表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】錬成師アリアは今日も頑張ります ~妹に成果を横取りされた錬成師の幸せなセカンドライフ~【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/84

34.二度目の脅迫文

 ユレン君が私を見つめる。

 疑っている顔でも、心配そうな顔でもなく。

 ただ普段通りの表情で、私の瞳から視線をそらさない。

 完全に不意打ちで、気を抜いていた私は咄嗟に返事が出来なかった。

 僅かに視線をそらしてしまう。

 だけど、すぐに動揺を鎮めた私は聞き返す。

 

「変わったことって?」


 精一杯、何食わぬ顔をする。

 本当に心当たりはないよ、という風を装う。

 ユレン君を巻き込みたくない私は、彼に悟られないよう必死だった。


「……何もないなら良い。頑張れよ、アリア」

「うん、ありがとう」


 そう言い残し、ユレン君はアトリエを去っていく。

 なんとか気づかれずに済んでホッとする一方、不審がらせてしまったことを反省する。

 隠せているつもりが、普段との違いを感じさせてしまったようだ。

 もっと注意しないと。

 せめてヒスイさんが、手紙の主を探し出してくれるまで。


  ◇◇◇


 数日後。

 特に動きはなく、ヒスイさんからの報告もない。

 私はナイフが飛んできた木々の辺りを歩く。

 今日もラウラさんへの報告のため、近道を通っていた。

 ちょうどナイフが突き刺さった木の前にたどり着き、なんとなく足を止める。


「うわっ!」


 そこへ再び、あの日と同じように。

 一本のナイフが顔の前を横切って、切り目の入った木に突き刺さる。

 寸分違わず、まったく同じ刺さり方をしていた。


「あ、手紙」


 ナイフの柄に手紙が巻き付いている。

 白い紙が折り畳んで巻いてあるだけなのに、手紙だとわかってしまうのは二度目だから。

 私はナイフを抜き取り、手紙を開けて読む。


 二度目の忠告だ。

 これ以上、ユレン殿下と関わるな。

 

 短文でハッキリと、強い感情が込められていた。

 あきらかに最初の手紙より怒っているのが伝わってくる。


「やっぱり見られてたのかな」


 ユレン君がアトリエに訪れる様子を、どこかで観察していたのだろうか。

 私は左右を一度ずつ見て、改めて手紙に視線を降ろす。

 飛んできたナイフは外れるように投げていた。

 危険は感じられなかったけど、二度目となると不安は強くなる。

 私はナイフを隠すようにしまい、手紙を折り畳んでポケットに入れた。


 それからラウラさんに報告を済ませ、遠回りしてアトリエに戻る。

 近道は使いたくなかった。

 またナイフが飛んでくる気がして。


「ただいま戻りました」

「お帰りなさいお姉さま! どうかなされましたか?」

「え?」

「顔色が優れませんが」


 悩んでいるのがイリーナちゃんに伝わってしまった。

 私は咄嗟に笑顔を作る。


「あ、いえその、最近王宮への出入りが多いなーっと思って考えていたんです」

「ああ、それは……隣国での一件が関係しているんです」


 イリーナちゃんは言い辛そうに声量を下げる。

 隣国の一件といえば、間違いなくメイクーイン王国での事件だ。

 彼女は続ける。


「あの一件が各国に広まって、自分たちの国でも同様のことが起きていないか……と不安を感じる方々が増えたそうです」

「不安……ここもそうなのですか?」

「はい。ただ当人のお兄さまは気にされていません。気にしているのは、五大貴族の方々です」

「五大貴族?」


 以前に話の中で出て来た名前だった。

 とても偉い人たち、と言うことは知っている。


「五大貴族って、どんな方々なんですか?」

「私たち王家に連なる貴族の末裔です。古くから国を支えてきた方々で、お父様も頼りにされています。それから五大貴族の皆さまは、それぞれ別々の王子を支持されているんです」


 イリーナちゃんが言うには、支持という言葉より、単に支えているという表現のほうが合っているらしい。

 王子はいずれ王になる資格を持つ者。

 政治を動かし、国を支える者。

 そんな彼らを見定め、力を貸すのが五大貴族の役割とされる。

 だから彼らは王子のことを気にかけていて、王子も彼らを信頼しているそうだ。

 途中まで話を聞いた私は、ある予感が脳に過る。


「じゃあユレン君を支持している人もいるの?」

「もちろんです。ガーデン公爵様がユレンお兄さまの支持者になります」

「ガーデン公爵様……どんな方なんですか?」

「そうですね~」


 イリーナちゃんがうーんと唸りながら考える。

 

「一言で言えば、とても厳格な方です」

「厳格……厳しい方なんですね」

「はい。ですがただ厳しいわけではなく、とても真面目で真摯な方なので、お兄さまも信頼されています」

「そう……ですか」


 予感が強くなる。

 まさかそのガーデン公爵が脅迫状を?

 いや、相手はとても偉い貴族だし、そんな回りくどいことをするかな?

 私をユレン君に近づけさせたくない理由はわかる。

 素性のハッキリしていない。

 しかも問題のあったメイクーイン王国の出身で、王宮で働いていた錬成師。

 その人がどこまで事情を知っているかはわからないけど、危険だと思うのは当然だ。

 だとしたらやっぱり……そうなのかな?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿してます! 下のURLをクリックしたら見られます

https://ncode.syosetu.com/n7004ie/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

5/10発売予定です!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000



5/19発売予定です!
https://m.media-amazon.com/images/I/71BgcZzmU6L.jpg
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