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8 はじめてのまじゅつ


 レッサー・ワイバーンを仕留めた次の日。俺は上空まで上昇して台座を探してみた。日中なら遠くまで見通せるし、見つけられると考えたのだ。


 そして、かなり遠くに、台座を発見する。凄まじく離れてしまっていたようだ。台座に戻るつもりで、逆に向かってしまっていたのだろう。


『ぬうりゃー!』


 ひたすらに台座に向かって飛ぶ。途中で何度か魔獣に遭遇するが、全て一撃で魔石を貫き、美味しくいただいた。昨夜のワイバーン戦を経験した俺にとって、下位の魔獣なんて止まって見えるね。


 改めて思うが、台座から離れれば離れる程、魔獣は強くなるらしい。逆に、台座に近寄る程、出現する魔獣のランクが下がる。


 台座の周辺に流れる、不思議な魔力が原因なのだろう。おそらくだが、結界のようなものが張ってあるのだ。最近になって、魔力の扱いにも慣れてきたおかげで、感じ取ることができるようになった。誰が張ったのかは分からないけど。俺の製作者なのだろうかね?


 全力で一直線に突き進んだおかげか、1時間もかからず、たどり着けてしまった。やはり、昼間の活動の方が効率がいい。


 一晩留守にしただけなのに、懐かしくさえあった。結界の暖かい魔力が気持ちいいぜ。


『うおーっ! 台座よ! 俺は帰ってきた!』


 俺はとにもかくにも、台座にダイブした。


 スポ


 うーん、落ち着く。台座に収まると、非常に落ち着くね。やはり、台座こそ我が家。台座こそ、癒しの空間だ。


『ふぅ。やっと一息つけたな~』


 しばらく、雲を眺めて過ごす。ああ、安らぐ。


 さて、休憩もしたし、お楽しみタイムだ。


『ふっふっふっふ……はーっはっはっはっは! 俺はついに手に入れた! 俺は単なる剣をやめるぞ! ジョ〇ョォ!』


 はい、魔術のことです。


 昨日のゴブリン殲滅戦において、俺はゴブリン・メイジから、火魔術スキルを手に入れていた。念願の、魔術だ。


『火魔術をセットして』


 準備完了。


 意識を集中する。スキルの使用は何度も行ってきたし、使うのはどうにかなると思う。いや、思っていた。


『うんともすんとも言わないな』


 魔術が発動する様子はおろか、失敗した感じもない。ただ俺が唸って終わった。それだけだ。


『なんでだ? 魔力不足? いや、ゴブリン・メイジが俺より魔力を持っていたとは思えないが……。とりあえず、メイジのスキルを全部セットしてみよう』


 鉱物学、指揮、杖術、戦杖術、火魔術、魔力小上昇、魔力操作をセットして、念じてみる。すると、いくつかのイメージが浮かび上がった。ファイア・アロー、ファイア・シールド? じゃあ、ファイア・アローで。


 魔術の華と言ったら攻撃魔術だろう! 


『なんか呪文のイメージが浮かんできたぞ』


 脳内に浮かんだ、呪文を読み上げてみる。そして、全てを読み上げると、俺の刀身から魔力が流れ出すのを感じることができた。


『ファイア・アロー!』


 シュオン


 俺の叫びに呼応するように、虚空に炎の矢が生み出された。


『お、おおお?』


 完成した炎の矢が、本物の矢の様に、遠くに飛んでいく。魔術成功だ。


『はーっはっは! 成功だ!』


 ファイア・アローは地面を少し焦がした程度の威力しかなかった。あれなら、自分で突進した方が100倍ましだろう。でも、違うのだ。自分で魔術を使ったというのが重要なのである。


『じゃあ、次はこっちだ! ファイア・シールド!』


 小さい、炎のバックラーが生み出される。


『ふむ。どのくらいの強度があるのか』


 念動で石をぶつけてみた。威力はそれ程でもない。時速130くらいかな? 1発は防いでくれるようだ。2発、3発。うーん、この程度か。盾は3発目を防いで消滅した。弓矢は防げるだろうけど、剣や斧は不安な感じだな。


 しばらく、魔術を撃って遊んだ。どちらの術も、魔力消費は5のようで、ランクアップした俺なら、結構連発もできる。


『ファイア・アロー! ファイア・アロー! ひゃっほーっ!』


 俺が落ち着いたのは。30分ほど経ってからだった。灌木とかが火を上げているが、気のせいだろう。


『ふう。そう言えば、スキルを検証しないとな』


 魔術を使うために必要なスキルを、確定させておこう。まずは、魔術に関係なさそうなスキルを外す。


 杖術、戦杖術、火魔術、魔力小上昇、魔力操作で魔術を使ってみた。


『使えるな』


 なら、杖術、戦杖術も外しちゃおう。


『ファイア・アロー!』


 問題ないようだ。次は、魔力小上昇を外す。やはり、魔術は使えた。今度は、魔力操作を外す。これで、火魔術しかセットしていない状態だ。


『使えん』


 魔力操作を付け直す。


『ファイア・アロー』


 シュオン


 どうやら、魔術を使うには魔力操作が必須の様だった。今後はつけっぱなしにする必要があるな。


 となると、似た名前のもう一つのスキルも気になるな。


『気力操作もセットしてみるか。魔力操作が魔術。なら、気力操作は何だ?』


 気力操作を持っていたキングから手に入れたスキルは、威圧、剣技、剣術、指揮、士気高揚、盾術、挑発、投擲、覇気、気力操作だ。


 やはり、剣術か? いや、剣技っていう新スキルがあるな。これは何だ?


 検証を続けると、やはり剣技と気力操作がセットだという事が分かった。剣技は、魔力を消費して使用することができる、戦士などが使う必殺技の様なものだ。


 2連撃のダブル・スラッシュと、1撃必殺のヘビー・スラッシュという2種類の技があった。これも面白そうだ。


『さっそく使ってみようかな』


 この技能があれば、より強い魔獣とも戦える。狩りもはかどるだろう。


『ゴブリン狩りも一段落ついたし、少し遠出してみようかな?』



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― 新着の感想 ―
[一言] 転スラの二番煎じ、三番煎じの印象が拭えませんな。ここまでやってること同じだしね。でも世界観や設定がかなりしっかりしてるのでまだ継続してみます。
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