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中途半端のろくでなし  作者: 海深真明
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番外編1

唐突ですが…番外編です。


菅野:どうも菅野です。小野の高校時代の同級生です。腐れ縁? まぁ、そんな感じです。本日はよろしくお願いします。


名蔵:どうも名蔵です。菅野と同じで小野の友人やってます。本日はよろしくお願いします。


小野:小野です。悟郎の兄をやってます。本日はよろしくお願いします。


名蔵:お兄さん、「兄をやってます」って、早速かましてくれますね。


菅野:今回は、本編にあまり登場しない人物たちにもスポットを当てようという、政策的な配慮によりこうして駆り出されているわけですが…


名蔵:せっかく拾ったのに! スルーですか?! 鬼畜ですか?!


菅野:まぁ、馬鹿は放っておいて、さくさく進めていきましょう。進行は私、菅野が務めさせていただきます。


名蔵:ひどい! ひどすぎる! せっかくこうして出番をもらって頑張って行こうと思ったのに!


小野:はしゃぎ過ぎなんだよ。


菅野:まぁまぁ。その辺にして話を進めましょうよ。名蔵がはしゃぐのも無理ないですよ。お兄さんは悟郎との再会の場面で出番ありましたけれど、我々二人は名前だけで、出番自体はカットされてしまいましたからね。


名蔵:そうなんですよ! 我々も悟郎がこっちに帰ってきてから会っているのに! ひどいですよ! 横暴ですよ!


小野:はいはい。申し訳ございませんでした。名蔵さん拾ってくださりありがとうございました。


名蔵:なげやり?! でも、そんなところが…ぽっ。


小野:誰だよ! こいつ呼んだの。流石に切れそうだよ。話が全然進まないじゃないか。


菅野:こらえてください、お兄さん。こういう環境の中で悟郎が生活している、ということが分かっていいんじゃないですか? 話って言ったって、どうせテーマは「我々から見た悟郎」って、悟郎の話ですから。


小野:…。菅野くんって大人しそうに見えて何気に辛辣だね。


名蔵:そうなんですよ、お兄さん。菅野って大人しそうに見えるでしょ? でも、結構むっつりなんですよ。巨乳好きで…


菅野:お前、本当ひどいな。かばってやっているのに、双方向にけんか売っていくスタイルか?


小野:菅野くん、二人で進めていこうか? 名蔵は放っておいて。


菅野:そうしましょう、お兄さん。


名蔵:…。


小野:俺は肉親だから後回しにして。菅野くんから見た悟郎は?


菅野:そうですね。1年のときに知り合って、学校ではよく話をしましたが、学校が休みの日に一緒に遊んだということはあまりなかったんですよね。家には何度かお邪魔させてもらったことはありますが。部活が違った、というか、僕はずっとバスケをやっていましたが、悟郎は部活に入ってませんでしたよね? 平日も休みの日もずっと道場に通っていて、遊ぶ暇がないような感じでしたね。なので、僕からみた悟郎と言うと、先ず、いつも忙しそうな奴って感じになりますね。


名蔵:そうそう、休み明けに話をしても、昨日は山で稽古をしていたとか、そんなのばっかりだったよね。


菅野:あれ? まだいたの?


名蔵:そろそろ泣いちゃうぞ? 泣いていい?


菅野:うそうそ。では、名蔵さんからみた悟郎はいかがでしたでしょうか?


名蔵:まぁ、変な奴だったよね。一度さ、何人かで電車に乗って初詣に行ったじゃん。そのとき、あいつだけ現地で合流して初詣のあとそこで別れたからね。自転車で往復したって言っていたけれど、50キロはあったんじゃないのかな?


菅野:そうそう、そんなこともあったね。あれだろ? 先生の教えで、電車は原則使わないっていうのだろ。電車以外にも、エスカレーター、エレベーターはもちろん、自動車もだめだという話だよね。例外的に、変速機のついていない自転車はOK、冠婚葬祭はOKとか聞いた気がする。修学旅行は流石にお目こぼししてもらったそうだけど。そうすると家族の行事も大変だったんじゃないですか?


小野:そうなんだよね。流石にこの年になって家族旅行ってのはなかったんだけど。家族の誕生日とか、外に食べに行くとき、両親と俺が車に乗って、悟郎だけ自転車っていうのが何回かあった。そのうち、両親は悟郎に気兼ねして近所の店にしか行かなくなったんだよな。それに、悟郎は予定が何だかんだ詰まっていて、あいつの予定に合わせて出かける、ということが多かったな。


菅野:それは大変でしたね。


小野:思い出した! 俺の誕生日を祝おうって、やはり外に食べに行くってなったんだけど、悟郎の予定が合わずに、結局先延ばしになって。実現したのが一月後、なんてこともあった。流石に腹が立ったから、お前いい加減にしろって怒鳴ったら、悟郎は仕方ないじゃんって答えやがったな。ごめんとか謝ればまだ可愛げがあるのに。だから、ごろつきなんて言われるんだ。


名蔵:へぇ、初めて聞いた。ごろつきなんていつ呼ばれてたんですか? 中学生のころですか?


小野:まぁ、俺が呼んでただけだけど。


名蔵:なんだ。今度試しに呼んでみよ。


小野:止した方がいいと思うよ。


名蔵:何でですか? 殴りかかってくるとか?


