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アツユの式神、使徒サキエルに喧嘩を売る

そのような妄想を抱えて自宅に帰ると、普段は何も言わない母親が「有一郎、あなたね、ちゃんと学校行っている? 学校から連絡があって不登校が続いていると言っていたけど、どうなの?」と言ってきた。


(うう、不登校! 確かに、よくよく考えてみると僕はまだ中学生だったのだ。妖怪と戦っていたから、すっかり忘れていたけど、まだ、中学生なのだ! なんてこった!)


「いろいろ忙しくてさぁ、確かに、学校は無断欠勤が続いているけど、どうってことはないんだよ。アインシュタインだって、学校の授業などバカバカしくてやってられないなどと言っているしね」


「まぁ、あんたは株でも大儲けしているし、学歴などなくても問題のない人生だと思うけど」


「そうだよ。アメリカで大活躍している創業者たちだって、ほとんどが中退しているし、学校の授業など効率が悪くてやってられないというのが本音なんだよ」


(マジでそれどころじゃないんだよ。今は式神をどうするか、そこから発展させるためにはどうするべきかということで頭が一杯なんだよ、と言っても頭の古い母親には理解できないか)


久しぶりに臨闘列伝・アツユに会うと彼も髑髏夜叉を取り逃がしたことを残念がっていた。


それはそうだろう。

共に、ほぼ死なない存在だから、どこかで必ず再戦が行われるはずだ。


だから、戦いのツケは早めに清算しておきたい。


「新しい式神が見つかったので使えるかどうかアツユさんにチェックしてもらいたいと思っているのです」


「ほぉ、式神? で、妖怪でござるか、それとも……」

「妖怪と霊のコンビです」


「おお、いいのを見つけてきましたでござる。さっそく髑髏夜叉を見つけてやっつけるでござる」


アツユとあやかと有一郎が透視したところ、髑髏夜叉は新藤幸喜という名前で、光よ光よ教団という新興宗教の組織に入り込んでいた。


あやかはさっそくヤタロウとかごめ親子を式神として飛ばした。


その後を、ヤタロウとかごめの式神たちに影のように付き添って飛行するアツユの式神がいた。


しかし、ヤタロウとかごめは任務を放棄して、すぐに帰ってきた。


かごめがあやかに言った。

「あそこはダメよ。使徒のサキエルがいるのよ」


「使徒?」

あやかは有一郎に「新興宗教の教団に使徒がいるらしいわ」と言った。


「ということは、その教団の教祖が魔王なのでしょうか?」


「分からないけど、とりあえず花房さんに連絡を入れた方がいいかもしれないわね」


有一郎は混乱していた。


(髑髏夜叉と魔王と使徒とアツユ? これが本当なら妖怪世界を巻き込む大戦争に発展してしまうかもしれないぞ)


連絡を受けて花房がすっ飛んできた。


第一声が「使徒がいるだって! 光よ光よ教団だって。髑髏夜叉もいるだって、これは尋常じゃないな」だった。


有一郎が言った。

「そこに魔王がいたならば、事件ですよ」


そこに、アツユがやってきて、花房を見て「あ、どうも」といい、さらに「拙者の式神が髑髏夜叉を確認したでござる。しかし同時に、宇宙人みたいな奇妙な奴も発見したでござる。ありゃ、何ですか」と言った。


花房が答えた「あれは使徒という妖怪です」

「妖怪でござるか、和風ではないようですな」


「新顔です。宇宙人みたいな格好をしていますが人間です。ただし、どのような妖力を与えられているかは不明です」


「与えられている?」


「魔王とか呼ばれている巨大妖怪から妖力を授けられていると考えられています」


「魔王? 魔術使いでござるか、拙者の苦手とするところでごじゃるので、あたしゃ、あまり関与したくないでごじゃる」


「はぁ」有一郎は呆れていた。

アツユが話す主語と末尾が支離滅裂になっている。


そうか、アツユさんは魔術が苦手分野なのか、武闘系だからな仕方がないか。

でも、アツユの中国系妖術も見てみたい気もする。


「アツユさんも妖術を使えるんじゃないですか? 式神使いだし、変身もできるし」


「ま、多少は使えるでごじゃるが、それより牛刀を使う方が楽しいでごじゃる。でも、あの宇宙人のような使徒と戦ってみるのもおもしろいかもしれないでごじゃる」


「一緒にたたかいましょうよ。僕も参戦しますから」


「それもそうでごじゃるな。食わず嫌いは犬でも食わぬというでごじゃるからな」


(はぁ? そんなことわざあったけ? 夫婦喧嘩は犬も食わないというのは聞いたことがあるが)


花房が言った。


「とりあえず教団に乗り込んでみよう。髑髏夜叉は二の次だ。使徒サキエルだけが狙いだ。有一郎君もあやかちゃんもアツユさんもご協力お願いしますよ」


サキエルは人には見えないことをいいことに、しれっと人ごみに満ちた教団の中を歩いていた。


アツユの式神がサキエルにビタッと張りついてささやいた。

「おい、おまえちょっとこい」


「は?」

サキエルはビックリしたが、「お前は誰だ」と返していた。


「お前と同じ妖怪だよ、ちょっと顔を貸せ」


「あ? オレと戦いたいってのか」

「そうだ」


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