第55話 女の子たちと夏休み? 8月15日~8月20日
俺たちはやっと見つけた民家のインターホンを押した。
「はいは~い」
民家の扉の向こうから人が走ってくる気配がする。
「どちらさま……あ!」
「げ……」
「?」
彰は俺が「げ……」と言った意味がわからないらしく頭にクエスチョンマークを浮かべている。
「亮君!」
「まさか……ここは……ばあちゃんの家!?」
俺たちが着いたのは俺のばあちゃんの家だった。
そしてそこにいたのはゆき……
「どうしてゆきがいるんだよ!?お前はこんなところに住んでないだろ!?」
「だって夏休みだも~ん。亮君みたいにおばあちゃんの家に来ない薄情者じゃないも~ん」
「う……」
だってばあちゃんの家どうやって行くかわからなかったし……
「亮この子誰だ?」
「俺の従兄妹……」
「へ~」
へ~って……反応薄いな……
「まあとにかく電話貸してくれないか?」
「電話?別にいいけど」
そう言ってゆきは携帯を取り出す。
「さて……誰に電話しよう……」
そのセリフを言ったところで俺はあることに気がつく。
「電話番号わからねえ……」
「杏奈のだったらわかるぞ?」
「マジで?」
「マジで」
「さすが許婚!」
彰は杏奈に電話をかける。
「あ!杏奈?あのさ~会長に頼んで迎えにきてくれない?」
俺は2人の会話を聞くために電話に耳をつける。
『それよりも彰……今彰の電話番号じゃない番号が表示されたんだけど……』
「そりゃ俺の携帯で電話かけてないもん」
『女の子の携帯?』
「うん」
『彰のバカ!!』
その言葉を最後に電話は切れてしまった。
「なにしてんだよ彰!」
「俺が悪いのか!?」
「そうだ!お前が全部悪い!!」
「酷いぞ亮!!」
「亮君どうしたの?」
ゆきが聞いてくる。
「俺たち今迷子でさ……」
「迷子?」
「ああ……それで迎えも来てもらえなくなったんだ……」
「それは悲しいね」
「そうだろ?」
「じゃあとりあえずここに泊まっていけば?」
「いいのか?」
「おばあちゃんに聞いてくるね」
そう言ってゆきはトテテテテ……と行ってしまった。
「泊めてもらえるといいな……」
「ああ……」