プロローグ
…懐かしい。懐かしいなぁ…この景色、匂い、『人間界』に戻ってきたのは久しぶりだ…
それにしても…景色が変だ。何だここは?
……おかしいな…このような場所は見たことがない…
まぁいい、それにしても腹が減った…ん?何やら向こうから旨そうな匂いが…
…マクデナルド?ここから旨そうな匂いがする…食堂か?とりあえず寄ってみるか…
***
「ふぅ…今日から俺も高校生か…実感わかねぇな」
「まぁまぁ、そんなこと言ってないで」
ここは山上島、人口は数万人の巨大な島である。
俺の名前は槍舘鈴音。
…女みたいな名前だが決して女じゃねぇぞ?男だ。
はぁ…しかも何故名前だけじゃなくて、顔も超ド級の女顔なのやら…しかも背も小さいし…
次に俺に話しかけてきたのが…御神楽 凛歌、何故か中学のときからずっと同じクラスの俺の数少ない友達の一人だ。髪は何故か日本人には珍しい金髪のロングだ。
そして今、俺と凛歌は入学式が終わり、学校からの帰路についている。
「…帰りマクデよってかね?」
俺は唐突に言う、理由は簡単。急にハンバーガーが食べたくなってきたからだぁ!
しかしマクデは決して誤字ではないぞ?マ〇ドではないんだ。マクデナルドだマクデナルド!決して某日本最大規模ハンバーガーショップではないからな!ドナ〇ドがいるわけでもないからな!
「うーん、いいよ。暇だし。
…って何考えてるの?」
「いや、ちょっとドナ〇ドの方程式をな」
「ドナ〇ドの方程式!?なにそれ!」
「特に意味はナーイ」
「ちょっと!?」
…とまぁそんなこんな話してるうちにマクデナルドにたどり着いたわけだ。
「……えぇと、私は『ロイヤルスペシャルチーズハンバーガー』を」
……凛歌はロイヤルスペシャルチーズハンバーガーか…カロリー高いけどいいのか?
って言っても、こいつは何故かいくら食べても全く太らない体質だからなぁ…きっとカロリーが脂肪となって、胸にだけ行っているのだろう
世の中の女どもは間違いなく羨ましがるだろうな…
「で鈴音は一体何頼むの?」
「うーん、じゃあ…この『不死鳥ドラゴンかめはめバーガー』ってのを」
ぶっちゃけどんな味か想像出来ない…だがあえて挑戦だ!
「お待たせしましたー」
おっと届いた届いた。さぁて…どんなのかと不死鳥ドラゴンかめはめバーガーを見て見ると…
何かハンバーグやらと一緒に鳥の羽らしきものが挟まれてるんだけど、しかもその色は黒…不死鳥というから普通赤だろ!?てかそれ以前に普通鳥の羽なんて食えねぇぜ!?
しかもドラゴンというのはただ単にパンズにドラゴンの絵が書かれてるだけ!?
詐欺だろこれ!?ぜってー詐欺だぁ!!!
「…ドンマイ」
うぅ、俺を慰めてくれるのか…凛歌…
しかし、一度出されたものを食わない訳にはいかない
パクっ
とりあえず一口食べてみる
「……へ?意外とイケるかも」
「えぇ!?本当?」
「あぁ、一口食べてみろよ」
パクッ
「あ…美味しい…」
「だろ?」
ちなみに間接キスになったということは内緒だ…全く…こいつは…俺は男だぞ?
「えぇと、ほら鈴音って女みたいだから。どーにも異性って感じがしないのよ」
「ちょっと待て!何故お前は俺の思考が読める?」
サイコメトラーか?お前はサイコメトラーなのか!?
「口に出てたよ」
「…へ?」
…そうだったのかよ。これからは気をつけなくちゃあな
「さて、食い終わったし、お代は俺が払っとくよ」
「…うん。ありがと」
…って…えぇと……料金は…不死鳥ドラゴンかめはめバーガー、一個にロイヤルスペシャルチーズハンバーガー……20個!?おいおい…いくら食べたんだよ…凛歌……
うぅ、金が……懐がどんどん寂しくなっていく…しかもとっておいた2000円札まで消えていく……さらば、2000円札!
そうして俺たちはハンバーガーショップから出ようとすると
「ちょっとすみませんが。そこにいる2人のお嬢さん」
そんな声が後ろから聞こえてきた。
それにしても…2人のお嬢さん?少なくとも俺たちではないな…と思いつつ後ろを向いたら何やら顔は見えないように深く漆黒の帽子を被った、何やらこの世界にはないような服装をした異様な男が確実にこちらを向いて立っていた。
「すまないが、お金を貸してくれないか?」
そしてその男はそう言い放った。
偶然か必然か
絶望か希望か
滅亡か創造か
現実か幻想か
最初か終末か
奇跡か運命か
天上か奈落か
そう、この物語はここから始まる。