10ページ目 死闘!鍋の巻!
はい、今回のサブタイは軽くジョークです
…うぅ…良いサブタイが思い付かないよう…
「うーん…」
どうも、鈴音です
俺は今、とある事で真剣に悩んでいます。
…さぁどうするべきか、この選択が今日の1日…いや、一年…いや、一生を左右するかもしれない。
こっちか?いやいや、そう安直に決めてはいけない。もっとじっくり奥深く、そう、海の底…深海の地面よりさらに深ーい深ーい所まで考えなければ…たった一つの選択。しかし、この選択が後々にどう左右するのか分からない。だから考えなければ、山よりも雲よりも宇宙よりも高く…あれ?宇宙って『高い』という言葉を使うのか?
まぁいいや、それは些細な問題。この選択を早急に決めなければ…しかし、決められない。決断出来ない。くそっ、誰か俺にこの選択を決断する勇気をくれぇっ!!!この選択でいいのか?間違いなのか?
それは俺には分からない…だからこそ迷う…どうすればいい…どうすればいいんだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???
「あれ?鈴音。何を悩んでいるの?」
「凛歌…頼む!夕飯はキムチ鍋か、豚カツか選んでくれぇ!」
「なにその、全く持って共通点が無さそうで微妙にありそうな二つの選択肢!?」
そう、俺が選んでいたのは今日の夕飯だ!
だって本当に一生を左右するかもしれないとても重要な選択肢だろ!?
だってなぁ、今日の献立次第で、死ぬ直前に何を食べたのかが決まるかもしれないんだぜ!?
あれ?死ぬ直前に何を食べたかなんて、さして重要では無いだって?
…………………………………………………………………………………………と、とりあえずスルーでお願いします
「うーん、でも私は鍋のほうがいいなぁ…」
「鍋…か。ふーん…」
「だってね。今日はどうせなら、友達になった記念に皆も呼んで鍋パーティーでもやったらいいと思って…」
凛歌はこういう時には非常に良い提案をする。当然俺は賛成だ。こんな楽しそうな事…断ると悪役に決まってる。例え断った理由が、金が無いという、とってもリアリティーに溢れ過ぎた言葉でも
「む、成る程。それにクイズとか罰ゲームとかを加えると中々面白そうだな」
「あぁ、確かにそれは面白そう……………………………………………………………って鳥本ぉ!?」
俺が頷こうとしたら、隣にまさかの鳥本が居た。って居たのか!?
「ど、どこからどうやって入って来たんだお前は!?」
「ふ、そんなのは簡単。ピッキングで不法侵入だ」
「いやそれは犯罪だろぉ!?って不法侵入ってちゃんと自覚してたのか!?」
「まぁとりあえず落ちつけ。俺が不法侵入したって話だけだろ?実際に俺はお前たちに害は与えていない」
「いやいや、不法侵入しただけってそれ自体が問題なんだ!」
「まぁ、俺とお前は親戚同士なんだ。幾らでも俺は弁明できる。
…まぁピッキングで不法侵入は嘘だけどな」
「う…ぐ…何て卑怯な…って嘘なのかよ!」
「まぁ普通に正攻法で旅人に入れてもらったんだがな」
「へぇ…ってアレ?旅人は?そういえば、さっきから見て無いんだけど…」
「あぁ、旅人なら庭でメルモフの世話をしているぞ」
「ここで来たか!メルモフ!」
……いや、すいません。ちょっと読者の方々には分かりませんでしたね。はい。
いや、メルモフという名前が出るのが結構久しぶりなもので、どうにもこうにも…本当にすみません!
「…で、とりあえずその鍋パーティー、俺が手伝おう。金が足りないんだろ?」
「!?」
す、鋭い…この人。心眼でも持っているのか?
「というわけで資金提供は俺がさせて貰う」
な、何て観察力だ…コイツ。畜生。何となく気に入らないけど、まぁ手伝だって貰う他に無いだろう。これは予想以上のスポンサーがついた。
…………ヤバい。何か欲が…
***
「よぉし、出来たぞー!」
「美味しそうッス!」
「鍋か…久しいな」
「はは、旅人。お前は鍋なんて作れないしな」
「鍋パーティーに招待してもろて最高や!食費が浮く!」
「本当にありがとう、鈴音」
「む、キムチ鍋に味噌にこみ、博多の水炊きや牡蛎鍋、定番の醤油だしで味付けしたすき焼きもあるな」
「うん、美味しい!」
「ちっ、お前には料理の腕前だけは勝てる気がしねぇ!」
パーティーが始まってしまった。
…うん、所々思いっきり本音が見え隠れしてて、ボコしたくなってくるけど、まぁ喜んでくれて何よりだ。血の涙を飲み込んで耐えよう。
ここに集まったメンバーは、俺、凛歌、鳥本、武士子、魅麗、響、聖鳴、リズミア、旅人と、かなり多い。でも俺の家は広いからまだ結構余裕がある。
それに大鍋もかなりの数と種類があり、余らないか心配だ。
…………肉だけは貰う!
「うおぉぉぉ!!!肉は貰ったぁ!」
「させるかぁっ!」
「あ。聖鳴!箸を箸で弾くやなんて行儀悪い!ってそう注意されながら食べるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「鈴音、よそ見している、お前が悪い!」
「ってあああぁぁぁ!?まだ食うのかお前!?」
「こっちは育ち盛り。性欲盛りの高校生でい!」
「お前どこの人!?てか性欲盛りはお前だけだぁ!」
「ってちょっと待て!目潰しは流石に駄目…ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
よっしゃ!まずは一人潰した!
え?こんなのパーティーじゃない?違うな。鍋パーティーとは……血肉湧き上がる死屍累々の死闘だぁ!!!
