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「お兄ちゃん、その猫、どうしたの?」

 猫を抱いたまま家に帰ると、ソファーの上でくつろいでいた妹の柚がそんなことを棗に聞いてきた。

「そこで拾ったんだ」棗はいつものように短い言葉で柚の質問に答えた。

「拾ったって、その子、家で飼うつもりなの?」柚は珍しく大きく両目を見開いて驚いている。きっと雨の日に猫を拾ってくる、という行為がとても棗らしくなかったから、柚はこんなに驚いているのだろう。無理もない。自分でもそう思った。

「お母さん、きっとだめだって言うよ?」

 柚はそう言いながらソファーから立ち上がると、棗の眼の前までやってきた。そして柚は猫の額をつんつんと指で突っついた。猫はなんの反応も示さない。それでも柚は棗の顔を下から見上げて、にやっと笑った。柚もどうやらこいつのことが気に入ったみたいだ。

「母さんは僕が説得するよ。それよりも、こいつをお風呂に入れたいから、少しだけ手伝ってくれないか?」棗が言う。すると柚は「うん。いいよ!」と、とても楽しそうに棗に答えた。

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