◎ご依頼#4 『セカイの調停者』
推敲してません。すみません。
『セカイの調停者』
原案:鬼灯篤楼(id:426677)様
詳細は、感想欄をご覧くださいませ。
――――本文開始――――
「一流。お前、さっきもアイス食ってなかったっけ?」
礼二先輩が、目ざとく俺を見つけて近寄ってきた。
礼二は変態だけど、心優しいナイスガイだ。卑猥なことを臆面もなく口にすることがままあるが、本人も気にしていないし周囲にそれをあまり不快に思わせないというどうでもいい特技を持つ。
「ああ、さっき食べてたやつが当たったんですよ。
だから購買に行ってまたもらってきたところです」
「そうか。もし今食べてる奴もアタリだったら、俺にくれよな」
「ええ、いいですよ」
と、ガリガリとアイスを噛みしだくと、あろうことか2連続でアタリだった。
「まじか?」
と礼二先輩は驚く。
「こういうこともあるんですね」
この時は、これが異常事態の始まりだとは露ほども思っていなかった。
俺は、アイスのアタリ棒を礼二先輩へと譲り渡して教室へと戻った。
「三空くん。もし今好きな人がいないんだったら……」
場所は屋上。目の前には、学園のアイドル御三家の一角。
巨乳でグラマラスな日比塚詩織先輩が立っている。
なんだこの展開は?
昼休み。教室へ帰る途中で呼び止められたのだ。三年の詩織先輩に。
ヘタレでなんのとりえもない俺は、それがこんな展開に繋がるとは露ほども思わずに二つ返事で呼び出しに応じた。
詩織先輩とは直接の面識はないが、雑用でも押し付けられるぐらいにしか思ってなかったのだが。
「わたしとぉ、付き合ってくれたらぁ……」
などと言いだした。
「ま、マジですか! えっ? ドッキリじゃないですよね?
ドッキリなら後悔させますよ!
付き合えというのなら、断る理由なんてありませんから!
でも、付き合うってことはそれなりの覚悟はありますよね?
例えば……」
「……?」
詩織先輩は、なんのことだかわからないという風にきょとんとしていた。
純真無垢な先輩にまさか、付き合う証しにチュウをさせろなどとは言い出しにくい。
「わかりました。
徐々にステップアップしていきましょう」
「それってぇ……?」
「もちろんOKですよ。
不肖、三空一流。
俺でよければ、詩織先輩の彼氏でも従者でもなんでもお務めしましょう」
二つ返事で引き受ける。
「ありがとぉ……」
詩織先輩はにっこりとほほ笑むと、照れを隠すように顔を手で覆いながら屋上を後にした。
恥ずかしがってるんだな。告白を言い出すのもすっごい言いづらそうだったし。
でも……、これで俺は学園のアイドル詩織先輩の彼氏になってしまった。
じわじわとこみあげてくる喜びに浸っていたのもつかの間。
「何してたのよ!」
と声を掛けられた。振り向くとクラスメイトの佐久間葵が腰に手を当てて立っている。
「いや、何って別に……」
「別にじゃないでしょう!?
日比塚先輩と一緒じゃなかったの?」
「どうだっていいだろ、そんなこと」
と俺は言い返す。
「どうだっていい……ねえ……」
葵は、短い髪をかきあげなから俺の態度を物色しているようだ。
「お前には関係ないから。それよりなんか用でもあるのか?」
突き放すように言ってみた。
「用事? あるわよ。
あんた二年にもなって彼女がいないでしょ?」
ズケズケと物を言う奴だ。まあ、確かについさっきまではそうだったけどな。
今は詩織先輩という立派な彼女がいる。
ただ、それをいちいち葵に言う必要もない。
と思い俺は黙っていると、
「なんかさあ、可哀そうになってきたのよ。
ヘタレで持てない一琉がさあ。
不憫に思えちゃって。
だから、あたしが付き合ってあげるわ。
んじゃ、明日からよろしく」
「おい! ちょっと……」
断る暇も与えてくれずに葵は身をひるがえすとさっさと去って行った。
なんだこりゃ。この数時間で二人も。
しかも、ひとりは詩織先輩。
そして、葵も肉食系で性格にきついところがあるとはいえ、その美貌は余人の追随するところを許さず、並び立つのは詩織先輩と一年の夏越由夢ぐらいのもの。
要は、詩織先輩、葵、由夢ちゃんの三人が、我が学園のアイドル御三家なのだ。
そのうちの二人から立て続けに告白されるなんて。
意味がわからん。いや、俺の魅力が真価を発揮し始めたということなのだろうか?
そういえば、最近さわやかさに磨きがかかってきたような気がする。
ヘタレっぷりも発揮していない。
モテ期到来と言う奴だろうか。
俺は屋上を後にしつつ、明日からというか今から、どうしようかと悩みながら歩いていた。
葵には返事こそしていないものの、向こうは俺と付き合い始めた認識だろう。
二股ということになるのだろうか?
