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231 情報屋レグス

 ガルス爺さんを探すために歩き出したのはいいんだが……。


 どうやって探すかね。冒険者ギルドで情報を聞いてみるか? 腕の良い鍛冶師の一番のお得意様は冒険者だし、何かしらの情報を持っている可能性は高い。


 あとは鍛冶師ギルドかな。バルボラで仕事をするのであれば、鍛冶師ギルドに顔を出してはいるだろう。


『まずは冒険者ギルドに行こう』

「わかった」


 フランからしたらホームみたいなものだからな。情報を聞くにしても、冒険者ギルドの方が聞きやすい。ギルドマスターのガムドとも面識があるし、武闘大会で名を上げた。門前払いはないだろう。


 冒険者ギルドを目指して歩いていると、フランとウルシが妙に周りをキョロキョロ見回している。


 何だ? 何かを感じるのか? ソワソワして、落ち着きが無い。


『どうした?』

「カレーの匂いがする」

「オン!」


 ああ、そういうことか。バルボラは現在カレーブームだと言うし、この辺に並んでいる露店の中にもカレー料理を出している店があるんだろう。


 フランたちはその屋台を特定したらしい。フラフラと引き寄せられていく。もはや本能レベルでカレーを欲しているな。


 ダンジョンでカレーの匂いで獲物を引き寄せる罠とかあったら、引っかかっちゃうんじゃなかろうか?


「らっしゃい!」

「これは何?」

「おう、これはカレーをベースに俺っちが考案した、カレーヌードルだ!」


 へえ、もうカレー風味の麺料理まで登場してるのか。鍋の中で、カレーと麺が一緒に煮込まれている。美味そうだけど、こんなに煮詰めたらあっと言う間に麺が伸びちゃうんじゃないか?


 でも少し興味があるな。それはフランも一緒だったようで、自分とウルシの分を購入している。


「はい、ウルシ」

「オン!」


 そのまま2人はカレーヌードルをかき込む。辛味は抑えめな様で、咽たりすることもなく麺を啜っているな。そして、最後まで止まることなく完食したのだった。


『どうだ?』

「美味しい」

「オンオン!」

『麺は伸びてないのか?』

「ん」


 と言う事は、なにか工夫をした麺なのか。フランに色々と話を聞いてみると、どうやらコンニャク麺や春雨のような、伸びにくいプルプル系の麺らしい。


 いやー凄いな。ここまで面白い料理が生まれているとは。これは他のカレー料理にも期待できそうだ。


 俺たちはそうやって屋台で買い食いをしながら、冒険者ギルドに向かった。


 中に入ると、多くの冒険者がいて活気が凄い。


 訝し気な目でフランをチラチラと見てくる者も多いが、フランは彼らの視線を無視してカウンターに向かった。


「少し聞きたいことがある」

「はい、なんでしょうか?」


 お、フランを知っている様子でもないのに丁寧な対応。さすが大都市のギルドの受付嬢だ。


「人を探している」

「人探しですか。そういった情報に詳しい冒険者を紹介しましょうか? あとはその人に交渉してもらうと言う形でどうですか?」


 情報屋的な冒険者ってことかね? 紹介してもらえるんなら助かるな。ギルドの紹介だったら身元もしっかりしているし。

 

「それでいい。すぐに会える?」

「ええ。なにせ、直ぐそこにいますから」


 受付嬢の視線の先には、一人の冒険者が立っていた。斥候系職業の中年冒険者だ。戦闘力は大したことないが、探知系や隠密系、交渉系のスキルが揃っている。


「よお、人探しだって?」

「ん」

「俺は都市内での仕事がメインの雑魚だが、その分バルボラの中の事はそこそこ詳しいんだ。任せてくれ。とりあえず、そっちで話そうか」


 レグスと名乗った冒険者と一緒に、ギルドの隅にあったテーブルに陣取る。態度は軽いが、こいつもフランを侮る様子が無いな。


「で、誰を探してるんだ?」

「鍛冶師のガルス」

「ほう。名誉鍛冶師殿か」

「知ってる? 今居る場所が知りたい」


 これは思いの外早くガルス爺さんと再会できるかもしれない。あとは報酬だな。


「情報料は払う」

「いや、それは必要ない」

「ん? なんで?」

「まず一つ。俺はガルス殿に関する大した情報を持ってない。この程度の情報じゃ金なんか取れん。それと、はした金なんかよりも黒雷姫と顔つなぎを出来たって言う事の方が遥かに価値がある」


 そうか、フランの事を知っての態度だったってわけね。レグスは自分の知っている情報を語って聞かせてくれた。


「10日前には、確実にバルボラにいたはずだぜ。確か、ギルマスの武器のメンテナンスをしてたはずだ」


 だが、その後の足取りは分からないらしい。レグスもてっきりバルボラを出たのだと思っていた様だ。


「でも、ウルムットに戻って来てない」

「連絡もないのか?」

「ん」

「そうか――。考えられるパターンはいくつかある」


 1つが、バルボラ、ウルムット間で何か事件に巻き込まれた。魔獣に襲われた、盗賊に捕えられたなど。


「ただ、武闘大会の影響もあって、街道を行き来する人間も多かったし、巡回も増やされていた。それで目撃情報がゼロって言う事は考えづらい」


 ガルスは槌術と火魔術のレベルが高かった。戦闘でそうそう後れを取るとは思えないんだがな。


 それ以外だと、バルボラ内部で何らかの事件に巻き込まれている可能性だ。ガルスの腕に目を付けた奴隷商人や、裏組織にさらわれたりした可能性もある。


 また、何か秘密の依頼を受けたことも考えられた。基本は自分の納得する仕事しか受けないガルスだが、王家や大貴族に押し付けられた仕事を断り切れないと言う可能性はあった。そう言う場合、機密保持のために連絡等を絶たれている場合があると言う。


 もしくは、仕事にのめり込み過ぎて、連絡などを全く忘れている可能性。職人気質のガルスであれば、有り得なくはないだろう。


 どれも可能性がありそうだな。


「1日くれ。調べてみる」

「お願い。私はどうすれば良い?」

「うーん、下手に派手な動きをされても、やりにくいんだよな……。うちのギルマスとは顔見知りかい?」

「ん」

「じゃあ、ギルマスと、鍛冶師ギルドへの聞き込みを頼んでいいかい? 別に裏を探ろうとかしなくていい。普通に聞き込みしてくれりゃいいからよ」

「わかった」


 じゃあ、まずはガムドに話を聞きに行きますか。



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― 新着の感想 ―
[良い点] まだここまでだけど、超面白い
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