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弥太郎とかごめ、式神にされる

「ああ、我々はそう呼んでいる。確認できている使徒は、現在は三人だけど、やつらは無能の中から選ばれた極悪のエリートたちだ。そして、そのような連中がこれから増殖されるかもしれない。そのバックにはとてつもない魔物がいると、我々は考えている」と、一息ついでお茶を飲んだ後、花房は有一郎に訊いた。


「ところで、昨日、山旺町の花山神社で火災があり、そこに壊れたアメリカ製の軍事ロボット犬が発見されたのだが、有一郎君は何も知らないかな」


「いえ」と有一郎は答えた。

「知っています。あの事件は僕たちがやったことです」


「なぜ、そんなことを?」

「あそこにソウルイーターの花咲かごめがいたからです」


「花咲かごめ? 彼女は花山神社の神主である花咲弥太郎の娘だ。20年前、複数の強盗たちが花咲家に押し入り、父である弥太郎と娘のかごめを惨殺した。二人共、すでに死者だ」


(やたろう? そうか、タロウという名はそういうことか。ということは垣間見えた黒いものはヤタロウか。二人は恋人同士ではなく、親子だったのか。逃げて逃げて逃げては、強殺犯に襲われたかごめが父親に発した言葉だったのか)


謎がボロボロと解けて行く。


有一郎は言った「では、これからドメスティ教会に行って、魂喰魔女(こんくいまじょ)かごめを確保して、牛鬼婆村に連行しましょう。そして、そこに監禁しましょう」


すると、花房は言下に否定した。


「ダメだ。こいつはもはや妖怪でも何でもない。ただのバケモノだ。捕え次第、消去しなければならない」


「消去?」

「そうだ、魂魄喰らいに堕した以上、一切の情けは無用だ」


ドメスティ教会が休日になっている日を選んで、三人はかごめの絵の前に立っていた。


「この酷い絵がかごめの肖像画というのか」と花房は言った。


「オレが見た生前のかごめの写真はとてもかわいらしい子だったのに、これが肖像画とは、とても信じられない」


「この絵はかごめの内面を描き出しているのではないでしょうか」とあやかが言うと、「内面を描いている……、さすが、あやかちゃんは目のつけどころが違いますね」と訳もなく、あやかを持ち上げていた。


(なんじゃそれは)


花房は絵に向かって叫んでいた。


「花咲かごめ、出てこい。出てこなければ、この絵からお前を引きずり出し、この絵を燃やしてやる」


すると「そんなことさせないわよ」と叫ぶ声が聞こえ、かごめが、花房の前頭葉めがけて飛び出してきたが、花房の前面に張られた透明のネットに弾き返されていた。


「おまえ如きの非力な妖怪になにができる」


花房の言葉が合図のように、有一郎は霊魂糸縛を発動させ、蜘蛛の糸のような魂の糸で絵の中逃げ込んだかごめを縛り、引きずり出した。


あやかが叫んだ。


「さぁ、ヤタロウさん、あなたもでてきなさい。でてこないのなら、かごめさんを消去して、その絵も燃やすわよ」


すると、ヤタロウが姿を現した。


その姿は髑髏に黒いモヤのようなまとった、不自然な形態だった。


(奇妙な形ね。輪郭がはっきりしていないわ。もしかしたら……やたろうは妖怪ではなく霊? 霊なのね!)とあやかは、嬉しそうな声を挙げた。


「あなたは霊でしょう」とあやか言うと「そうだ」と弥太郎が答えた。


「わしは、神主じゃから、かごめのように妖怪にはなり切れない。そこで、かごめが墓場からわしを抜き出したのじゃ。おかげで、このような尻切れトンボのような形になってしまった」


有一郎が言った。


「かごめちゃんがソウルイーターになったおかげで、あなたたちを殺害したトクリュウのような稚拙な犯罪が増殖されているのだ。その責任はどうとってくれるのか」


弥太郎は「うう」と唸っていた。


妖怪になり切れないだけあって、まだ良心は残っているようだ。


これはこれで都合が良い。


「とりあえず、あなたたち親子は風船のような玉の中にはいってもらうわよ」とあやかが針千本(はりせんぼん)風船桜(ふうせんざくら)を起動した。


とげのあるシャボン玉のようなものが泡のように浮いてきて、二人は丸い風船のような玉の中に閉じ込められた。


「わたしたちの言うことをきかないと永遠に玉の中に閉じ込めるわよ」とあやからしからぬ恐ろしいことを言った。


そして、弥太郎にこう言った。


「あなたはこれから、式神として働いてもらうわ。名前はヤタロウよ」


「式神? 陰陽師が使う、密偵としての式神か?」


「そうよ、あなたの黒いマントのようなモヤが役に立つわ。霊としての式神があなた、妖怪としての式神がかごめちゃん。親子そろえば、それなりの力が発揮できるでしょう」


花房がかごめに訊いた。

「ソウルイーターという妖力は誰に授けられた」


「使徒よ」

「なんだって、使徒だって!」


「そうよ、使徒は一人だけ知っているわ。エヴァンゲリオンの第三使徒、サキエルを細くしたような恰好をしていたわ」


「で、使徒の親玉は誰か知っているか」

「知らないわ。そこまで会話はしていないの」


有一郎は、(あやかちゃんの狙いは霊を式神にすることだったのか。僕とは少し違うけど、とりあえず、式神としてどれくらいの能力を発揮できるのか試してみたい)と考えていた。


そこで思いついた絶好のターゲットがアツユが逃がした人面獣心髑髏夜叉だ。


これで、あの赤い渦巻き型の隻眼を持つ赤い牛の胴体に馬の足というバケモノにもう一度会うことができる。


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