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【WEB版】錬成師アリアは今日も頑張ります ~妹に成果を横取りされた錬成師の幸せなセカンドライフ~【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二章

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30.嫌な視線

今回から新展開?かもです。

 アトリエの中でいろんな音が聞こえる。

 キンキンと金属を叩く音だったり、カランとコップが転がるような音も。

 時折ガラスが割れたような高い音が響くこともあれば、重量感溢れるワイルドな音だって。

 中を見ればなるほど、と思うかもしれない。

 だけど知らない人が通りかかったら、こう思うかもしれない?


「魔女の館みたいだな」

「え?」


 不意にアトリエを訪れたユレン君がぼそりと呟いた。

 私とイリーナちゃんが作業の手を止める。


「あーいやすまん。王宮内でそんな噂が流れててさ」

「噂? 私のこと?」

「アリアのっていうか、このアトリエがかな? ほらここ、位置的にいろんな人の通り道になるだろ? あと昔の建物だから防音もしっかりしてないし、よく音が響くんだ」

「あー……」


 それを聞いて納得してしまう自分がいた。

 確かに私も昔、錬成師になる前に屋敷の研究室から聞こえてくる音を耳にして、中で何をしているのだろうと不安になったことがあった。

 知らない人からすれば得体のしれない実験をしている、と思われても仕方がない。

 ただ、魔女と言われたのは初めてだけど。


「それはお姉さまが短期間で功績を残したからですよ」


 と、教えてくれたのはイリーナちゃんだった。

 彼女は未だにお手伝いをしに来てくれる。

 イリーナちゃんはガラスの瓶に入った液体を流し台に捨てながら、話の続きを口にする。


「お姉さまは錬成師に任命されて日が浅いですし、私たち以外は事情を知りません。急に現れた新人が、王国の抱える問題を解決している、という話が広まって」

「恐ろしいスピード、素性もわからない。もしかして魔女なのか? って感じになったんだと思うぞ」


 ユレン君が続きを話してくれた。

 そういう流れがあったことにまったく気が付かなかった。

 確かに言われてみると、私って王宮じゃ特に異端な位置にいるような。

 今更だけど、結局他の錬成師さんに紹介もしてもらってないし。

 忙しすぎて自分から挨拶にいく時間もない。

 というより誰が誰なのかわからないよ。


「にしても魔女は面白いけどな」

「笑い事じゃありませんよお兄さま! 魔女なんて呼び名はお姉さまにとって不名誉です」

「え? そうなんですか?」


 私は意味がわからなくて首を傾げる。

 するとイリーナちゃんが驚いたような顔で尋ねてくる。


「お姉さまは魔女のことをご存じないんですか?」

「は、はい……その大昔にいた凄い人……くらいの認識で」


 絵本とか童話に出てくるって話も聞いたことがある。

 それ以上の知識はない。

 私がそう答えると、イリーナちゃんは酷く驚いていた。

 ユレン君がフォローする。


「アリアは小さい頃から錬成ばっかりだったからな。それに必要ない知識は軒並み避けてたんだ」

「なるほど。お姉さまは小さい頃から頑張り屋さんだったのですね」

「い、いえ……別にそんなことは」

「謙遜するなって。アリアが努力家なことは俺が保証する。近くで見てきたからな」


 こんな風に、ユレン君はよく私のことを褒めてくれる。

 最近では褒められ慣れてきて、少しずつ恥ずかしさは減ってきたのだけど。

 何度聞いても嬉しいのは不思議だ。


「それで魔女ってどんな人なのかな?」

「お? 何だ気になるのか?」

「うん。みんな知ってるみたいだし」


 錬成には関係なさそうだけど、一応聞いておこうかなと思った。

 私がそう呼ばれているなら、多少は無関係でもなさそうだし。

 イリーナちゃんの言う、不名誉って所が気になる。


「魔女っていうのは、大昔に実在した魔法使いの女性のことだ。魔法については知っている?」

「うん。現代では限られた人しか使えない奇跡……みたいな力だよね?」

「そうそう。今じゃほとんど見かけないけど、昔はみんな普通に使えていたんだって。その中でも特に強力な力を持っていた一人が、魔女って呼ばれてるんだ」

「へぇ~ じゃあやっぱり凄い人なんだ」


 私が理解の軽い反応を見せると、二人とも微妙な表情を見せる。

 特にイリーナちゃんは表情が暗めだ。

 魔女の話の続きをイリーナちゃんが話し出す。


「凄い人なのは確かですが、とても怖い人だったんです」

「怖い人?」

「はい。魔女は人間や世界に対して強い恨みを持っていたんです。だから自らの力を使って滅ぼそうとしました」

「え!?」


 人類を、世界を滅ぼそうとしたってこと?

 そんな意味不明なことを考える人がいたことに驚く。


「えっと、どうなったの?」

「失敗に終わったそうです。でもたくさんの人たちが犠牲になったらしく、魔女の名前は悪名として広まりました」

「その時に見たこともない道具や武器を使ったそうなんだ。たぶんその点が、アリアを魔女だっていう理由だと思う」

「な、なるほど」


 何を作っているかわからない怪しさが、私を魔女と呼ぶ理由か。

 魔女が悪い人だっていうなら、確かに不名誉だけど。


「あー……だからなのかな。最近変な視線を感じるのは」

「視線? そうなのか?」

「うん。でも今の話を聞いたらそうなのかなって。別に危害を加えられたわけじゃないし、噂の所為なら仕方がないね」


 噂ならすぐにおさまるだろう。

 この時は軽く考えていた。


「……そうだな。でも何かあったら必ず言うんだぞ?」

「うん、もちろん」

 

 私はそう答えた。

 だけど、この後……私は約束を破ることになる。

続きが気になる方はぜひとも評価を!

そうでない方でもしてくれたらやる気が出ます!



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