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224 獣人国への行き方

「それにしても、日に2度も大物を釣り上げるとは、トラブルに愛されているねぇ。まあ、目立ってしまったし、今後も色々あると思うよ? ギルドとしては本当に助かったけどさ」

『巻き込まれたくて巻き込まれたわけじゃないんだけどな』

「ははは、それはそうだよね。でも、断言しよう。絶対にまた似たようなことが起きる」

「どうすればいい?」

「うん、素直でよろしい。さっきも言ったけど、君には獣人国に行ってもらいたい。その旅立ちを早めたらどうだい? 少なくとも、この国の馬鹿どもは手出しをできなくなる」

『いや、それが出来ればいいけど、そんな簡単に他の大陸に渡れるのか?』


 船の手配もそうだし、入国許可とか出国許可がいるんじゃないのか?


「出国、入国に関しては、すでにギルドから許可を出しているから問題ない。指名依頼を受けてもらった時点で、ギルドカードが許可証代わりになる」


 ギルドカードにそんな便利機能があるのか。


「関所などで、魔道具を使った審査があるけど、ギルドカードさえあれば問題ないから」

「ありがとう」

『となると、あとは船の手配だな』

「うーん、それが難しいよね。バルボラで探すのが一番いいと思うけど、定期船なんか運行していないしね」

『じゃあ、獣人国に行く奴らって、どうやって行くんだ?』

「普通の冒険者は、商船に護衛として乗り込む形が多いね」

『やっぱそうだよな』


 でも、フランはそこが不利と言うか、弱いんだよな。どうしても外見で侮られるし。


 俺だって子供冒険者と、渋いおっさんの冒険者だったら、後者を護衛で雇う。


 ダーズからバルボラへの船に乗れたのは、フルト王子とサティア王女と知り合いになれたことと、サルートの企てのおかげだ。


 コネも無しに商船の護衛に潜りこめるだろうか? いや、待てよ。コネならあった。


『ルシール商会に頼んでみるか』

「……どこ?」

『うん、多分忘れてると思った』


 俺も忘れかけてたくらいだからね。人とかの名前を覚えるのが苦手なフランは、絶対に忘れてるだろう。


『ダーズからバルボラに来るときに乗った船を所有してた商会だ。船長に紋章の書かれたコインを貰っただろ?』

「んー? 貰ったかも?」

『まあ、貰ったんだよ』


 バルボラでも1、2を争う大商会だっていう話だし、クローム大陸への商船が出ている可能性はあるだろう。


「いや、護衛の依頼を受けるのは問題ないと思うよ。商人なんて、この世でも最も情報伝達が速い生き物だからね。既にバルボラの商人たちにはフラン君の名前が知れ渡っているはずさ」

「だったら、船の護衛依頼は問題ない?」

「むしろ引く手数多じゃないかな? というか、あるかどうか分からない獣人国へ向かう船の護衛依頼なんか探さなくても、もっと凄いコネがあるじゃないか」

「ん?」

『ああ、まあな』


 フランはいまいち分かってないけど、俺は当然考えたさ。ディアスの言うコネとは、獣王の事だろう。


 だが、幾つか懸念がある。


 1つが、そこまでお世話になってしまって良いのかということだ。幾らなんでも借りを作り過ぎな気がする。


 もう1つが、獣王が国に帰るまでに時間が掛かるだろうと言うこと。何せ王だ。どこに行っても歓待されるだろうし、それを受けるのも仕事だろう。あの性格では招待を無視する可能性もあるが、ロイスたちが付いていて我儘を許すとも思えない。そう考えたら、獣人国に戻るのに相当時間がかかるだろう。


 だったら、獣人国に直行する船を探した方が速い気もするのだ。


 だが、ディアスはそう思っていないらしい。


「1つ目はもう仕方ないんじゃないかい? キアラに会うには、どうせ獣王に頼るしかないんだし」

『まあ、そうだが』

「で、各地で足止めを食らうんじゃないかって言う話だけど、それはないと思うよ?」

『なんでだ?』

「そもそも、彼らはここに来るまでもほとんど足跡を残していない。町に入るときは体裁を整えるために馬車に乗っていたけど、それ以外は冒険者として目立たず移動して来たみたいだね」


 なるほどね、それなら速く移動できるだろう。ただ、ランクS、A冒険者のパーティに混ぜてもらうのってハードルが高いんだが。


 それに、もう1つ懸念が出てきてしまった。俺のことがばれないかと言う事だ。ただでさえ勘が良い獣人、しかも高ランク冒険者。長時間一緒にいて、バレないだろうか?


「それは、正直頑張ってとしか言えないよ」

『まあ、だよな』


 それに、そもそも一緒に連れて行ってもらえるかも分からん。最善は、船の紹介だけしてもらって、一緒には行動しないことかね?


「とりあえず獣王に頼む」

『だな。一回聞きに行ってみよう』

「獣王殿によろしく」

「ん」


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