15)ヴィナカムィ創世記3
勘違い回数、増やさないと。
実は最新話が15と16話入れ替わってます。申し訳ねぇ。
オレはその時、死んだはずだった。
覚えているのは、土のカタマリみたいな人族のチビたちから受けた痛みと。
同族たちが人の女どもに切られ、飛ばされ、潰されていく姿。
ヘマをした。オレが死んだ時考えた事はそんなモンだった。
この世界じゃオレらゴブリンの命はムシケラ程の重さもナイ。
エモノをおそってしくじりゃ死ぬ。それが当然。それがルールだった。
だからオレらゴブリンにとって他者の死は笑い話だ。あのマヌケがどうやって死んだか、それがゴラクとなる。
暗い、静かなヤミの底、そんな所。
そこにオレが落ちていく。周りにゃ死んだゴブリンたち。
ああオレはあそこで終わるのか。そりゃ、いやだな。ありゃあまりにもサビシイ。
虫けらの終わりは、最後まで虫けらだった。
オレがその深淵の中に吸い込まれそうになった時。
体が熱くなる。知ってるぞ。これは命のホノオだっっ!!!
それにただしがみつく。死にたくない、消えたくないっっ!!!
アガク。モガク。ホノオにスガル。
そんなオレを、今まで感じたことのない暖かなものが包んでいった。
気付けば、生き返っていた。しかし姿がチガウ。
キレイで大きい女の身体。ナゼかオレはヒトになっていた。
目の前には美しすぎる女がいた。四人のキレイな女達を引き連れ、オレの横へ立っている。女はオレの肩に、手を乗せていた。触れていた。
底からあの感じたことのない暖かなものが流れてくる。
いつもなら何も考えず、飛びついていただろう。
だがダメだ。
あの女がオレに新しい形を与えた。
それがとてつもないチカラだと言うことはオレでもわかる。イダイなカタだ。
ゴブリンは何時だって、ツヨキモノにヒザマツク。生きるため、必要だから。
オレはヒザマツク。
そして自分のオロカサと、イダイなカタをタタエル言葉を叫びつづけた。
ゴブリンは何時だってムシケラだ。ツヨキモノの言葉1つで命を落とす。
だから、命乞いは、何時だって真剣だ。
その為におれは人の言葉を覚えた。生きる手段、大事だ。
いつの間にか、囲まれている。同族を殺った女たち。
オレは必死に頭を下げた。
その時、オレを殺した、チビの1人がイダイなカタに問いかけた。
「ねぇねぇかみさま?なんであの子をたすけたの?」
「……ごめんね。気づいたら身体が勝手に動いていたの。」
わからない。イダイなカタが何故、オレを救う?
続きが気になる。立場を忘れ、ついつい聞いた。
イダイなカタは、悲しそうに、オレのしらない、柔らかい顔つきで答えた。
「ナゼ、タスケル。オレ、イダイなカタ、テキ。コロス、シタ。スクウ、ナイ。」
「この子を見てたら昔を思い出してね。
流れのままに、流されるままに。
世の理不尽の流れで死ぬことになったこの子の姿が自分に重なったの。」
リカイができない。イミが分からない。
イダイなカタは何故、ゴブリンなどと己を重ねる?
イダイなカタは、ゴブリンと違う。虫けらと違う。
「きっと醜くとも、まわりから疎まれていても、それでも必死に生きていたのでしょう。
少しでも生まれ方が違えば、世界のあり方が彼らに優しければ。
もっと幸せな人生をおくれたかもしれないけど。
それでも、世界は優しくないものね。」
何故そこまでゴブリンが理解できる?
何故、ゴブリンでなく世界のあり方を悪く、言う?
それでは、まるで。
ゴブリンのあり方を、それを認める世界が、どこかにあるようでは無いか。
それを望んでいる様に、聞こえる。
「そうには、ならなかった。
その子が無残に横たわる姿を見ていたらね。
すごく切ない気持ちになったの。とても、とても不憫に思えてね。
そうしたら自然と身体が動いていたのよ。」
何故そんなに、ゴブリンの死をナゲク?
それでは、まるで。
まるでオレたちがムシケラで無いようではないか。
オレタチが虫けらであることが、悲しかったから。そのあり方が悲しかったから。
それだけで、オレを。敵だった、オレを助けたのか? 新しい姿を与えて?
オレは、オレタチは虫けらのようでなく、生きられると。
生きるべきだと言うのか?
何故か、オレの身体が、あの暖かななモノに包まれる。
目から、恐怖を示す、熱き水が流れる。
だがオレは今、恐れていない。知らない。俺は、このココロを知らない。
どうやらオレは姿と共にココロまで変えられた、ようだ。
フルエタ。ココロが。タマシイが。
オレは、オレタチは、ムシケラではない。
そう在る世界を望むのか。その為にオレを救ったのか。
フルエタ。ココロが。タマシイが。
オレは、オレタチは、ムシケラではないっ!!
そう在る世界を創るのか。その為にオレを変えたのか。
ああフルエル。初めての熱き、ココロっっ!!
オレはコウフンを、抑えられないっ!!
その身をフルワセ、この新たな姿が、ココロが何よりホコラシク、思えた!!
その時、イダイなカタが、俺にアタマを下げてくる。
ゴブリンがよくする、命乞いの形で。
何故オレにアタマさげるっ!!
必要ないぞイダイなカタ。オレにアタマを下げるなっ!?
「本当にごめんなさいっっ!!
私は貴方に私と同じモノを背負わせてしまった。貴方のあり方を変えてしまった。
私の勝手な行いで。
貴方は私をいくらでも恨んでくれていいわ。
私はそれだけのことを貴方にしたのですから。」
ああ、イダイなカタよ。貴方もオレと同じだったと言うのか?
貴方もかつてはムシケラだったと、同じモノを背負っていたと言うのか。
そしてアナタも、オレの様に、新たな姿とココロを得たと。
ヨワキモノを、見捨てる、世界にアラガウ、イダイなカタよ。
あるいはかつてのオレタチよ。弱きココロ知るツヨキモノよ。
ならばオレもその道を行きたいっ!! オレはそれを望むっ!!
いつか貴方のように、悲しい世界をに抗うツヨキモノにこそ、オレはなりたいっ!!
「ヤメルっ!! イダイなカタ、オレ、タスケタ、スクッタっっ!!
スガタ、カワル、イイ。イダイなカタ、オナジ、セオウ、オレ、アラタナ、ホコリっ!!
ダカラ、ヤメルっ!! オレ、カンシャっ!!アリカタ、カンシャっっ!!」
だからイダイなカタ、アタマをあげてくれっっ!!!
いけないぞ、良くないぞっ。シャザイなど不要だっ!!
むしろオレがアタマを下げるべきなんだっ!!!
オレはイダイなカタと同じ格好をしてネガウっ!!!
「イダイなカタ、どうか、どうか、オネガイする。
イダイなカタのモトメルものツクル、オレ手伝う、手伝いたいっっ!!
オレ、何でもする。オレ何でもやるっ!!!
ダカラどうかイダイなカタ、オレ、いっしょ行くの、ユルシテ欲しいっっ!!!」
「ええ、もちろん。あなたがそれでいいのなら。」
ああこれでオレも抗える。イダイなカタと一緒に戦える。
悲しい世界変える為。いつかあなたのようになる為に。
オレは見たいんだ。新たな世界を。イダイなカタの求める優しい世界をっ!!
何故ならオレは、オレたちは、虫けらではないのだからっっっ!!!
閲覧ありがとうございます。




