赤い青春
夏が来たら海へ行かないといけないんだ!
俺の名前は厚井戸青春! 高校2年! 青春真っ只中だ!
海は真っ赤なブルーだ!
やがて夕陽に照らされてもっと赤くなるだろう!
俺の心は燃えている! ゆえに俺の目に映るものはなんでも赤いのだ!
俺は走る! あの海のむこうをめがけて!
「サーーーー!!!」
卓球のように叫びながら、帰宅部の俺が走っていく!
周りからはさぞかし暑苦しく見られていることだろうが構わんッ!
ここで、これだけ、目立っていれば、声をかけてくる女の子もいるはずだッ!
さぁ、かけてこいッ! かわいいその声をッ! へこむ毎日を取り戻すのだッ! この、熱い日々でッ!
どんッ!!
ぶつかったッ!
走っていたらぶつかった! きっとこれが出会いのはじまりになる! 相手はどんな女の子なんだッ!?
「おーい……おーい……」
「……おい、にーちゃん。人にぶつかっといて挨拶もなしかい……?」
年上のお兄さん二人組だったッ!
ガラが悪いぞッ!
やばいッ!
コイツはなんだかやばいッ!
そして俺の青春は、真っ赤に染まったのだった。