13ページ目 メルモフ捜索部隊
ううーん、更新ペースが戻ってしまった…
あ、後今回の話は長めです
「うう…酷い目にあった…」
何やらちょっとの間、視点が変わったような気分がしたけど、相変わらず俺こと鈴音です
今は前回の爆発の直後で後片付けの真っ最中。どうやら鳥本の支援により今日中に無事、家の修理は完了しそうだ…今日が休日で良かった
…でもまぁ、鳥本だけが唯一無傷だったのは気に食わない…俺と凛歌と旅人の髪型は『真っ黒焦げのアフロボンバー』になったと言うのに
…ヤバい。ふつふつと怒りが込み上げてきた。
くそぅ、こうなったら鳥本にもアフロのカツラを被せてアフロボンバーにしてやる!
その偉そうな態度が気に食わないんだぁ!大体そんなに偉ぶって理事長だからってそこまで偉いって言うのかよぉ!?この高飛車の傲慢野郎がぁ!
「…………………………………………………………………………………………………………すいません、ごめんなさい、僕がお馬鹿でした
だから早急に撤収作業をしないで下さい。つい口に出していたなんて予想していなかったんです。ごめんなさい。
貴方様…鳥本様に帰られると、とても俺なんて下地の民の財力では復旧なんて出来ません、だから誠心誠意、誠の心をもって謝らせて頂きます!
だから本当にごめんなさい!!!帰らないで!!!帰らないでくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「ちっ…仕方がないな」
「舌打ち!?」
うう…酷い目にあった……鳥本は怖い人だ…
それに今日は幾度無く不幸に見回れてる。不法侵入されるし旅人に斬りかかられるし人望無いしガス爆発するし死にかけるし金無いし…最後は微妙にずれてる気もするけど
「さてと…む、誰かがいないような気がするが…」
鳥本が言う。
誰か修復作業がめんどくさくて逃げやがったか!?
鳥本と俺は当然のようにいる。
旅人は…いる。凛歌も…いる。
うーん…どうやら全員居るみたいだ。鳥本の気のせいか?
「…メルモフがいない」
旅人が言う
「…へ?」
メルモフって確か、あのモフモフでフワフワした謎の生命体で、旅人のペットだったよな?
「む…確かにメルモフの姿が見えないな…」
鳥本が辺りを見渡す。俺も鳥本に次いで辺りを見渡す。
…確かにいない
「うーん…もしかしたら誰かモフモフ愛好会が連れ去っていったんじゃないのかな?」
「凛歌…モフモフ愛好会って何だよ!?」
「モフモフ愛好会は…モフモフを何よりも愛し、何よりもモフモフで絶対にモフモフで、とにかくモフモフで、モフモフな会だよ!きっと!」
「って結局は想像かよ!?」
「…モフモフ愛好会は実際に存在する…」
旅人が何やらおかしな事を口走ったが気にしないでおこう
何か会員証やら出してるけど見なかったことにおこう!うん!
「ふむ…可能性としては先ほどの爆風で飛ばされた確率が一番高いな…だとすると危険だぞ」
すると、鳥本が流れを断ち切って真剣に話をする…
まぁなんだかんだ言って、この人は結局は物事を一番真面目に考えてる人だな。
「…へ?モフモフでフワフワ何だし、飛ばされたとしてもフワフワと浮かんで大丈夫何じゃ無いのか?」
「鈴音…お前はやっぱり馬鹿だな」
「馬鹿って何だよ!?馬鹿って!」
馬鹿って何回も言われてるような気もするけど、一応こう言っておく。何か馬鹿というイメージが定着しそうな気がするから。
そう、決して俺は馬鹿な訳では無いんだぁ!
「鈴音!前にも同じような光景を見たような気がするよ!?」
「…ワンパターンだな…」
ぐはぁっ!
…せ、精神的ダメージが…特に最後の旅人の台詞が心にズサッと突き刺さった…
「鈴音。よく考えてみろ。飛ばされる事自体はさしたる問題ではないけどな…厄介なのはその後だ
そもそも…あんな生物を見た奴らが、放っておきにすると思うか?
大抵は逃げ出すか、警察に連絡をする。もしくは捕らえる奴らもいるかもしれない。だがまぁここまではまだマシだ。俺の権限で揉み消せる」
一言。貴方は一体どこのアメリカ大統領だ?どんだけ権限あるんだよ…
あ、アメリカ大統領ならアメリカか
「しかし、厄介なのは売り飛ばそうとしたりする奴らだ
…下手すれば裏社会に持ち込まれて、実験台か…流石に俺でも裏社会の最深部には権力が効かないしな」
……それって裏を返せば、裏社会の浅い所には権力が効くということか?