共に同じ学校とはいえ学年が違う。ばれずになんとかなるのか?
まあ、なんとかなるだろう、なんて適当なことを考えながら歩いていると、
「きゃっ!」
誰かにぶつかってしまった。
「痛ーい!!」
小柄な女の子が、転んでいる。ツインテール? まさかな……。
「痛かったですよ!」
「ごめんごめん」
俺は謝りながら、女の子が立ち上がるのに手を貸す。
予感が現実となり、アイドル御三家の残り一人、由夢ちゃんということが明らかになる。
「どこ見て歩いてたんですか?」
「ごめん、ちょっと考え事してて」
「当ててみましょうか?」
「えっ?」
「三空先輩が何を考えていたか?」
「俺の事知ってるの?」
まさか、由夢ちゃんが俺を知っていたとは露ほども知らず。
驚いた。
「そりゃ知ってますよ。
で、先輩。
ひょっとしてわたしのこと考えてたでしょ?」
「えっ? いや……」
「隠してもだめですよ。顔にちゃんと書いてありますよ。
由夢のこと好き好きなんでしょ?」
なんだこの展開。
「いや……、可愛いなとは思ってたけど」
アイドル御三家の一角だし、彼女らのことを知らない男子はいないからな。この学校には。
「きゃはっ! アタリですね!
ご褒美に、由夢ちゃんと付き合う権利を差し上げます!」
「ちょ、どういう……」
「じゃあ、先輩! 明日から、由夢ちゃんの彼氏として精一杯頑張ってくださいね!」
と、由夢ちゃんはツインテールを揺らしながらとたとたと走り去る。
「いやはや……」
今日はどうかしている。詩織先輩に続いて、葵とそれに由夢ちゃんまで。
アイドル御三家に立て続けに告白されて付き合うことになるなんて。
三股?
すっげえ。俺すげえ。モテ期どころじゃないぞ。これは。
このチャンス。逃してなるものか。
明日から、バラ色の学園生活だ。
さあ、どうする? 一週間は七日ある。
月金を詩織先輩。火木を葵、水土を由夢ちゃんに当てて、日曜日はローテーションでそれぞれとデートするか。
それとも……。もう三人まとめて毎日付き合うか? それでもいいような気がしてきた。
三股なんて隠す必要もないのかもしれない。
きっと、三人とも俺にぞっこんなんだろう。他に彼女がいたって気にしないかもしれない。
そればかりか、それぞれ競い合って俺を奪い合うためにあれやこれやと……。
などと妄想にふけりつつあった俺の背後で。
「見つけたわ。『特異点』」
冷たい声が響いた。同年代とおぼしき少女の声。
うちの学校の制服を着ているが……。見たことのない顔だ。
それだけなら、まだ理解の範疇だが。
若干クールな印象を受ける顔立ちだが、かなりの美少女。
学園のアイドル御三家にひけをとらないほどの。
こんなかわいい子が無名のままで噂にならずに存在できるわけがない。そう思えるくらいの可憐さだった。
転校生か? それならば納得いくが。
「『特異点』を放置してしまえば、世界のバランスが崩れるわ。
『調停』が必要ね」
「なに? っていうか君は?」
「『調停者』よ。セカイを『調停』するもの。
『特異点』とともに生き、セカイのバランスを保つ使者」
そう語る少女の顔にはどこか見覚えがあるような気がする。言っている意味は良くわからないが……。
「三空一流ね。
あなたは『特異点』となってしまったようだわ」
「さっきから……。『特異点』ってなんなんだ?」
「『幸運』を集める存在よ。
セカイのありとあらゆるものから『幸運』を奪い取り自らのものとする」
それが本当なら……。アイスが当たったのも、立て続けに三人の女子から告白されたのも、理由がわかる。
さらに言えば、自らを『調停者』と名乗るこの女の子。
どう考えても、俺の好みの顔立ちのど真ん中を横切るルックスをしている。
出会えただけでラッキーだと思う。それも誰かの『幸運』を横取りしているということなのか?
「運がいいんだったら、俺。
そのまま運がいいままがいいんだけど?」
「あなたのまわりに『幸運』が集まるということは、それは他の場所で『不運』が生まれるということを意味するわ。
多少の不均衡ならば見逃せるのだけれど。
これから、あなたのまわりには想像を絶するほどの『幸運』が押し寄せる。
それを放置することは、セカイの滅亡を意味する……。
それを防ぐためにわたしは来た。
『特異点』を解消するために」
えっ? セカイの……滅亡……。
to be not continued...
約3600文字。小一時間で書きましたっ!
ご依頼ありがとうございましたっ!
ではっ! エタリますっ!




