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 -警察サイド ~ロズミア宅にて~ -



 1426時。



 「ふーん・・・」



 俺はなんか強盗にあったとかいう家に入った。

 あたり一面に血が飛び散り、額を銃で撃たれた2体の死体があった。



 「致命傷はヘッドショット・・・。んで、こっちのは奥さんでいいな?」



 「はい、そうと聞いています」



 午前中、警察署にある少女がやってきた。

 その少女は血まみれで、父母が殺されていた、といったらしい。



 「そもそも、銃で撃たれたからといって、こんな派手な血の飛び散り方するか・・・?」



 妻のほうは、頭のほかに両手両腕に一発ずつ食らっているが、それにしたってどう考えても飛ばないような位置に血が付着している。



 「確かに・・・。それに、自分からわざわざ警察署に来ますかね?いくら近いとはいえ、普通はまず通報でしょう」



 「それだけじゃない。よく、こんな両親が殺されているのに冷静に物盗りの仕業かもしれない、と考えて自分の周りから何かなくなっていないか探すことができたな」



 「・・・おかしい点まみれですね。もしかすると・・・」



 「いや、単に善良な一般人が殺される理由は『強盗にあった!』とかぐらいだろうな。もしくは、逆恨み・・・か。それに、今考えるとあの女の子は別に『周りを調べた』とも言ってなかったしな」




 「・・・ですね。すいませんでした」



 「いや、謝る必要はないさ。それより・・・」



 と、俺は会話を終わらせ、壁についた大量の血と・・・おそらくその原因である大量の血がべっとりとついて、まだ乾いていないチェーンソーを見る。



 「このチェーンソーと壁についた大量の血だな」



 「ええ。まだ乾いていない血が付いているということは、最近使われたということ・・・。なのに、死体にはチェーンソーが使われた跡がない。すると、もう一人被害者がいるということになりますね」



