表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】錬成師アリアは今日も頑張ります ~妹に成果を横取りされた錬成師の幸せなセカンドライフ~【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/84

58.第二王子のお願い

 魔法のリスクを知った私は密かにガッカリしていた。

 失礼なのはわかっているけど、期待していた分の落差があって。

 多少なり、表情に現れてしまったようだ。

 

「ガッカリしたか?」

「い、いえ!」

「誤魔化さなくていいぜ。実際に使う所が見たかったんだろ? 悪いな」


 アッシュ殿下に気付かれて、慌てて頭を下げた。

 だけど殿下は気の抜けた笑顔を見せる。


「魔法っていうのは奇跡の力だからな。なんのリスクもなく奇跡は起こせないってことだ。自由に使えたらもっと楽だったんだがな~」

「兄上は魔法がなくても強いじゃないですか? 時々、この人は本当に人間なのかなって思うくらいですよ」

「どっからどう見ても人間だろ?」

「……そうですね」


 倒れていたユレン君が起き上がる。

 

「なぁアリア、もしかして兄上の魔法から新しい錬成のヒントを得ようとしたのか?」

「うん。何か参考になればと思ったんだ」

「やっぱりそうか。錬成術と魔法って、普通じゃ有り得ないって点で似てるけど、一番大きな違いは代償なんだよ」


 錬成術は物質同士を掛け合わせ、新しい物質に組み替える。

 その際に素材を用意し、消費する。

 用意した素材と、完成した物の価値は等価なんだ。

 何もない所から新しい物は生み出せないように、錬成術には素材という対価を支払う。

 魔法も同じく対価が必要になる。

 

「大昔の人間は魔力を消費して魔法を使っていた。だけど現代の人間には魔力がない。代わりに生命力を消費して魔法を使うから、結果寿命を縮めるんだよ」

「そういう理屈なんだ。魔力……か」


 じゃあ魔力があれば自由に魔法が使えるってこと?

 魔力ってなんだろう?

 錬成術で作れたりしないのかな。


 そんなことを考えていると、アッシュ殿下も立ち上がって言う。


「まっ、魔法なんて使わないに越したことはねーよ! 一応使う方法は知ってるが、こんなもんただの兵器だ。ピンチになった時くらいだろ」

「兄上がピンチになる未来が想像できませんよ……」

「そうでもないさ! 俺だってピンチに……あ!」


 話の途中で何かを思い出したのか、アッシュ殿下が大口を開ける。

 そのままポンと手を叩く。


「大事なこと思い出したぜ! アリア!」

「え、はい!」


 アッシュ殿下は私の名前を呼んだ。

 真っすぐにこちらを見ている。

 急に呼ばれたので緊張しで、背筋が無意識にピンとなる。


「ちょうどお前の力を貸してほしい案件があるんだよ!」

「私に……ですか?」

「おう。その話もするつもりだったのにすっかり忘れてたぜ!」

「……兄上は相変わらず忘れっぽいですね」


 豪快に笑うアッシュ殿下と、それを見て呆れるユレン君。

 忘れ癖はいつものことみたいだ。


「悪い悪い。んで、お願いしたいことなんだがな? 俺が担当してる領地の一つで、奇病が流行ってるんだよ」

「奇病……どんな病気ですか?」

「原因はわかってない。現時点でわかってるは、発症後一週間で死に至ること。発症者の身体には、紫色の茨みたいな模様が浮かぶことだ」


 発症から一週間で死に至る?

 そんな急速に進行する病なんだ。

 しかも紫色の茨?

 そんな症状が出る病気なんて聞いたことないよ。


「それと関係あるかわかんねーが、領地内で魔物が現れるようになったんだよ」

「魔物? 事実ですか兄上」

「おう。父上には先に報告したんだが、その対処に連日追われてたんだよ」

「魔物……」


 動物とは違う、凶暴で残忍な異形の生物。

 数は多くないから、私も見たことはないけど、とても危険な生き物らしい。


「すでに何体か倒したんだがな、一向に減らないんだよ。そこでアリアの知恵と力を借りたい!」

「なるほど」


 二人が私のほうを見る。

 つまり、奇病の治療と、魔物の対処に関して協力してほしいということか。

 ユレン君が質問する。


「どうだ? 今の話で何か分かることあるか?」

「……ううん、話だけだと何も。実際に見てみないとわからないかも」

「だったら俺と一緒に来てくれ! 案内するぜ!」


 それが一番良い。

 あとは、私がここを離れてもいいのか。


「ユレン君」

「内容的に許可なら下りると思うぞ。放っておくと他の領地にも影響するかもしれないからな」

「そうだよね。私も今の話を聞いたら確認しに行きたい」

「わかった。兄上、その……」


 ユレン君は言い辛そうに口を濁らせる。

 何かを伝えたい様子だ。

 それに気づいたアッシュ殿下は、呆れたように笑う。


「わかってるよ。父上の許可さえもらえたら、お前も一緒に来い。人手は多い方がいいからな」

「ありがとうございます!」


 ユレン君が頭を下げる。

 彼も一緒に来てくれるなら心強い。


「そんじゃ準備次第出発するぞ! 期待してるぜ錬成師アリア!」

「はい!」


 奇病と魔物。

 どちらも未知数の脅威に他ならない。

 ユレン君が目指す国を実現するためにも、危険な二つはなんとかしないと。

 私は心の中でグッと握り拳を作る。


ブクマ、評価はモチベーション維持、向上につながります。

【面白い】、【続きが読みたい】という方は、ぜひぜひ評価☆☆☆☆☆⇒★★★★★をしてくれると嬉しいです!

【面白くなりそう】と思っった方も、期待を込めて評価してもらえるとやる気がチャージされます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿してます! 下のURLをクリックしたら見られます

https://ncode.syosetu.com/n7004ie/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

5/10発売予定です!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000



5/19発売予定です!
https://m.media-amazon.com/images/I/71BgcZzmU6L.jpg
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