…なんか軽く怖くなってきた…俺みたいな実に普通な一般ピープルがどんだけ偉い人と話しているんだろ…
まあ、それはとりあえず置いといて、鳥本の言ってることは実に納得できる
…………ともなると俺がやるべきことは一つだ
「メルモフを捜す」
「…あぁ、それが何よりも先決だ」
「私も協力するよ!」
そうしてメルモフ捜索隊は結成されたのであった。
…まぁ、ただそこら辺をフワフワしているだけかも知れないけど、むしろそれがありがたい。
俺たちは決してメルモフが捕まったりして無いことを祈るばかりだ
おっ?何か軽くシリアスムードを感じさせるな
「む、俺の人工衛星からの情報によると、近くの電柱に引っ掛かってるみたいだな」
「って今のムードを返せぇっ!!!」
でも結局はこんな落ち
……………………………………………………………………………………………………あれ?終わらない?
「もふー!?」
「く…メルモフがまた風で飛ばされた…」
今、俺たちは電柱の真下。メルモフを回収しようとしたら突然、猛烈な風が吹いて、メルモフが吹き飛ばされていった
く…不味い…姿を見失っちまった………
俺たちはメルモフが飛ばされた方向に走っていく
…ん?あれは…?
「よう、鈴音。皆揃ってどうしたんだ?」
「すまん聖鳴。今は説明している時間が無いんだ!」
目の前に見えたのは聖鳴。でも俺はちょっと断って脇を通りすぎようとする
「ちぇっ…そうか…せっかく俺がついさっき、そこら辺を飛んでいたモフモフでフワフワとしている実に珍しい生物を捕まえたっていうことを自慢しようと思ったのにな…」
「もふー!」
「ってそれだぁっ!」
方向転換!
ターゲットはメルモフを脇に抱えるようにして持っていた聖鳴だぁっ!
「って何でいきなり襲いかかる!?」
当然の報いだぁ!お前が言わなかったら無駄に走るところだったんだからなぁ!
「…メルモフを捕まえる奴は殺す…」
って隣の旅人から感じる殺気がもの凄げぇ!
何だよお前!?捕まえたりするだけで殺すのか?だったらメルモフを殺したりしたらどうなるんだ…?
………………うう、想像するのが怖くなってきた
「ふおっ!?」
「モフ!?」
すると、聖鳴があまりの旅人の殺気に怖くなったのか、手を離した
すると、メルモフが風に乗って飛ばされた。しかも既に遥かに上空へ
くっ…そして聖鳴が逃げ出しやがった…そりゃあまぁ普通に考えたら逃げ出すよなぁ?だって逃げないと旅人に殺されそうだもんな!
…あれ?そういや明日は学校だ。学校に行けば同じクラスだし、当然旅人と会う。その先には………………
「なぁ、旅人。殺したりするのは止めてくれよ?」
「…そうか…だったら………99%殺しは?」
「99%ってほとんど変わらないから!死ぬって!」
「9割9分殺しなら?」
「それは変わってねぇ!99%と同じだぁ!」
すまん。聖鳴。旅人の怒りは俺には抑えられそうな気がしない。
…………冥福を祈る!お前の事は3年くらい忘れない!
「あれ?
…鈴音。もうあんなに遠くに行ってるよ?」
凛歌の言った通り、既にかなり遠くへメルモフが飛ばされている。
「メルモフを捕まえたりする奴は…例外無く殺す…
…しかし、まずはメルモフを追いかけないとな」
とりあえず、もう聖鳴の事に関してはいいか。どうせアイツの死はもはや決定事項だ
「…ふむ…なるほど…次に飛ばされたのは喫茶店『カイ』の方角か」
「喫茶店『カイ』って確か、つい最近オープンしたばかりの喫茶店だったよな?」
「あぁ、あそこのモンブランは最高だぞ。栗の甘味がしっかりとしていて、生地も『パン屋のパン』では無く『ケーキ屋のパンケーキ』だったぞ。なおかつ、一番下の土台となっているタルトは栗の甘味をさらに引き立てるための…」
鳥本の言ってることがはっきりいって、全く持って分かりません
だってあんまりにも専門的…もといマニアックなんだからな何だよこの人?ケーキマニアかぁ?
何だか鳥本理事長のことが良く分からなくってきた
***
「く…一体どこだ…」
今は喫茶店『カイ』周辺を探索途中。
さっきから必死で探しているけど、メルモフが見つからない。一体どこだ…
「あ、凛歌ちゃんに鈴音に旅人に鳥本やないか!」
「こんばんは」
「あ、魅麗に響じゃないか」
俺たちがメルモフを探していると、魅麗と響が現れた。
今日はよく知り合いに会うな…まぁ、普段知り合いが少ない俺から見ての話だけど
「二人でどうしたんだ?……あ、そうか。デートか」
「何言っとるんや?ウチと響はただの漫才コンビや!ウチが興味あるのは女の子だけや。
それにそれはこっちの台詞や!
