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21ページ目 リズミアの部屋で逆襲イベント?

11ページ目を改訂致しました。オチの辺りを変えてあるので見て下されば幸いです

今日は休日。俺たちは家で揃って朝飯を食べている

ちなみに何故か、今日はリズミアまで居る。本人曰く『今日は朝飯を作るのがめんどくさかった』らしい。

色々と言ってやりたいが、何の断りも無いよりは遥かにマシだしということと、凛歌の『可哀相だよ』と言う台詞(むしろこっちが主な理由)によりリズミアにも朝飯を作ることになってしまった


「いつも本当に美味しいよね鈴音の作るご飯」


凛歌がふとこんな事を言う


「……確かに。この肉じゃがの芋の舌触りの良さ。煮加減。味付け。どれを取っても凄いな……プロの料理人でもそう簡単には作れないレベルだ」


「もふー!」


「ふと自分は思うけど、どうやったらこんなに煮崩れしないのだ…?」


「いつお嫁さんに行っても恥をかかないね。鈴音」


「別に大した事はしてねぇって。いつも大袈裟なんだよお前らは。

後、凛歌。お前今なんて言った?せめてお婿さんの間違いだよな!?」


「………………へ?

えぇと私何か間違いしたっけ?………………………………………………………………あぁっ!そういえば鈴音は男だったんだ!」


「忘れていたのかよオイ!?しかも今思いっきり熟考していたよな凛歌!?

何度も俺は男だって言ってるよな!?鈴音君からしたらお前の記憶力が心配だっ!

それともアレか?アレなのか!?俺がそんな事を忘れさせるくらいにお嫁さんっぽいっていう事なのかよ!?それが一番ショックだ畜生!」

「お嫁さんっぽいと言うのは誰も否定は出来ない事実かと思うが?」


「そうだよねリズミア先生。

ほら、だって家庭料理は美味しいしその他家事洗濯も日々の日課」


「……多少、口が汚いのは残念だがな」


「ってまさかの三人がかりで総攻撃っ!?

くそぅ!ここに俺の味方はいないのかよ!?」


「もふ?もふもーふふもふふも!」


すると、隣にいるメルモフが何かを叫んでいるのを俺は見た


「め、メルモフ…!ありがとう!お前の場合は気持ちだけで十分だ!」


涙を流す俺。

正直、メルモフの言葉はまるで分からないけど俺を援護してくれているって事は分かる

あ、ありがとうメルモフ!お前だけだ俺の味方は!


「ちなみにメルモフは『あぁ、この料理美味しいなー』と言ってるだけだ」


「俺の感動を返せぇっ!」


「……勝手にこれくらいで感動した方が悪いと思うのだが……」


その瞬間、旅人の言った台詞により俺は軽い自己嫌悪でうなだれ、無言になる


「だ、大丈夫だよ鈴音。

そ、それよりも他の事を話そうよ!」


そこで凛歌が俺の事を心配してくれたようで無理矢理話題を変えようとしてくれた


「えぇと……例えば…………………………………………………………………………………」


「…………………………………………………………………………」


「…よしよし、メルモフ。可愛いな…お前は」


「もふー!」


「……………」


「……………………って誰かこの沈黙を断ち切って下さい!そして旅人もメルモフと、もふもふしてるだけじゃ無くて流れを読めぇっ!」


俺は沈黙の静寂……テレビの音しか聞こえない状況に耐え切れずつい叫ぶ

あと凛歌は会話の議題が思いつかなかったみたいだ


「そ、そういえば。リズミア。お前『朝飯を作るのがめんどくさかった』とか言ってたけど、もしかしたらここの近くに住んでるのか?