「む、鍋パーティーとはそんなことやってもいいのか…だったら俺も…」
「おい旅人。お前何をやろうとしている」
「へ?いや普通に鍋パーティーをな…」
「剣を構えるのは鍋パーティーに必要無いことだ。緑!コイツを危険人物として連れていけ」
「はい。鳥本様!
…『ピー』しますよ旅人様」
そして旅人は青ざめた顔で緑さんに連れ去られていった。何やら放送禁止用語が聞こえたような気がしたけど気にしないようにしよう!うん!
これでまたライバルは一人減った……
「そういえば、魅麗。こういう鍋パーティーには漫才がつきものなんじゃ無いのか?」
「はっ!そういえばそうやな!早急にネタ考えんといかんわ…」
「僕も協力するよ。魅麗」
これで、魅麗と響の2人は落ちた!
ちなみに今回の鍋パーティーの代金は全て鳥本もち…よってこの鍋は食べれば食べるだけ得!こんなに沢山の鍋、普段は食べることが滅多に無いから、この鍋は俺と凛歌が貰う!
「さて…それでは俺も…おい、何故鍋を遠ざける?」
鳥本が箸を鍋に伸ばそうとした所で鍋を遠ざける
「ほう…見る様子だと、大方『こんなに贅沢な鍋は滅多に食べれないから独り占めしよう』という考えか…」
「っていきなりバレバレ!?」
この人…とんでもねぇ洞察力だ!
「ふ…そうはさせんぞ。お前に鍋は食べさせん」
「鍋奉行になったのは俺だぞ!?」
「その前に資金提供したのは俺だが?」
「うぐ………ならば実力行使!ってあれ?さっき俺が奪い取った鍋はどこへ行った?」
「ふ…さてな。俺は知らんぞ」
「この野郎!」
「それよりもいいのか?向こうの方は食べ終わったみたいだが」
俺は鳥本と同じ方向を向く
「ごちそうさま!美味しかったー♪」
「自分もこの辺にしておくか…」
見ると向こうでは、凛歌とリズミアが食い終わっていた
むむむ…アイツらだけで、家族用の大鍋を2つも…ヤバい。残っているのは1つだけだ
これは死守しないと!
「さて、貰うか」
「ちょっと待てぇ!貴方は金持ちなんだから、普段からこれ以上に豪華なものとか食べてるだろ!?だから普段こんなに贅沢なものを食べていない俺に譲るべきで…」
「…まぁ確かにな、だが、俺の目的は別にある!」
「な、何だとぉ!?」
某悪役っぽいな鳥本!
まぁ俺もそれに乗ったんだけどさ…
「悲しむ皆の面白い顔が見たいんだ!」
「コイツSだあぁぁぁ!!!」
何だよコイツ!?酷すぎるぞ!?よりによって全部独占しようだなんて…まぁ俺の事は棚に上げといて下さい!お願いします!
…………は!後ろから殺気!
「鈴音ぇ…さっきはよくも…」
「せ、聖鳴。誤解だよ。僕はソンナコトヤルヨウナ人間デハナイ」
「思いっきり片言だろうがあぁぁぁ!!!それに『僕』って何だ!?丁寧ぶってんじゃねえ!」
「あー!てかウチがネタ考えとる隙に鍋がたった一つしかないやん!」
「…うーん、それにしても食べ終わった鍋が少ないような…」
「…な、何とか助かった…」
って聖鳴と話している隙に魅麗と響、旅人まで復活してきやがった!
むむむ…最悪のパターンだ!俺はこの鍋を独占したいけど皆はそうではないだろう。
…ちっ、ここは一先ず…独占なんて馬鹿げたことは止めよう。うん。欲をかきすぎてた
……あれ?でも何やら響の言った台詞がとっても気になる…
「は!さてはあんた。鍋を独占するつもりやったな!」
「…どうやらそうみたいだな」
「…鈴音…コロス」
う…これはヤバい。絶体絶命のピンチだ!
く…何とか弁明を……しても無駄か。すでに俺の両腕の関節が3つにいぃぃぃぃぃ!?
「痛い!痛い痛い痛い痛い!!!痛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「当然の報いや!」
「…さて、次はこの剣のさびにしよう…」
「ちょっと待て旅人!剣は、剣は流石に駄目だろ!?」
「問答無用!」
「ひぎゃあぁぁぁぁ▲□Й★●Э▽!!!???」
「…お前ら、ちょっととある事を忘れてないか?」
う、腕にちょうど旅人の剣の切っ先が当たって一筋の線が出来たところに、鳥本が別の話題を出してきた!た、助かった!皆の視線が鳥本に集中している!今のうちに脱出!
それにしても………忘れる?一体何の話だ?俺は何も忘れてなんかいない。
「……反応を見る限り忘れていたらしいな…」
「だから忘れていたって何を?」
「…はぁ…とりあえずアレを見ろ」
鳥本が何やら溜め息をついた後に、指をとある方向に差す。
………………………………………………………………………………………………………………………………は!アレは…まさか……………今まで一度も俺視点に出て来なかったから忘れていたけど……!
「この鍋、色々な種類や具やらが入っていて本当に美味しいッス~♪」
鳴海武士子、彼女であった…
そう、前回で垣間見た通り、彼女は途方も無い大食らい。
ともなると、そこから導きだされる結論は一つ
「うーん、これで鍋は8つ目ッスけどまだまだ足りないッス…
あれ?皆、そんなに気の抜けたような体勢でどうしたんスか?」
「もう放っておいてくれぇ…」
それが、俺たちの心からの叫びであった
あ、ちなみに次回からは更新が比較的遅くなるかも…