最終回
「おのれ、魔王の奴!」そう叫んで空間弾烈を発動されて突っ込んで行った有一郎だったが、あの必殺の空間弾烈も軽くかわされてしまった。
すべての行動は読まれている。
そのうえ、時間を飛ばすことができる。
どのような術を使っても全く通用しないことは明らかだった。
「この青二才め」デザミングは有一郎をいたぶるかのように、空中高く蹴り上げた。
「ぐぐぐ」有一郎はかなりのダメージを負ったが、まだ息はある。
デザミングが有一郎を生殺しにして苦しめてやろうと手加減を加えていたからだ。
あやかは逢魔時白烈を放ったが三百羽の白い八咫烏がデザミングに届くことはなかった。
ことごとくが、目から放たれた光線によって叩き落され、粉砕されていた。
デザミングはあまりにも強かった。
そして、光線があやかの胸を撃ち抜いた。
「あっ」あやかは胸を押さえて倒れ込んだ。
それでも、あやかは立ち上がろうとしていた。
光線を一発受けただけで終わってしまうような弱い女性ではない。
しかし、有一郎は這いずりながらあやかの傍にきて言った。
「あやかちゃん! 立ち上がってはダメだ。立ち上がれば何十発も光線を受けてしまう」
もはや、デザミング相手に勝ち目はない。
ならば、できるだけ傷が浅いままじっとしていた方がいい。
あやかは有一郎に、かぼそい声でささやいていた。
「ごめんね、わたし、あなたを騙し続けてきたわ。もう、うすうす気づいているかと思うけど、わたしは妖怪なの。女郎蜘蛛という妖怪なのよ」
(蜘蛛の妖怪? だから、糸を吐くのが得意だったのか)
「短い間だったけど、とても楽しかったわ。でも、わたしがいなくなっても榊原さやかちゃんがもうすぐ中学校に入学してくるわ」
こうして、あやかは現世、人の世から姿を消した。
もう、これまでだ。
有一郎もあやかの後を追う運命にある、と確信したそのとき、花房が姿をみせた。
後ろに六人の男たちを従えている。
花房はデザミングに言った。
「オレたちは関東霊夢省の者だ。といっても、関東霊夢省はオレたち七人が造った架空の組織だけどな。オレたちの本当の正体はこれだ!」
そこには、14本の手と両面の顔をもつバケモノが立っていた。
その名は陰府神霊両面宿儺。
すると、14本の手が割れて、そこから光が湧いてきた。
14本の光は光線となってデザミングを撃ち抜いた。
「うご!」
デザミングもさすがに光速には対応できない。
時間を飛ばすマグナカルタを作動させるヒマもなく、体中を穴だらけにされた。
その穴々から光が漏れ出し、やがてデザミングの体は大爆発を起こして雲散霧消して行った。
(関東霊夢省って、陰府神霊両面宿儺の仮の姿だったのか。そして、あやかちゃんは妖怪女郎蜘蛛だった?)
しかし、今度は本当の人間である榊原さやかちゃんがやってくる。
あやかちゃんがいなくなったから、もう妖術は使えなくなるかもしれないが……まだまだ、僕の人生は終わりではない。
むしろ、これからが勝負だ。
そして、いつかは、牛鬼婆村で暮らすようになるかもしれない。
そのときは、またあやかちゃんに会えるかもしれない。終わり。