そうじゃなかったら来る方がめんどくさいだろうしな」


ふと思い付いたままに話題を提供してみた俺


「ん?あぁそうだが。自分はここの近くのマンションの一室に住んでいる」


「リズミア先生の家……うーん。どんな風になってるのか、ちょっと想像出来ないよ」


「……気になるな」


凛歌に旅人の言う通りだ

男装好きの変人の部屋……生活感丸出しゴミたくさんなのか、以外と整ってるか、非常に気になる

でもまぁあいつの場合、『一応』女ということになっているから、女の人の部屋に入るのは失礼だ…………全く女って感じがしねぇけど

当然、リズミアの家に俺たちが行く事も断ら……


「あぁ、自分の部屋か?いつでも来ていいぞ。今すぐでもな」


「……れるはずだと思っていたら行ってもいいのかよ!?」


「鈴音、日本語が途中からだよ?」


凛歌に冷静にツッコまれる

くそう……つい思っている事が途中から口に出てしまった…


「あぁ、何なら飯食ったすぐ後にでも来るか?」


「鈴音、今日は何にも予定無かったよね?それじゃあ行こうよ」


「……俺も行こう」


そんな事があって俺たちはリズミアの家に行く事になった



***



「…………ふ、普通だ………………………!」


「第一声からそれか」


今俺たち四人はリズミアの住んでいるマンションの部屋の前にいます

とりあえず、なんというかドアの所を見た限り最初の感想は普通。なんも変哲も無い……ぶっちゃけ言うと、つまらない。

いや何も変哲も無くて安全なのはこちらとしても超大絶賛大歓迎なのだが、拍子抜けした


「それじゃあドア開けるぞ」


リズミアが玄関の鍵を解き、思い切りドアを大きく開ける

すると、俺たちの目に入ってきた光景とは……


「キシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」


……触手だった。

とにかく触手だった。

ヌメヌメっとした何だか良く分からない触手の塊が奇声をあげて暴れていた


「…ってはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」


「……すまないがそこで待っててくれ。というか待て。ちょっと片付けてくる」


すると、リズミアが中に入ってドアがパタンと閉まる

そのすぐ後、部屋の中からドタバタとした物音が聞こえて、すぐに鎮圧される


「…………………………」


呆然とする俺と凛歌。


「…………………」


ちなみに旅人も無言だが、ただ単にモグモグという効果音を出しながらどこから取り出したのか、ハンバーガーを食べているだけだ


「もふー」


メルモフの鳴き声と同時にドアが開かれ、リズミアが出てくる


「待たせたな。入ってくれ」


「って何だよさっきの触手は!?」


「気にするな」


「即答かよオイ!そもそも気にするなって言われて気に出来ないはずねぇだろ!」


「それでも気にしないでくれ」


「いやもう何というかかお前の家は入りたくねーよ見たくねぇよ!」


「鈴音。そんなに大声出してると迷惑だよ?」


「凛歌ぁ!お前はさっきのを見ても何も思わなかったのかよオイ!」


「へ?

…………リズミア先生が気にするなって言ってる訳だし、きっとさっきのは幻覚か何かなんじゃない?」


「幻覚!?幻覚でも結構ヤバむぎゃう」


「まぁ、話は部屋に入ってからだ」


俺はリズミアに口を塞がれて、強制的に入らせられる


「げほっ!て、てめぇ何すんだこの野郎!」


「失礼した。いくらなんでも近所迷惑だったし、ここなら防音設備があるから問題無い」


「そういう問題じゃあねぇよリズミア!

……まぁ入っちまった以上は逃げようも無いし仕方がねぇけど、さっきのは一体何だよ?」


「あぁ、アレは触手生命体。名前は『ドリンダちゃん』。ちょっと知り合いから細胞の一部を譲り受けて、クローン培養していたらいつの間にかあんなサイズにまで成長してな……」


「…………もう俺はツッコまねぇぞ。何もツッコまねぇ。絶対にツッコまない」


淡々と説明するリズミアに、必死でツッコミたい衝動を抑える俺。更にハンバーガー5個目に突入している旅人に、モフモフでフワフワな不思議生命体をモフモフする凛歌

……うん。なんというか無茶苦茶シュールな光景だ。でもツッコまない。ツッコんだら何かに負けた気がする

そこでふと、俺は冷静になって辺りを見渡す

……妙にキチンとした部屋だ。

ダイレクトにキッチンと繋がったリビングにある、タンスに少々大きめのテレビ。ここには不振な点は何一つ見つからない。当然、ドリンダちゃんなんて触手生命体の影も形も無い。

……他の部屋か。そう思う。

第一にしてこの部屋は外向きのお客様の部屋なのであろう。この部屋だけじゃあリズミアの私生活は暴けない

ここまで来たんだ。どうせなら一つは秘密を握って帰りたい

…………………………もうすでにかなりの秘密を暴いているような気がするけど、リズミアがバレたら困るような秘密を見つけてない。そもそもあの『ドリンダちゃん』だって、下手に言えば……いや上手に言っても付近の人に信じて貰えない可能性は高い。下手すればこっちが『電波系』の汚名を着る事になる。電波系女はいいが、電波系男は色々とキツい

あと、お前は女だろとか思った奴はそこに直りやがれ。一人ずつ順番にブッ潰す!


「さて、それじゃあ自分はまだやる事があるから少々席を開ける。好き勝手してても良いから、すまないけど少し待っててくれ」


そう思っていた最中、リズミアが言い残して、席を立つ


「ねぇ、鈴音。ちょっとつけてみようよ?」


「ん?あぁそうだな凛歌。明らかに何かがありそうで怪しいし…」


リズミアの後をつける俺たち。

すると、リズミアはこことは違う、とある部屋に入っていった

……………怪しい。非常に怪しい。そんな能力は無いけど、何となく俺の超直感がそう告げている

これは…何か弱みとかあるな?

普段は結構、理不尽っぷりが目立つリズミア。その弱みを握れたら儲けものだ。果たして男装大好きな変態である事を全く隠そうともしない奴に、弱みという弱みなんてあるのかとっても不安だけど

そう思いつつ内開きのドアを開けつつ静かに中に入ろうとする俺たち

プライバシー?そんなの関係ねぇ!

