64話「誕生日」
今日は私の誕生日。
朝起きると沢山のメールが届いていた。
その中で1番嬉しかったのはやっぱり優大からのメール
『誕生日おめでとう。今日のお昼くらいにそっち行くね』
私が誕生日ということで、お昼すぎにプレゼントを持ってきてくれるらしい。
私はそれが楽しみで早速着替えや掃除など、準備を始めた。
そして、お昼。着いたよ!というメールを受け、私は玄関へと向かった。
「誕生日おめでと」
「ありがと、入って」
部屋に行くと早速優大がプレゼントを取り出す。
「これ、前から欲しいって言ってたやつ」
「え!ありがと!大事に使うね」
それはイヤホンだった。今持っているイヤホンが調子が悪いと言う話を覚えていてくれていた。
「そんなに喜んで貰えるなんて…」
それから数時間話して、
「じゃあ、ごめん。そろそろ」
「うん、今日はありがと」
優大は何やら予定があるらしく、早めに帰らなければならないということだった。
もう少し一緒に居たかったけど、仕方ない。
夜になり、私はテレビを見ていた。すると携帯が鳴った。
誰からだろう?と思い、名前を見ると優大だった。
『もしもし?どしたん?』
『あ、怜奈?今どこおる?』
『今家おるよ?なんで?』
『じゃあ、俺今どこおると思う?』
『そんなの知らんよ笑』
『ちょっと家の前出てきてみ』
私はそう言われ恐る恐る玄関から出た。すると…
「改めて誕生日おめでとう」
そこには居るはずがない優大がいたのだ。
「何でここにおるん!?予定は?」
「予定は、ちょっとこれを受け取りにね」
そう言って差し出してきたのは、
「これ、薬指には付けれんけど、小指に。」
それはピンキーリングだった。
「ありがと…」
「泣くなまー」
「だって、嬉しいげんもん!今日もうちょっと一緒におりたいって思ったけど、予定あるって言うし、仕方ないなって思いながら見送って…」
「ごめん、ごめん。ちょっとこういうのもいいかなって思ってさ」
私は泣きながらピンキーリングをはめようとした。
「待って、貸して」
そう言われ優大に渡した。
「手、出して」
まるで、結婚式の時のように指輪をはめる感じで、優大は私の小指に指輪をはめてくれた。
「ねぇ、ピンキーリングを左右どちらかにつける意味って知っとる?」
「えー、知らん笑」
「右手は、幸せを掴むため、左手は幸せが逃げないようにするため」
「やから、今つけとる左手が正解。今最高に幸せやから」
そう言うと優大は優しく抱きしめてきた。
「プレゼントあげた側なんにもらった気分や」
「優大、これからもよろしくね。大好きだよ」
「俺も、怜奈が大好きや。」




