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六眼シンシャ、バンブルビーアイ

「アンドレ君がさぁ、有一郎君とお茶したいというので、近くのカフェで待たしているんだけど、お茶する?」


(ア、アンドレだと。まだ生きていたのか。そして、こいつらの仲間になっている? こいつは都合がよい、アンドレをコピーすれば、こいつらの中に入り込めるじゃないか)。


「アンドレ君が待っているのですか?」

「そうだよ、長らく会っていないだろう」


「そ、そうですね」


花房は(ウソつけ、先日、会ったばかりじゃねぇか。これでアンドレの名前を知っている使徒であることが確定したな)と笑いをこらえていた。


まんまと偽有一郎を店外におびき出すことに成功した花房はその旨を有一郎にメールした。


すると一反木綿からおばりよんが降りてきた。

彼は背中に乗るとだんだんと重くなってゆく妖怪だ。


さて、おばりよんはコピーマンに触れてコピーされるのだろうか。


花房たちは、コピーされないと考えていた。


アンドレは元人間だからコピーされるかもしれないが、おばりよんは元々妖怪だ。

いわば、風説のような妖怪だ。


風説をコピーできるのか?

できないだろう。


偽有一郎が出てくると、待ってましたとばかり、おばりよんがその背中に飛び乗った。


おばりよんは人の目には見えないから、人目には偽有一郎がおばりよんの重さに耐えかねてうずくまったとしても、体調を崩してうずくまったのと区別がつかない。


花房が小声でささやいていた。


「どうだ、重くて動けないだろう。そのまま、アンドレを呼んで黄金のナイフで刺してもらおうか」


(お、黄金のナイフだと。何でもしぼませてしまうというあれか)

コピーマンは冷汗を流していた。


「そ、それだけは勘弁してくれ、おれはまだ消されたくない」

「では、お前の生前の正体を言え」


「オレは九州のやくざだ。破門されて東京に流れてきてボッタクリバーなどの用心棒をしてしのいでいたが、魔王につかまって使徒にされちまった」


「ほぉ、何をやらかして破門された?」

「バシタとったんですわ」


「仲間の女を寝取ったと言うのか。それで追放されたと」


「それからいっさいツキが無くなったと思ったらコピーマンにされて、いい思いをいっぱいさせてもらっていたのに、ちくしょう、変な奴をコピーしたばっかりに、クソ、下手を売ったぜ」


「有一郎君を狙ったのは自分の意思ではあるまい。誰かに命令されたのだろう。そいつの名前を言え、そうすればアンドレを呼ばない」


「ううう、言えば消されてしまう」


「どうあがいても消される可能性はゼロにはならない。しかし、オレたちにゲロれば、命を助けてやってもいい」


「ほ、ほんとうかい。ウソはなしだぜ。ウソはつき飽きたし、つかれ飽きた」


「ウソはいわねぇ、現実にアンドレは生きているだろう。お前は使い道がありそうだから、生かしておいてやる」


「ところであんたは誰だい。普通の人間には見えねぇが」

「オレは関東霊夢省の者だ。そういえば分かるか」


(関東霊夢省? 噂に聞いている妖怪を管轄している国家機関か? どおりでへんな妖怪をよこしやがったのか。ううう、こうなりゃ仕方ねぇ。あとは野となれ山となれだ)


「わ、分かりやした。で、どうすりゃいいんですかい」


「まず、お前に命令した者の名前を言え」

「六眼シンシャを持つバンブルビーアイという奴でっさ」


「六眼シンシャ? それは魔王の能力だろう」


「それを分けてもらったんでさぁ。だから、バンブルビーアイは幹部使徒ということになるんですわ。実質的にナンバーツーの使徒ですわ」


(ふむ、ようやく幹部にまで辿りつけたか。あと、もう一歩だな)


「よし、分かった。約束通り命だけは助けてやるがアンドレ同様、オレたちの監視下に置く。下手な動きをすれば、破門どころではすまされないぞ。オレたちはヤクザほど甘くはないということを忘れるな」


花房は、有一郎と偽有一郎が並んだ写真や動画を学校と警察に持ち込んで有一郎にかけられた疑惑を晴らしたが、頭の中はそれどころではなかった。


六つの目を持つ妖怪などはいないが、目が八つの蜘蛛の妖怪なら、土蜘蛛や女郎蜘蛛などがある。


だが、幹部使徒が持つ能力であれば、そのような単純なものではないだろう。


使徒の誰かが言っていたな、見ただけで人の心を操ると。

あり得る能力だが、それだけでは済まないだろう。


有一郎も六眼シンシャに思いを巡らせており、あやかに訊いていた。


「シンシャって何だろう」

「赤い顔料じゃない」


「つまり、六つの赤い目を持つ使徒か。聞くだけでややこしそうですね。で、どんな格好をした奴だと思う?」


「多分、見た目は普通のサラリーマンでしょうね。日本では、個性を消したスーツ姿の方が目立ちにくいし、変身もしやすいわ。だから、サラリーマンに擬態していると思うし、わたしならそうするわ」


バンブルビーアイは、透視の力によってアンドレとコピーマンが生きていることを知った。

しかも、敵の仲間に取り入れられている。


(こいつらが生かされているということは、かなり情報が漏れたと考えていいだろう。油断はできない)


バンブルビーアイはスーツを着こなして牛鬼婆村へやってきた。

ここにアンドレたちがいると方向を示す目が語っている。


しかし、バンブルビーアイはここではスーツを着た若い男はばぁばたちの洗礼を受けること知らなかった。


近寄ってきたばぁばが九州弁で言った。

「ちんちん握ってよかとね?」


「は? いいわけないだろう。いきなり、なんちゅうことを言うのだ」と騒いでいると、他のばぁばにいきなり羽交い絞めにされ、「さぁ、ズボンさ脱がしてちょっくら査定してみるばい」と言われた。


「おい、よせ! オレのいちもつにさわるんじゃねぇー」


(ひぇ、あぶねぇ、唯一目ん玉のつかないところを攻めてくるとは、これは偶然か必然か)


バンブルビーアイが大騒ぎをしているので、アンドレとコピーマンにはその存在がすぐにわかった。


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