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□自演乙!! 6 リパチ #03(Re:パチンカスから始める異世界転生転生)

 原作主人公は、尻尾の生えたケモミミ侍女が居ないことや食事に不満を覚えていたようだったが。

 尻尾遊びが出来ないことは俺も同感。

 食事については、確かに。味気ない料理が多かった。

 なんといってもまだ1歳にもなっていない。離乳食にうまさを求めても仕方ない。

 かろうじて食える――生きるためには何でも食べるのだが、味が好みに合うという意味で――のはパン粥。これは俺も気に入った。


 はてさて。話が原作通りに進むのであればの話だが。

 俺は王子に生まれたアドバンテージなんてものを活かしきれない人生を送るはずである。

 貴族生まれのお坊ちゃんだと、家に魔道書の書庫があり、読み書きを常人にはありえないスピードでマスターしてその勢いで魔道書を読み漁って魔法の才を伸ばして家族をびっくりさせる。

 あるいは、剣術の師匠――できれば歳は食ってるけど見た目に若いエルフの混血美女なんか――から教えを乞い、剣術もぐんぐん成長する。

 なんて成長譚があるのだが。


 そろそろタイムリミットが近づいているのを悟る。


 よちよち歩きが出来るようになってきた。正確な日付はわからないが、一歳に近づいているのだろう。


 原作では、一歳を迎える前に城から抜け出す――というか誘拐される――はずだった。


 首謀犯はゴダードという老騎士。元々、騎士団の団長をやっていたおじいちゃんで、今も俺を一番かわいがってくれている。

 彼が、俺をさらうのはなにも金銭目当ての己の欲望に従って……ではない。

 この国で革命が起きるのだ。

 ギルドが、王家を滅ぼす。それに巻き込まれないように保護してくれるのだ。


 そして、俺は山奥でゴダードと、侍女のシンシュアとの三人暮らしを開始する。

 その流れのはず。


 が、懸念すべき点が一点。

 侍女長のモラ―というおばあさんは、ちょくちょく見かけるのだが、シンシュアの姿が見えない。

 若くてきれいな侍女は幾らか俺の世話をしていくれているが、パチンコ台でみたシンシュアと同じような顔立ちの女性は俺の周りに現れていない。


 どういうことだろう?


 歴史に改変が加わっているのか?

 ならば、俺がこのまま王様へ成長していくというルートもありえる?

 それならそれで、別に問題は無いような気がする。


 別に原作どおりに進めなくたっていい。

 元々俺には、冥界の王を封印するための鍵探しと言う使命があった。

 芙亜フアというヒロインも遅れて転生してくる。二人で協力して鍵を探して冥界の王、デューナゾートを封印するのだ。

 でも、それすらどうでもいいことに思えた。


 王様で、ハーレム作って、のほほんと暮らす。それだって、異世界転生を満喫したという人生と言えるだろうから。

 打っていたパチンコ台が、他の誰かにハイエナされて、確変(オオアタリが何度も連続で来る状態)に突入して、銀玉の山を築いていようが。

 ちっとも悔しくない。パチンカスだった俺が、王子として好き勝手に暮らせるなら、元の世界の小さなパチンコ玉――たとえそれが何万発あろうとも――になんて未練はこれっぽっちもない。


 俺は、転生した人生を思う存分楽しむ。それをモットーに掲げつつある。

 できれば、起こるかもしれない革命を阻止したい。だが、そこまでの力はまだ俺には無い。

 出来るのは願うだけだ。


 なんて思っていたら、ある晩。


 寝ている俺の枕元でごそごそという気配に目を覚ます。

 ゴダードが来てしまったようだ。


 結局、革命がおこり城から逃げ出すという歴史は決定事項のようだ。


「トール殿下、失礼いたします」


 ゴダードはそれだけを言うと、俺を抱き上げた。


 ゴダードは俺を抱いたまま、物音を立てないように静かに、それだけど急ぎ足で城内を走る。

 途中で何人かとすれ違ったが、誰も見とがめることはなかった。これも原作通りの展開だ。


 すれ違う兵士や城の使用人は、ゴダードになにか小難しい言葉を掛けてくる。

 いくつかは聞き取れた。俺だってこの世界の言葉をかなり覚え始めているのだ。

『幸運を』とか『どうか御無事で』みたいな意味の言葉だ。


 遠くのほうで怒号や金属同士がぶつかる音が聞こえてくる。

 争いの余波。


 ゴダードが誰かに尋ねる。


「馬車の手配は!?」


「はっ! 整っております」


 ああ、このまま俺は馬車に乗せられるんだ。


 それで、シンシュアとともに山奥に向って走りだす。

 結局、王子としての贅沢な暮らしとは無縁の生活が始まる。


 まあ、それならそれで、人生楽しんでやろうじゃないか!

 原作では触れていなかったが、シンシュアは若くて美人だ。彼女との生活であれば、飽きることはないだろう。

 ゴダードから剣も学べるし。


 なんて達観しかけた時だった。


『リ~~~~~~~~チ!!』


 突然大きな声が響く。いや、こっちの世界の言葉ではなく、聞きなれた声。

 パチンコ台でリーチの際に鳴り響く音。

 パチンカスの俺は何全何百回と聞いた演出の音声。


 リーチって? どういうことだ?


 なんだ? 異世界じゃないのか? 結局これはパチンコ台なのか?


 それとも幻聴?


 不安や疑問は大きくなるが、一介の赤子でしかない俺は流れに身を任せるしかないのであった。

乾燥でのご依頼が来ないので、リパチが(RE:パチンカスから始める異世界転生転生)第三話まで進みました。

この辺りから、パチンカスとしての才能が発揮されます?


 で、続くのかどうなのかはまだよくわかってません。

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