第二話:保健室で。
…………………。
「ん…」
ここは、どこだろう。
視界に広がるのは、白。
白色の景色…。
「大丈夫ー?気絶してたみたいだけど。」
この声…
皆沢先生じゃない。
保健室の先生。…緑川先生。
この先生も、イケメン。女子生徒に人気のある先生。
私は、タイプじゃないけど。だってこの先生、無駄に色気だしててもうわざととしかおもえな…
「色気は元々だよ。別に、わざと色気出してるわけじゃないよ?」
…私は、どこから口に出していたのだろう。
クスクスと笑う緑川先生は、私のいるベッドに腰掛けた。
接近しすぎ。
こんなの、皆沢先生にやられたら私…
「ごめんね、皆沢先生じゃなくって。でも、失礼だねー。こんなイケメンよりもあんな裏表ありそーな人の方がいいなんて。」
ほら、やっぱり無駄。
この人が好きなわけじゃないけど、この人の香りとか、オーラに…
くらくらする。
「そんなに固まらなくても。別にとって喰おうなんて思っちゃいないよ」
「じゃあ、くっつかないで下さい」
「んー?何?」
意地悪そうに微笑む彼は、意地悪に囁く。
「…ねぇ、右京さんはさぁ。先生と生徒の恋愛って、アリだと思う?」
唐突な質問に、少し動揺する。
いや、いきなりなことに動揺したんじゃない。
今一番突っ込まれたくないことだからだ。
てゆうか、どうしてこの人はこんなことを聞くの?
「私は…アリだと思います。」
実際、今の私の好きな人は皆沢先生だしね。
「そうだろうね。だって右京さん、皆沢先生のこと好きなんだもんね?」
「えっ…なんで知ってるんですか!」
先生は、馬鹿にしたように私を見た。
「だって…態度でバレバレだよ。それに、俺よりも皆沢先生の方がいいなんて言っちゃってさ…」
「う…」
「ほんっと、むかつくよね。」
先生はそう言うと、私に返事をする時間も与えずに私に近づいていった。
―――っ、キスされる!
「……?」
思わずつぶった目をゆっくりと開けると、先生の顔が目の前にあった。
けど、唇は触れてなくて、ぎりぎりのところで止められていた。
しばらくすると、先生は私から離れた。
そして、何故か爆笑。
「ははははっ!何されると思ったの、右京さん!」
「な、何されるって…」
「ん?言ってみな?」
意地悪く言われて腹が立ち、私が寝ていたベッドにあった枕を先生の顔面に投げつけた。
「何にもないですっ!じゃあ、教室戻るんでっ。失礼しました!!」
勢いよくドアを開けて、勢いよくドアを閉めて教室へ向かって行った。
「…かわいいなぁ」
私が保健室を出てから、緑川先生にこんなことを言われてるなんて知る由もなかった。