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初恋  作者: rein
第3章〜高校3年生〜
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56話「卒部式」

総体が終わって、1週間が経った。


『今日、卒部式やるので視聴覚室に放課後来て下さい』


というLINEが後輩から来ていた。


放課後、私は視聴覚室へ向かった。


視聴覚室前へ行くと男子が群がっていた。


「どうしたん?」


「神崎か、まだ入らないでくださいって言われたから待機中」


「そうなんだ」


「脚どうや?」


「左足はもうほぼ大丈夫なんやけど、右足はまだ使えん状態〜」


左足より右足の方が重症だったため、まだ歩かないでと先生に言われてしまった。


左足は一昨日病院に行くともう大丈夫と言われたのだが、右足はまだまだなので松葉杖を使ってと言われた。


「松葉杖思ってたより大変」


「やろうなー逆に左足に負担かからんけ?」


「そーねん、休憩せんと歩けんから大変。疲れる笑」


そういうと優大が、


「座っとけ」


と言って椅子を持ってきてくれた。


「どっから持ってきたん?」


「中におる奴に椅子1つくれって言って貰った」


「ありがとう」



しばらくして、どうぞと扉を開けてくれた。


「おー、やっとか」


中に入ると黒板には


『3年間お疲れ様でした』


という文字と一人一人の名前が書かれている。


「怜奈先輩、大丈夫ですか?」


「うん、左足はもう使えるよ〜心配かけてごめんね」


「本当心配しましたよ!でも良かったです」


「ありがとう、そうそう梓と美鈴と真子ねんけど、今日たまたま予定あってどうしても来れんって」


「そうですか…突然だったので仕方ないですよね」



皆揃うと、夏美ちゃんと川野くんが司会を務め進んでいく。


どうやら次期キャプテンは川野くん、副キャプテンは夏美ちゃんのようだ。


「まず初めに私たち後輩から一言ずつ先輩方にメッセージを送ります」


男子は頑張りますという言葉が多く、女子は少し涙を浮かべながらありがとうございます。と伝えてくれた。


「次に先輩方より3年間を振り返り感想を言っていただきます」


私たちは全員前に行き、マイクを使って1人ずつ話し始めた。


男子はふざける人も多かったが伝えたい事はしっかり伝えていた。女子は1人が泣き出すと皆釣られて泣き出してもう大変


私は何を言うか考えていた。考えているうちに自分の番が回ってきた。


「3年間ありがとうございました。それとご心配とご迷惑をおかけしました。」


「うちがみんなに伝えたいことは、怪我をしたら絶対に休んでほしいってことかな?うちが言ったら説得力ゼロだと思うんだけどね」


クスクスと皆が笑う


「うちは本当に負けず嫌いで、怪我しても完治するの待たんと練習参加して治ってきたころに大会あって、出て怪我しての繰り返しだったのね」


「でも肉離れになる度に後悔して、それで2年の11月の大会の時に桃華に相談してたんだけど、部活辞めようかと本気で思ったの」


桃華以外知らなかったため皆驚いていた。


あの時自分が嫌になって、みんなに迷惑ばっかかけてたし、怪我も絶えないから本当に1度辞めようと思っていた。大会の時に桃華に辞めようかと思っていると相談した。


だけど、もう少しで引退だし今辞めたら勿体無い。それに今辞めたら絶対怜奈後悔するよ?と言われ、1度考え直し辞めることを辞めたのだ。


「でも辞めないで良かったって思ってる。」


「結局怪我絶えんくて最後はこの有様だけど、皆と一緒に部活が出来たことが1番の喜びかな?」


私は泣かずに笑顔で言い続ける


「もしこの中の誰かが怪我して無理に頑張ってたら、言ってあげてね?今無理してやったらうちみたいに後悔することになるよ、完治したら一緒に頑張ろう!って」


『はい』


後輩達が声を揃えて返事してくれたところで、私の話しは終わった。


「次にこちらを見ていただきます。」


そういうとテレビが付いた。


動画のようだ。私たちの部活をしている姿や、後輩達のメッセージが歌詞に合わせて流れている。


1第目が終わったのでもう終わりかと思ったが2第目まで続いていた。


その2第目は一人一人に向けたメッセージが流れた。


自分へのメッセージを見た人は涙を浮かべる。


私へのメッセージにはこう書かれていた。


『怜奈先輩はいつも一生懸命で負けず嫌いで私たちの憧れでした。怪我してもドクターストップかけられるまで部活する姿は格好良く、でも心配でした。辛い時とか陰でこっそり泣いていたの知ってます』


それこっそりじゃないじゃん笑と思いながら続きを読む


『最後の大会は両足肉離れで絶望的なはずなのに、諦めることなく強い相手にも立ち向かっていた姿に私たち全員心を奪われました。そのせいか運ばれた時はとても怖くて皆で泣きながら見送りました。その日に先輩の笑顔を見た時、ホットしました。』


周りのこと見えてなかったけど皆に本当心配かけちゃったな


『怜奈先輩のように、一生懸命諦めないで立ち向かっていきたいと思います!また顔出してくださいね(^-^)』


タオル持ってきて良かった、もう顔ぐちゃぐちゃ…


動画が終わり、最後に後輩達からプレゼントを受け取った。


そして皆で集合写真を撮り解散となった。


「写真撮ろ!」


私は後輩皆と1人ずつ写真を撮った。


帰ろうとすると、誰かに荷物を持ち上げられた。


「持つよ」


優大だった。


「ありがと」


「お前泣いたん」


「何で?」


「目と鼻真っ赤やったから」


「見てたん!?」


「おー、泣いとる姿も」


恥ずかしい…泣き姿を見られるのはどうも慣れない


下へ行くとお母さんが待っていた。


「おかえり、荷物ありがとうね」


「いえ、じゃあな」


「うん、ありがとう」


そう言って別れた。


「優大くん、いい子やね」


「うん」


貰った写真を見ながら私は帰った。

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