 その通りだ。

 と、すると、こういう風にシュミレーションで斬る。



 先ず、被害者二人がこの部屋にいた。

 その時、娘は自分の部屋で眠っていた。



 そして、犯人がおそらく倉庫から侵入したのだろう。

 現に、倉庫の鍵が壊されていた。

 そこで、犯人はチェーンソーを持っていき、被害者二人がいる部屋へと向かう。

 で、途中で犯人は銃を見つけ、それを被害者二人へと発砲。



 が、被害者二人には蹴られたような跡があったため、その前に多少の問答はあったのだろう。

 最後に犯人は発砲して、金品を奪い、逃走。



 そして、娘が逃走する犯人と入れ違いになり、被害者二人を見つけた・・・と。



 一見筋が通ってそうだが、何かが引っ掛かる。

 とりあえず、現状分かっているのはこのぐらいで、チェーンソー箱の中のどこかのタイミングで使われたのだろう。



 「それに、床についたこの血・・・。俺らだとよくわからねえけど、多分二人分にしては多い気がする・・・」



 「・・・そうなんですか?」



 「わからない。けれど、いくつもの現場を見てきたからなんとなくでだが、わかるだ・・・」



 つまり、長年の経験に基づいた勘、というやつである。

 しかし、先ずは切り刻まれた死体を探すところからだ。



 「・・・ん?」



 と、考え込むように周囲を歩き回っていると、ふと、時計が壊れているのが目につく。



 「この時計・・・。銃弾でもうけたのか・・・?」



 おそらくは、犯人が威嚇のために撃ったのだろうか・・・。

 だが、犯人は倉庫のほうからやってきているはずだ。



 なのに、この時計は犯人がやってきた方向にある。

 つまり、こいつは、被害者二人とは真逆の方向、後に向けて威嚇したのだ。



 それは少しおかしい・・・。

 それに、よく見るといろんなところに銃弾を受けたような跡がある。



 「・・・この時計・・・位置的におかしくないか?」



 「え?・・・そうですか?」



 「いや、だって、犯人はそっちから来てるのに、あの位置だと自分の後ろ側にわざわざ撃ってることになるだろ・・・」



 「いやあ・・・威嚇だと普通なんじゃないですか・・・?」



 「そうか・・・?だといいが・・・」



 何かが引っ掛かるんだよなあ・・・。

 ・・・この事件はもう少し本腰を入れて調べたほうがいいかもしれない。



 -ロズミアサイド ~喫茶店にて~ -



 1352時。



 あれから私はいろいろと演技してから、準備をし、警察署へと自ら出向いた。

 正直、電話するべきだったと思うけど、そこまで考えが至らなかったのが残念なところね・・・。

 ちょっと考えればすぐ思いつくことなのに、そんなの気付かないとは警察も馬鹿な連中ばかりなのね。



 「あら、ロズミアじゃない」



 「そういうあなたは・・・クレイね」



 「ええ、そうよ。私の名前を覚えてくれているなんて光栄だわ」



 「まあ、覚えることは得意だしね・・・」



 「おお!流石は成績優秀者!!」



 この子はクレイ。

 クレイ・アスカトル。

 クラスのムードメーカー的存在だけど、何かと黒いうわさが絶えないのよね・・・。



 正直、苦手な相手だわ。



 「・・・私用事があるから」



 「いやー、まあまあ!そう言わずに・・・ね?ほら、おごってあげるから!」



 「紅茶をお変わりする程度のお金なら私にだってあるわ。それに、もうお腹いっぱいだから。じゃあね」



 そう言って、私は足早に去ろうとする。

 だが、手をつかまれる。



 「この私が一緒にお話ししながら飲み物を飲もうって言ってるのよ!」



 「・・・ちょっと手を放してくれないかしら。どうしても外せない用事があるの」



 「フン!私のことより大事なことなんてこの世に何一つとしてないのよ!?わかってるの!?」



 はあ・・・。

 なんていう暴論なのかしら・・・。



 こういうのは話すだけ無駄ね。



 「わからないわね」



 だから私はさらっと言ってまた去ろうとした。



 すると、私は殴られた。



 「・・・前から気に入らなかったの」



 「・・・あ、そう。離してくれないかしら?今ならまだ殴ったことは許してあげる」



 その私の言ったことに対してクレイは笑う。

 というか、客。

 見てないで止めなさい。



 因みに今、クレイは私の上でマウントを取っている状態だ。



 「いいザマだわ!さあ、私に懇願しなさいよ!さあ!!」



 あーあ。

 これはもう完全にアレね。



 ちょっと逃げましょう。



 私はスルリ、とクレイの股下から逃げ出す。

 そして、そのまま走って店を出た。



 呆然としたクレイを後に見たが、すぐに立ち直って追いかけてきた。



 「しぶとい女ね・・・」



 私は路地裏に逃げ込む。

 途中、人とぶつかりそうになるが、なんとかよける。



 クレイの噂の一つにもあるように、クレイは気に入らないものは自分の周りからことごとく排除するか、自分が気に入るように『調教』したりするという。

 排除の仕方は自殺に追い込んだり、それこそクレイが頃いているという噂まである。

 真偽のほうは定かではないが、あながちウソでもないかもしれない。



 「待ちなさい!待ちな・・・邪魔よ!キャアアアアアアアアア!」



 「ふん・・・。いいザマだわ」



 と、私は角を右に曲がる。

 すると、行き止まりだった。



 あわてて、戻ろうとするが、そこには土で汚れたクレイがいた。



 「フゥ・・・ハァ・・・。まったく・・・手間をかけさせるやつ・・・!」



 「あなたはずいぶんとしつこいわね。その醜い姿・・・お似合いよ」



 「なんだって!?」



 そう言って、クレイがつかみかかってくるが、走りまくって疲れきっているクレイの突撃は簡単によけれた。



 「ぐぅ・・・」



 そして、そのまま地面に激突した。



 「地べたに這いつくばるなんてまた面白い趣味があるのね」



 「こんの・・・ふざけるなああああああああああああ!!」



 また、突撃してくるが、今度もよける。

 今度は壁にぶつかったみたいだ。



 顔を抑えている。

 手からは血が滴っているところを見ると、鼻血でも出したのかしら?



 「血・・・私から血が・・・ああ・・・ああああ・・・ああああああああああああ!!!」



 あ、壊れた。



 「この・・・この親なしが・・・!お前なんて・・・お前なんて・・・殺してやるうううううううう!!!」



 と、道端に会ったパイプを持って襲い掛かってくる。

 っちょ、それはないでしょ!?



 「う・・・うぅ・・・」



 頭にパイプが命中し、一瞬遅れて激痛が走る。



 と、腹のあたりをけられる。



 「ふん!お前みたいなやつが私に逆らうからこういうことになるのよ!さっきの言葉・・・そのまま返すわ!そんな地べたに這いつくばる下品な趣味があるのかしら!?」



 っく・・・。

 本当に嫌なやつね・・・。



 まあ、半分は自業自得だけど。



 「あなたの親も気に入らなかったのよ・・・。死んでくれてせいせいしたわ!」



 ・・・こいつ。

 何を言った・・・・?



 つまり・・・こいつがあの強盗を差し向けたっていうの?



 ・・・そうだ。

 こいつが元凶だ・・・。

 こいつを殺せば、お父さんとお母さんもきっと満足してくれる。



 こいつを殺そう。



 幸い、ここは路地裏で、しかも人気が少ないところだ。



 十分な場所だ。



 「な・・・立った・・・?で・・・でもこっちには武器が・・・!」



 「そんなの・・・ただの棒でしょ・・・?こっちによこしなさい」



 「な・・・何を言って・・・」



 「よこしなさい」



 ひときわ、威圧を込めて言う。

 今の私は本気だ。



 なめてかかってもらっては困る。



 「は・・・ひゃい・・・」



 そこで、クレイは恐怖のあまり、パイプを渡した。



 「ふふ・・・いいこね・・・。じゃあ、ご褒美よ」



 私は命一杯の憎悪と力を込めて、クレイにパイプを叩きつけた。



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