1ページ目 殺人狂とハンバーガー!?
とりあえずもう一話!
どうも、プロローグから引き続き、俺こと鈴音視点です。
…とりあえず一言
「俺はお嬢さんじゃねぇ!男だ!」
「……は?」
「疑問で返すな!」
「まぁまぁ鈴音、落ち着いて」
隣にいた凛歌が静止した
「…で、とりあえずこの人が食べた分はいくらなの?」
「えぇと……575円になります」
「それだったら私が払うよ」
……払うのかよ
「はい、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしてます」
そして店員のにこやかスマイル!さっきとは大違い。
…人って変わるもんだよなぁ…
***
今はハンバーガーショップの前
「さっきはどうもありがとう」
さっき店員と揉めてた、おかしな男が頭を下げる
「いえいえ、別にどうってことないから」
「…それにしても…お前は一体どこの誰?」
俺が男に向かって言い放つ
「…気にするな。俺は名もない旅人。ただそれだけだ」
「はぁ?お前頭おかしいのか?」
それになぜ、旅人がハンバーガーショップ『マクデナルド』で食事なんかして、見知らぬ他人にお金貸してくれと懇願したのか…こいつは…謎だ
「まぁ…そうとってくれても構わない」
「まぁまぁ、気にしない気にしない。きっと何か事情があるんだしさ」
そこで凛歌が制止した
***
「へぇー…いつの間にか人間界に戻っていたのね…旅人」
ここはとある高いビル。そこに、女が壁と垂直にして立っていた。
まるで彼女の周りだけが別世界のように……ビルの壁に重力が働いているかのように感じる。
明らかに普通では無い
「後、近くにいる二人は……仲間?」
女は一人、呟きよりも更に小さな声で言葉を綴る
「だったら殺していいわね。ふふ、桜にしかり、一瞬で散っていく美しさは最高よね」
結論が出たのか、女は口を閉ざし……ビルの壁を蹴り、落ちるかのように跳んだ
***
「さて、それでは俺はこの辺で…本当にすみませんでした」
「うん。別に気にすることないよ」
「…それにしても…気になるなぁ……あいつ」
「………気にしたってどうしようにもないよ。もう行こうよ?」
俺と凛歌はあの男と別れ、家に向かって歩き始める
……次の瞬間
背後にあまりにも唐突に、巨大な気配を感じた
「ちょっと待ちなさい」
「!?」
俺は振り向く、すると道の真ん中……さっきまでは誰もいなかった場所に何やらオレンジ色の帽子を被った。ゴスロリ的な服装の女がいた。
ここまではまだ普通。だが、この女は明らかに異常だった。
まず背中には巨大な3mはあるであろう鎌を背負い、さらに地面に足は着いていない…浮いているのだ。
今まで俺は一度も感じた事が無い……正体不明の『気』を放っている。殺気でも無く。闘気でも無い。何か
辺りには誰もいない。ハンバーガーショップ店内にも奥に引っ込んだのか店員すら見つからない
『逃げろ』
そう俺の第六感が伝えてくる。
くそっ!何なんだよいきなり!
「お、おい、凛歌!逃げるぞ!」
「う、うん!」
「……醜いわよ」
俺たちが逃げようとすると、いつの間にか静かに……周りこまれていた。
「……醜いわね。本当に醜い。醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い。
なぜ皆しぶとく生きようとするの?一瞬のはかない物こそが真の美じゃない?命だっておんなじ。しぶとく生きたって何の意味も無いじゃない」
凶人
そんな考えが浮かぶ
ヤバい…奴が背中の巨大鎌をふりかぶった…
『死』
その言葉が頭をよぎった。それと同時に俺は目をつむるのでは無く。寧ろしっかりと見開く
ガキン
そんな金属のような固いもの同士がぶつかったような効果音が鳴る
「……大丈夫か?」
一瞬だった。
しっかりと目は開いていた。それなのに『突然』現れたのだ
俺が見た先には、ついさっき別れた『旅人』と名乗った男が立っていた。そして旅人の持つ小刀は巨大な鎌と交わっている
「…旅人…!」
「……貴様はこいつらを俺の仲間と思っていたみたいだな。だが、それは間違いだ」
「…………………へぇ…そうだったの。でも関係無いわ
どうせ死ぬ命。今ここで美しく散らしてあげるのよ…」
「……殺人狂か」
ガキン
小刀と鎌がぶつかり合う。しかし、その動きはあまりにも早い。とても俺の目じゃ捉えきれない
武術とかそんなのでは無い。基本のスペックが違い過ぎる。人間だとは言い難い。
ガシャアァァン
あ、ハンバーガーショップ、マクデナルドのガラスドアをぶち破った。
今は昼過ぎ。ちょうど時間帯が幸いし、店の中には今さっき奥から出てきた店員しかいなかった
「ってあぁ!?店のハンバーガーがぁ!損害額は…」
そして偶然店にいた店員Hはこのバトルより損害額の心配をする……おかしいだろ?オイ
ってこう冷静でツッコめる俺も俺だけど、多分脳内処理が追い付かないのだろう。
そう馬鹿な事を考えてる間にも旅人と謎の女のバトルは進行する
「くっ、『ヘルウィンド』」
どうやら鎌を持った女の方が何か謎の言葉を言うと、突如、赤黒い突風が吹き荒れる
…………おいおい、この万能科学の時代にこんなことあり得ねーだろ。
そうか、これは夢だ。夢なんだ。そう思う。いや、そう思い込みたい
店にあったハンバーガーが突風で吹き飛ぶ。
「店の被害総額がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
相変わらず叫ぶ…いや、もはや吠える店員H……この人も化け物だ。いや、どれもこれも夢なのだろう
「鈍い。『へヴンウィンド』
…もぐもぐ」
今度は旅人が何かを唱える。
それと同時に黄金の風が吹く
もう科学に違反しているなんてどうでもいい。きっとこれは夢だ
そして、何故あの旅人はマジバトル中にハンバーガーを食べているのであろうか?
「く……」
二つの風が激突している中、女のほうが押されている
「もぐもぐ…もうお前は終わりだ。早く立ち去るのだな」
そして旅人は多少のシリアスな空気をハンバーガーによってぶち壊していやがるよ…
ベチョ
うわっ!何だこりゃ?俺の顔面についたのは…ハンバーガー!?
ちょうど、2つの風によって吹き飛んだのであろう。
しかし、次の瞬間俺の視界は封じられた
「…ッ!」
飛ばされたハンバーガーが俺の目の前に来たのだ。
俺の視界が赤く染まる。血ではない。ケチャップだ。俺は目に激痛を感じる
…………痛い?これは夢なんだろ?だったら何故痛い?
そこで俺は疑問し、結論を出す
……もしかしたらこれは…夢じゃない?
「くっ…どうやらここは負けのようね…醜い。まさか私がこんなことになるなんて…」
そうケチャップで目が見えない俺にそんな声が聞こえてきた…
やっと虚ろながら見えるようになった目を開く。すると、もう広がっている光景の中には鎌を持った女の姿は無かった…………
あまりの非現実的光景。俺は本能的にこれを夢だと思っていた
「おい、大丈夫だったか?」
「!」
旅人の一言で俺と凛歌は呆然とした状態から戻る
「…見てしまったものは仕方が無い。最初から話す必要がありそうだな…」
旅人はそうぽつりと言った