堅牢平和主義の宣誓文
日本は、戦後八十年にわたり、憲法の平和理念を掲げ、一貫して国際社会の平和と安定に貢献してきた。
軍事力による解決を戒め、対話と協調による秩序形成を重んじるその姿勢は、世界の中でも特異な存在として尊重されてきた。
しかしながら、近年の国際情勢は著しく変容している。
力による現状変更の試み、領域侵犯、情報戦、そして非対称戦力の拡大など、伝統的な安全保障観では対応しきれない、複雑かつ曖昧な脅威が現実となっている。
わたしたちはいま、平和の理念だけでは現実の脅威に立ち向かえないという、厳しい現実に直面している。
それでもなお、日本は憲法の平和理念を継承し、平和を世界に「宣言」し、それを制度と覚悟をもって「誓う」国家であり続ける。
すなわち、「平和宣誓国(Peace-pledged Nation)」とは、秩序と制度を通じて主権と民を守り抜く道を選ぶ国家の姿である。
この誓いは、単なる理想主義ではない。
むしろ、「非核兵器」「非先制」「不侵略」という厳格な三原則を自らに課すことで、日本は人類史上かつてないほどの軍事的選択肢を自制している。
そして、この三原則を補完的に機能させるのが、本防衛ドクトリンそのものである。
本ドクトリンは、この「堅牢平和主義」の理念に基づき、制度的な即応性と実効的な抑止構造を統合し、あらゆる不測の事態に対応しうる進化的な枠組みとして設計されている。
さらに、開戦責任追及制度を内包した本ドクトリンが、その理念と本質的な真意を国際協定において共有・理解されれば、その持続性と国際的信頼は一層強化されるだろう。
日本の未来と世界の平和を守るため、実効的な力と制度的な仕組みを整備し、現代にふさわしい新たな平和理念を打ち立てる。
わたしたちが真に対峙しているのは、戦争という一過性の現象ではなく、暴力が制度や意図の中に組み込まれた「構造」である。
敵対的意図がどれほど巧妙であろうと、制度によって自制と対話の余地を内包しながら、主権と国民の命を守り抜く。
それこそが、「堅牢平和主義」の核心である。
令和7年 8月 15日
北斗七星