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はじまり1-5


 翌朝、未来――ミクは、支度をしながら鞄の整理を始めた。手帳には予定が色々と書き込まれている。

 基本事項として、ミクは事情を話し、相手が受け入れない限り、ミライの振りをする事にしている。余計な問題を回避するためだ。

 手帳で予定を確認し、鞄の中を奇麗に整理していく。


 「まったく、ミライは大雑把ですね…必要のないものまで持ち歩いて」


 一人ごちながら、粗方の整理も終わった。後は大学に向かうだけだ。

 その時、リッターの通知が鳴ったが、ミクは敢えて開かない。リッターをやっているのはミライであって、ミクではない。ここで開いてしまっては、ミライと相手のプラバシーの侵害になる、と考えている。

 ミライとは違って、ミクはリッターなどに興味を持てずにいた。精々やるとしても、チェインくらいだ。

 チェインとはメールの進化したもので、IDを交換した個人や複数人と、チャットや通話が無料で出来るアプリ。相手の名前を書き換えることができるので、ミライが繋がった相手なのか、ミクが繋がった相手なのか、わかるようにしている。お互いに自分の繋がった相手以外のチェインを開くことはない。

 こうやって今まで、お互いが全く違う人間関係を築いてきた。

 時には自分達の事を話し、ミライ、ミクともに仲良くしている相手もいる。だが、そういう相手はまれだ。

 大体の人間関係は、事情を離した途端に破たんする。だからこそ、2人は余程のことがない限り、お互いの存在を打ち明けたりはしない。


 「おっと…愛花には私であることを伝えておいた方がいいですね」


 鞄を持とうとして、大学で出来た友人の事を思い出した。愛花にはミライがミクの存在を打ち明けたのだ。幸いにも、愛花は2人を受け入れてくれた。大学でボロがでないように、サポートしてくれている。

 チェインで愛花のトーク画面を開き、挨拶とともに少しの間、ミクが大学に通うことを打ち込む。直ぐに既読マークが付き、スタンプで了解と返ってきた。これでなんとかなるだろう。


 「さて、行きますか」


 荷物を持ち、玄関のドアを開けた。この瞬間から、ミクは切り替える。ミライに成り切るために。



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