あ、今のは決してわざとじゃないからな。古いとか絶対言うなよ!?


ガチャ


「……は?」


少し薄暗い部屋に一歩踏み出した矢先、何だか右足に鉄のようなひんやりとした感触が……


「っていたぁっ!

何だこれ!?トラバサミ!?俺始めて見たぞこんな罠いたたたたたたた!」


「不用意にこの部屋に入るからだ……」


すると、目の前に現れたのはリズミア。さして動揺もしていない

しかし、何だか顔が嬉々としている

…………せ、背筋に何だか寒気がする……………

あ、改めて部屋の中を見渡してみるとかなり広い。

基本的に薄暗くて目の前の机にはフラスコの中に入った緑色のブクブクとした液体やら、とにかく見るからに危険そうな物と、怪しげな光を放つパソコンがある

横のたくさんの本棚には、長い年月を経過したのか全体的に黄色く黄ばみ、端のところがボロボロになった……見るからに自分は怪しいですと主張しまくってるかのような本がたくさんある。

そしてその本たちのタイトルはほとんどが日本語じゃあ無い。一体どこの言語かは知らないけどヤバ過ぎる感がバリバリだ

そして、リズミアの手には黒い液体が入った試験官があるのに気づいた。

身動きの取れない俺

怪しげな液体

少しだけ嬉々としているリズミア

この状況から…………俺はある結論に辿り着く


「あの…リズミアさん。アナタハソノ液体デ俺ニ一体何ヲスルツモリナノデショウカ?」


「なに。心配はいらない。ちょっとこの新しく調合した薬の被験者になって貰いたいだけだ」


「あんまりにも予想通りの答えかよ!

それって絶対ヤバいだろ!?死ぬから!そんな黒い石油みたいな液体を飲まされたら槍館鈴音の人生はそこで終わってしまいそうな気がするから!だから止めやがれ!

てかまさか俺をこの家に呼んだのはまさかこの為なんじゃ無いだろうな!?」


「あのぅ…リズミア先生。その薬の効能は何ですか?」


「あぁ、これは『性転換薬』だ。効果は…………言わなくてもわかるよな?」


「ぶほっ!?」


リズミアの発言に俺と凛歌が同時に何かを吹き出す


「いやいやいやいや!そんな薬使ったら間違い無く俺の俺としての人生終わるから絶対止めろ!いや寧ろ止めて下さいませとっても偉大なるリズミア大先生!」


「そうだよ!鈴音には男らしくなる薬が一番ピッタリ……あれ?じゃあ性転換薬で合ってるのかな?あれ?でも鈴音の性別は男……え?でも朝はお嫁さんとか言われていたから女の子……?」


「凛歌!?お前の言ってる事は俺の心に大ダメージクリティカルだ!」


「さて、それじゃあそろそろ実験開始だ。安心してくれ。小一時間ほどで元に戻るはずだ」


俺が逃げようと足掻いている最中。リズミアがそう言う

ヤバい!もう少しで死ぬ!


「どこが安心出来るかぁっ!せめて確定しろよ!

そんなデンジャラスで正体不明な薬の被験者になって病院送りなんて勘弁だぞ!?

それにどうせその小一時間の間に何かトラブルに巻き込まれる事はこれまでの経験から確定事項のようなもの何だよ畜生!」


俺は必死に足掻く。全力で足掻く。無駄かもしれないけど暴れる


そこで奇跡が起きた


ガシャーン

そんな音とともに近くにあった一つの試験官が俺の指先にギリギリで引っ掛かり、割れたのだ。

そしてその液体は、リズミアの顔面へとかかって行く


「!」


リズミアが反応した時にはすでに遅い。すでにリズミアの顔面に液体が降り懸かっていた

それだけだ。すぐに拭けば大丈夫

そう思っていたら、リズミアが突然慌てて顔を両腕をクロスさせるようにして隠し


「い、今の自分の顔を見るな!」


という世にも仰天台詞を言いやがった


「……は?」


俺と凛歌は目が点になる。何が起きたのか理解出来ない


「くそっ!男のように見せるための特殊メイクがはげた!」


普段のリズミアからは想像のつかない非常に慌てた大声

すると、ふとリズミアの腕の隙間から垣間見える顔。普段の男っぽい顔ではない。しかし、それがリズミアだと言うことは分かるような、中性的な…どちらかと言えば女顔に近い顔。

そしてリズミアは全力で奥の方へと引っ込んだ。

それを罠をちょうど何とか解除出来た俺と凛歌は呆然とした様子で見ていた




「もふー!」


「やはりハンバーガーは上手い……」


その頃、旅人は部屋にてハンバーガー15個目に突入していた

今回劇中に登場した『ドリンダちゃん』はコニ・タン先生の作品、『学園珍事ファミリア』よりお借りしました。どうもありがとうございます!

あと何だか最近良いサブタイトルが思いつかない……


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