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学生日記  作者: 非リアカットマン
1/1

退治

9時



目を開けるとそこには見知らぬ天井が…。


…なんてことはなく、シミのついた我が家の天井がそこにあった。

 俺はいつになったら異世界に行けるのだろうか、なんてことを思いながら俺はベットから出てあくびをした。


「ハア”ア”ア”ア”ァァ」

 

 …変な声が出たな。

 友達に聞かれていたらきっと悶え苦しんでしまうことだろう。

 俺だったら最悪恥ずかしすぎて自殺するまである。

 まあ、俺にそんな度胸はないが。てか友達自体いなかったな。

 軽く自虐をしながら目覚ましにカーテンを開けた。


 ササーッ(カーテンを開く音)

 ピカピカピッカーン(sun)

 

 夏の太陽の光に目を焼かれた俺は、きったねえ床にのたうち回った。

 部屋が狭いせいで動くたびに体の何処かがぶつかってしまって痛い。

 数分後、目の疼きが治まった俺はきったねえ床に手をつき、立ち上がろうとした。


 「あっ…」


 前方40センチのところに赤茶色をしたソイツがみえた。

 そいつが見えた瞬間、腕に重心をかけたままの状態で固まった。

 そいつは床で這いずり回っていた。

 俺はそいつに気づかれないように机の上にあるゴキジェットを持った。

 ゴキジェットを構えると、そいつに標準を合わせて思いっきりトリガーを引いて叫んだ。


「バ〇サン使った一日目で出てきてんじゃねー!!」


ゴキジェットは、ゴキ〇リを吹き飛ばして俺の部屋の床を水浸しにした。

俺は大きな達成感を感じつつ、床を拭くために雑巾を取ってこようと起き上がろうとした。

その時、普段筋トレのしていない腕がつってしまい、濡れた床に顔面でダイブした。


(グチャ)


ダイブした時、床についた顔に変な感触がした。

恐る恐る顔についたそれをとってみると、それはバラバラになったゴキ〇リだった。




2時50分



朝の最悪な出来事から逃げるように部屋でゲームをしていた昼頃。

眠たくなってきたから昼寝でもしようかな?


 ススー(襖)


突然親父がノックもせずに部屋に入ってきた。


「親父!部屋はいるときはノックしろって言ってんだろ!」

「そういうのいいから。はい、先生から電話」


親父から受話器を受け取ると、そこから生徒指導の先生の声が聞こえた。

俺は、余所行き用の声で応対した


「はい、ただ今代わりました、細川です」


『細川くん今日何があるか知ってる?』


「いいえ、何もありません」


何もなかった、と思う…。

受話器から聞こえる武林先生の声は怒っているように感じた。


『…今日、高校見学、あったと思うんだけど』


…コウコウケンガク?

先生のその言葉を聞いた瞬間、僕は立ったまま固まった。


「…少し待ってください、確認してきます」


 受話器を置き、カレンダーを確認する。

カレンダーを見てみると、今日に赤文字で、


『高校見学!2時30分から!』


と書かれてあった。

僕は、咄嗟に言い訳を考えて受話器を取った。


「明日と間違えてました」


我ながら完璧な言い訳だと思った。

小学校の頃、宿題を忘れたことが役に立ったと思った。

俺の宿題忘れのレパートリーは数十を超える。

…そんなに多くないかな。


『…今、何分か、分かる?』


これは、完全に怒ってるな。

顔を真っ赤にして電話をする武林先生が頭に浮かんだ。


「50分です」

『…俺が遅刻することを向こうの先生に伝えといてやるから、今から行けるな?』


無理。

俺は心の中で即答した。心の準備が出来てないのに、いきなり高校見学に行ってこいとか、ハードすぎる。


「あの、今日、僕用事があっ『そうか、じゃあちょっと親さんに変わってくれるか』

「…はい」


はい詰んだ。

もう俺に出来ることは何もない。お前の勝ちだよ武林。

俺は、大きな溜息をつくと高校見学の準備を始めた。



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