表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/32

 昨日の雨が嘘のような晴天だった。

 こんな日は教室の中で授業を受けているのがとても勿体無いという気分になる。人生には勉強が必要だということも、今の時間が贅沢な時間だということも理解できる。でも、それと同じくらい、僕は外に行きたかった。あの青い空の下を、自由な風の中を、自分の足でもっと歩いていたかったのだ。

 勉強した時間と同じ時間だけ、外を歩きたかった。

 足し算した分だけ引き算をしたかった。

 そうやって、自分をできるだけ平坦にしたかったのだ。そうしたいという強い欲求に棗の心は支配されていた。自分でも、どうしてそう思うのかは、わからなかった。もしかしたら大人になればわかるのかもしれないけど、……とりあえず、今の棗にはわからなかった。

 これは僕の個性なのだろうか? それとも、思春期特有の普遍的な『なにか』なのだろうか?

 それすら判別できなかった。恥ずかしいから友達にも相談できない。勉強ならいくらでも教えたり、逆に教えてもらったりできるのだけど、こういうことはそうはいかない。少なくとも棗にはこういうことを相談できる友達は今のところいなかったし、たぶんだけど、一生できないとも思った。僕はひねくれ者だ。それが僕という人間なのだ。

 ……これは逃避だろうか?

 僕はただ、現実から逃げているだけなんだろうな。

 ……自由になりたい、と強く思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