どうして4人でこんなとこうろついてるんや?」
「うーん…なんというかまぁ…秘密で」
「気になるやないか!」
「まぁまぁ、魅麗落ち着いて」
「響!お前は興味無いんか?」
「うーん……無いよ」
「ってないんかい!」
「…あ、そういえばメルモフ見なかった?」何やら、漫才が続きそうな所を凛歌が無理やり遮って二人に聞く…
てか普通メルモフって言われても、分からないだろ!
「何やそれ?何やらモフモフでフワフワしている謎の生物みたいな名前やな」
てか分かっちゃったよこの人!?
「まぁそんなところだ…」
「てかほんまにそんな生物おるんか?
……………………………………………………………………
まぁええ、もし見つけたら伝えとくわ。ウチの喫茶店にも一応、張り紙もしといちゃる」
「あぁ、ありがとう……喫茶店?」
「そや、ウチのおとんは喫茶店『カイ』ってとこを経営しとるんや!
良かったらウチでバイトでもしてみんか?」
へぇー魅麗の家は喫茶店なのか。
てっきりお笑い芸人、もしくはたこ焼き屋だと思っていたっけ
だって関西弁の家ってそんなイメージしか無いんだもんな
「ちなみに僕はここでバイトをしてるんだよ。どうにも最近金欠気味だからね」
「うーん…考えとく」
「給料は弾んでおくで!時給900円や!」
「いつ頃来ればいい?」
「って決めんの早いで!?即答やないか!」
当然じゃないか!だって今、俺の家は旅人が居候になったことにより金欠だしな!
時給900円…なんて魅力的な数字なんだ。夢のようだ!
「ねぇ、水を差すようで悪いんだけど…旅人と鳥本はもう行ったよ」
すると、響が言ってきた。
…あれ?そういえば俺たちは何をしに出てきたんだったっけ?
「…はっ。そ、そういえば忘れてたぁ!俺たちはメルモフを捜していたんだ!」
「あぁ!?確かにそうだったね鈴音!」
ヤバいヤバいヤバいヤバい。
つい、微妙に和やかな会話になっていたもんだから、今一瞬すっかりメルモフの事を忘れていた!
「ど、どうしよう鈴音…」
「どうしたって二人を追いかけるしかないだろ…」
くそう!まずは鳥本がいないと、メルモフの大体の場所すら分からないから俺たちは問題外だ!
しかもあの二人は無駄に足速いからな…追い付けない可能性も十分にある
うぅ…どうすればいいんだぁ…考えろ!頭を捻りちぎってでも考え出すんだ俺ぇ!
「キミたちが捜しているのはこの生物のことかい?」
「もふー!」
「へ?」
俺が決死の思いで頭を捻り契ろうとしていた所で、目の前に女の子が…いた。
その女の子の年齢は15くらい…俺と同い年みたいだ。
髪はウェーブのかかった透き通るように赤い長い髪。目はパッチリと見開いて、顔の輪郭も整っている。
服装のせいなのかボーイッシュな雰囲気のしていて、それでいて綺麗な人だった。何と言うか…魅力的。男にも女にもモテそうな感じのする
そして、そんな女の子の両手に持たれていたのはメルモフだった
「メルモフ!?
………えぇと、どうもありがとうございます!」
「いやいや、別に何てことは無いよ。ボクはついそこで見つけただけだし
それより…キミの名前を教えてくれないかな?」
「へ?名前ですか?良いですよ。俺の名前は槍館鈴音です。こんな外見ですけど一応、男です」
会っていきなり名前を聞くなんておかしな奴だと思いつつ、普通に答える。
「そう…槍館君か…
名乗ってくれたんだったらボクも名乗らないとね。
ボクの名前は…式城夢音って言うんだ………宜しくね。メルモフは返しとくよ」
「もふ!?」
「おっと!」
俺がメルモフを受け取った瞬間。猛烈な風が吹いて、メルモフが飛ばされそうになるところを俺はすんでで捕まえた
「あ、すいません。貴方は………」
そして、俺が夢音のほうを向き直したら……………………………………すでにそこには誰も居なかった。そう、まるで風が吹いたのと一緒に消えたような…そんな感じ
***
今、二つ目の『音』が聞こえ始め、交差する。
始まりを告げる前奏曲か
終焉を司る鎮魂曲なのか
はたまた二つの音の行方はどうなるのか
その答えは誰も知らなかった
今回は色々と…唐突な話でしたね。はい
こんな旅人日誌ですが、見捨てないで応援して下さい!宜しくお願いします!