


 その後、宿の中庭で新スキルの効果を試したりしていると、あっと言う間に夜が来る。ベイルリーズ伯爵は1日でガルスの居場所を突き止めると言っていたが、さてどうなったのか。


「師匠」

『ああ、来たみたいだな』


 宿の入り口付近に見知った気配があった。こちらに訪ねてきたことを知らせるために、あえて大きな気配を発しているのだろう。


 気配の持ち主たちはそのまま宿を抜け、俺たちのいる中庭までやってくる。


 本人たちで間違いないな。フレデリックもさすがに気配を消すような真似はしていない。フランは風魔術で防音処置を施すと、ベルメリアにベンチに座るように告げた。


 ベルメリアは感心したようにフランの手際を眺めているな。


「さすがですね。流れるような魔術の発動。さすがです。しかも紹介状なしでは泊まる事さえできないこの宿に滞在しているとは」

「ん。エリアンテの紹介状を見せたら普通に泊まれた」

「ギルドマスターの? 仲が良いのですか?」

「普通?」

「ふ、普通ですか……」


 ベルメリアはフランを警戒しているというよりは、どうもフランのようなタイプが苦手みたいだった。無表情で予想外の言葉を発するフランをどう扱えばいいのか分からないらしい。


「ま、まあいいわ。それよりも、いくつか報告があります」

「ん」

「まずは、あなたが見たという魔剣について。こちらでも色々と調べました」


 仲間を操り、死なせた相手だ。ベルメリアたちも魔剣に対してかなりの関心があるのだろう。別れ際に特徴を詳しく聞いて帰ったのだ。どうやら今日の内に捜索を進めていたらしい。


「まずは目撃証言ですが、フランが癒した人々は当然その姿を見ていましたが、その後の足取りは追えませんでした。目撃証言はあるものの、住宅街の上空で忽然と姿を消したそうです。現在の居場所は不明となっています……」


 魔力を噴き出しながら夜空を進む謎の飛行物体だ。メチャクチャ目立つと思うんだけどな。まあ、サイズはさほどでもないし、一旦姿を隠してしまえば中々見つけるのは難しいのだろう。


「アンデッドソードである可能性が高いということでアンデッドサーチの術を使える冒険者なども動員しましたが、やはり発見には至っておりません」

「残念」

「また、その形状から情報を入手できないかと考え、魔剣の情報も収集しました。しかしこちらも空振りに終わっています。数年前からアシュトナー侯爵家が魔剣を収集しているという情報があったので、その売買記録の中に含まれていないかとも考えたのですが……。どうやらその線でもないようです」


 結局手がかりはなしか。


「次いで、本日あなたに接触してきた男の情報です。名前はベッケルト・フース男爵。アシュトナー侯爵の配下の人間でした」

「アシュトナー侯爵? 何が目的?」


 こっちもアシュトナー侯爵家の関係者かよ? どこにでも名前が出てくるな。


「それが、どうも侯爵本人からあなたの魔剣をどんな方法を使っても入手するように命令されていたようです。ただ、その指示の仕方が、強い黒猫族の少女剣士が所持している、狼の意匠の付いた魔剣を入手しろという命令だったらしく……」


 メチャクチャ曖昧な命令の仕方だった。例えばガルスの鞘の事がばれていて、戦力の低下や嫌がらせを目的にしているなら、冒険者のフランの魔剣を奪えという命令になるはずだ。


「侯爵がフランの事を正確に認識しているのかどうか、判断できません。もしかしたらあなたの噂を半端に聞きつけて、その魔剣を欲しただけの可能性もあります」

 

 つまり、ガルス関連とは関係ない、魔剣の所持者を狙った命令だったのか? 侯爵家は魔剣を集めているという話だしな。


「現在はさらに締め上げていますので、新しい情報が判明したらお伝えしますね」

「わかった」


 なんか、全ての悪事がアシュトナー侯爵家の陰謀に思えてきた。しかも、この後にはその侯爵家に関する報告がまだ残っているのだ。


「では、最後にガルス師の情報についてお伝えします」

「ん!」

「あなたに提供していただいた情報の裏が取れました。確かにガルス師の姿がオルメス伯爵邸で目撃されていたようです」


いつの間にやら1億PV達成していたようです。

毎回言っておりますが、これも読者の皆様の応援あってのこと。

ありがとうございます。

多分、まだ報告してませんでしたよね?

もし以前に報告してたら何度も申し訳ありません。

それだけ嬉しいのだと思って、生温かくスルーしてください。


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歌唱スキルはキャラソンで 役立つ事でしょう!(爆笑)
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