鉄ちゃん達は…
「本日もJR東日本をご利用下さいましてありがとうございました。本日の電車は全て終了致しました。どなた様も改札口へお巡り下さい」という放送が流れる。
寝ぼけていたのでそのまま聞き流してしまったが、終電後まで駅に居たことが無かった為、録音しておけば良かったと後悔……。
見回りに来た駅員が早く出ろと指図してくるのを無視しながら僕たちは無言で改札口へ歩き続ける。
基本的に駅員は嫌いだ。
理由は単純、写真のフレームに入ってくるからだ。
ラストランの時(営業運転を終了する電車の最後を看取るイベント)はもう最悪だ。
ホームの安全を守るという名目で多くの駅員が配置されていて僕たち鉄道ファンをことごとく邪魔をしてくるのだ。
やっと改札まで着いた僕たちは運賃が足りないことに気付き駅員に申し出た。
仙台駅から140円切符で乗って来ていたため、不正乗車の疑いをかけられたが何とか出してもらった。
改札を出ると住宅地が広がっており、今晩の宿は当然みつけられるはずもない。
僕が呆然と立ち尽くしていると横で声がした。
「なあ」
「うん? 」
鉄也は困ったような顔をしながら携帯電話を見つめながら話し続けた。
「明日学校だよな? 」
「……うん」
「始発で帰っても8時になっちまうぞ」
「え、じゃあ、学校はどうしよう……」
「休むしか無いだろ」
学校……。土日を利用して旅行をする予定が帰りが月曜の朝になってしまうとは……。
帰ったらお母さんに怒られるんだろうな、帰るのが嫌になってきた……。
「ちょっとお袋に電話してくる」
「うん、あっ」
「ん? 」
「僕もお母さんに連絡したいんだけど……」
「ああ、分かった」
そう言ってダイヤルを押し始めた。