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臨闘列伝、金庫の中の金を奪うため髑髏夜叉を襲う

花房が言った。

「で、君は妖怪を一匹拝借して何をしたいのかね」


「それがしがしたいのは、烏小天狗を式神として使って投資詐欺を働いているアネイシスから、ざっと60億円ほどを奪おうと考えているでござる」


「その詐欺には妖怪が絡んでいると」

「さよう、それがしは妖怪人面獣心が関係しているのではないかと考えているでござる」


「人面獣心髑髏夜叉か」

「さよう」


「あり得る話だな。奴は確か、遠隔で人の心を操るのを得意とする妖怪だな」


アネイシスは常に一流ホテルを借り切り、芸能人たちを招待した豪華なパーティを開催していた。


騙し取ったお金が百億円ほどあるからお金はかけ放題だ。


それなのに、(芸能人たちも出席しているこんな豪華なパーティを開けるというのは信頼できる一流の企業の証よね)と思ってくれるカモは後を絶たない。


欲と道連れになったカモを騙すのは赤子の手をひねるより簡単だ。

遠隔で心理を操作する必要など全くない。


仕掛けさえできれば釣り放題だ。

アネイシスのCEOは段野剛造という男だった。


臨闘列伝はこの男こそ髑髏夜叉に違いないと感じていた。

なぜなら、奴はプライドが高いからだ。


必ず、最高の地位についているはずだと睨んでいた。

COOは花咲英二という男だが、これは普通の人間だろう。


問題はどこにお金を隠しているかだ。

間違っても、すぐに税務署に調べられる銀行や貸金庫などには預けてはいないだろう。


となれば、港区のタワマン高層階にある豪華に飾り立てられた会社の奥まった一室の金庫に収められているだろう。


ここまでの推理は間違っていないはずだ。

臨闘列伝も妖怪なので、妖怪の考え方はよく分かる。


奴らの思考は意外と単純だ。

決して独創性に満ちているわけではない。

それが術に頼る者の欠点だ。


夜の(とばり)が降りた丑三つ時、タワマン40階の窓の外を一匹の烏が飛んでいる。


烏は人の気配を探っている。


誰もいないと分かると臨闘列伝の式神が窓を透過して侵入し、金庫のある部屋に向かう。


その様子をあやかと有一郎は透視していた。


臨闘列伝の式神は錫杖(しゃくじょう)は持っていないものの、顔は真っ赤な鬼であり、頭に黒い頭巾(ずきん)をかぶり、袴を穿いている。


あやかと有一郎が透視しているので、赤い隻眼を持つ臨闘列伝(りんとうれつでん)も当然、透視している。


そして、金庫に辿り着くと簡単に開錠した。

中にはびっしりと札束が詰められていた。


これさえ確認できれば式神の役割は終わる。

後は、いかに髑髏夜叉が化けた段野剛造に脅しをかけるかだ。


なんといっても、相手は人面獣心髑髏夜叉だ。

牛鬼婆のように変幻怪奇ではないものの腕は立つ。


花房は待ちきれないというように、有一郎とあやかが透視した様子を聞きたがっていた。


「金庫にびっしりですよ。騙し取った札束が」


「やはりそうか。港区のグローバルタワーの40階だな。髑髏夜叉の始末は臨闘列伝に任すとしても、関東霊夢省としても黙って見過ごすわけにはいかない」


「でも捜査の手が入ると臨闘列伝さんの取り分60億円が消えてなくなるので、怒るんじゃないですか」


花房は臨闘列伝を呼び出した。


「昨晩の動きは透視させてもらった。金庫に札束がうなっているのはよく分かった。で、どのようにして髑髏夜叉と話をつけるつもりだ」


「透視できるのか。それがしの動きは丸わかりというわけでござるか。いろいろ考えたが、直接会社に乗り込んで話をつけるつもりだ。烏小天狗を女性秘書に変身させ、背に式神を張り付けて乗り込むつもりでござる」


「ま、それが一番良い方法かもしれないな。そのときは、有一郎君を一緒に連れて行った方がいいぞ。この子は、まだ中学生だが、妖術の達人だ。彼が一緒に行けば楽勝だ」


花房は有一郎を連れて行かせ、できれば髑髏夜叉の正体も見てみたいと考えていた。


(ふうむ)と臨闘列伝はしばらく考えていたが、「よいでござる」と言った。


「奴と対峙したとき、関東霊夢省の名前をだしてもよいでござるか」


臨闘列伝は、関東霊夢省の名前を出して、要求に応じない時は全額没収させるぞと脅迫つもりだったが、花房は、「いや、名前を出すのはまずい」とこの提案を拒絶した。


こうして三人はアネイシスに乗り込んだ。


臨闘列伝は受付の女性に「CEOの段野剛造に用事がある」と言ったところ、「アポは取られておりますか」と言ったので、その額に指をあてて黙らせ、勝手知ったる他人の家とばかりにずけずけ乗り込んでCEO室に直行した。


ドアを開けると段野剛造が何事かと驚いた様子だったが委細構わず、「それがしは臨闘列伝と申す者でござる」とドアを閉め、ロックをかけて、「誰も入らないようにしていただきたいでござる。お茶も無用でござる」と言った。


「臨闘列伝? 聞いたことのない名前だな」


「昔、牛鬼婆と戦ったことのある者でござる」

「妖怪か?」


「そうでござる。昨晩、式神を飛ばせて調べさせてもらったでござる」

「ん?何を調べたって?」


「そこの」と隠し扉を指さして「金庫に眠っているお金を60億円ほど頂きにまいったでござる」


「は? どうして貴様如きにわしの金をやらねばならないのだ、ああ、てめえボケてんのか」


「あっ? そんなことを言っていいのか、捜査の手が伸びればな、全額没収されるぞ」


「没収だと?」


「そうでござる。そのお金は詐欺でまきあげたものでござろう。全て、お見通しでござるので、四の五の言わずに、さっさと出しやがれ」






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