小野:武術をやっているから流石にそれはない。すねるんだよ。それがまた鬱陶しいんだ。「僕は兄さんの名前をいじったことはないのに、兄さんはそんなひどいことをするんですか」とか言って。


菅野:それは鬱陶しいですね、見てみたいですけど。


名蔵:それにさ、修行の一環とかで、天狗みたいな下駄で学校に通っていたこともあったね。半年ぐらい?


菅野:一本歯の高下駄ね。身長は普通ぐらいなのに、あのときはやたらと長身に見えたよね。後は…いつも磐境と一緒にいた印象がある。3年もあれば、けんかしたとか、別れたとかあるじゃないですか。そういうのって一切なかったんですよね。


名蔵:いつも一緒にいるのに、付き合っているって感じしなかったよね。かといって友達同士って感じでもなかった。


菅野:そう。強いて言うなら、熟年夫婦って感じかな。


小野:磐境さんね…。


名蔵:何かあるんですか?


小野:悟郎が家を離れたから最近はあまり見かけないけれど、ちょくちょく家にいたんだよ。


名蔵:えっ?! それって二人部屋に籠もって×××とか?


小野:そう言うんじゃないんだよね。第一、悟郎がいないときも結構あった。うちの母親と買い物に行ったりとか、食事を一緒に作ったりとか。


名蔵:嫁じゃん!! お兄さん、義妹じゃん!!


小野:不思議とそういう感じでもないんだよな。強いて言えば、ともだち? 娘?


菅野:恐るべし! 磐境美緒!


小野:恐ろしい、か。そうだね。磐境さんってもっと勉強できると思うんだけれど。


名蔵:うちの高校って自分で言うのも何ですが、進学校ですよ。磐境さんはその中でもいつも上位にいたはず。


小野:言っちゃあ悪いが、ローカルな進学校だろ?


菅野:まぁ、お兄さんに比べたら。


小野:俺の話はいいんだよ。でさ、悟郎にレベルを合わせている。そんな感じ。


菅野:悟郎はあまり勉強してなさそうなのに、それほど成績は悪くなかったですよ。名蔵よりも上位にいたはず。


名蔵:俺の話はいいんだよ。俺の話は。


小野:真似するな。


名蔵:すみません。調子に乗ってすみません。


小野:進学先だけどさ、本人次第ではあるけれど、もっと上位を狙えたと思うんだよね。高校で言えば、俺の母校とか。大学も同様に。それこそ、悟郎に合わせたんだよね。それに、悟郎もさ、あいつの中学のころの成績知ってる? いや、知らないか。到底、あの高校に受かるレベルじゃなかったんだよね。あいつが中学2年のとき、母があいつの通知表見せてきてさ、どうにかしてくれって言うんだよ。けれど、一目見て勉強をやる気がないのが分かるような成績なわけよ。本人にやる気があれば、持って行きようはあるのに、本人にやる気がなければどうしようもない。首に縄つけて勉強させるわけにいかないし。そのときはたまたま帰省していたけれど、俺は普段家にいないし。第一、俺の勉強の邪魔になる。


名蔵:お兄さんって結構シビアですよね。


小野:シビアというか、何だろう? 住む世界が違うというか。あいつが好きで刀を振り回して、野山を駆け回るのは勝手だが、その尻拭いを俺にさせないで欲しい。大体、うちの両親はあいつに甘いんだよ。


菅野:次男坊って全般的にそういう傾向ありますよね。


小野:そうなんだよ。話は少しそれるが、あいつがグアム行ったのって知ってる?


名蔵:3年に進級する前の春休みでしたね、確か。チョコとコーヒーをお土産にもらいました。


小野:グアムで何をしてたかは?


名蔵:え? 観光じゃないんですか。


小野:観光じゃないんだな。道場の先生に言われて、先生の知り合いのところで銃を撃っていたそうだ。拳銃やらライフルやら。よくテレビドラマに出てくるだろ、銃を分解して組み立てさせるっていうの、あれもひたすらやれされたって言っていたな。


菅野:どこの組のもんだって感じですね。


小野:そうだろ? どこの組のもんだって感じだろ?


名蔵:2年のとき悟郎は8組でした。3年も同じく8組でしたね。


菅野:どこの組のもんだって感じですね。


小野:そうだろ? どこの組のもんだって感じだろ?


名蔵:スルーですか。そうですか。


小野:それでさ、普通の親だったら止めないか? 未成年が外国に銃を撃ちに行くなんて言ったら。ライフル競技とかそういうのを悟郎がやっているのならともかく、先生に言われたからと言って銃を撃ちに行くんだよ。


菅野:親御さんは何て言ったのですか?


小野:先生が言うのなら仕方ないね、だとさ。しかも、あいつは全然お金を貯めてないから、全額親に出してもらってるんだよ。海外旅行なんて、俺はあいつの歳で行かせてもらってないのに。


菅野:甘過ぎですね。僕がお兄さんなら切れてますよ。


小野:そうだろ? うちの両親は本当にあいつに甘い。あいつもそれを知っていて甘えるんだよな。ああいうところは、本当にいらっとする。…随分と話がそれたな。


菅野:大変興味深い話でした。それに、お兄さんには共感するばかりです。悟郎って良くも悪くも他人のことに無頓着なところがありますよね。


小野:そうだろ? 今度、食事に行こうぜ。菅野くんは未成年だから、酒は二十歳になったらお祝いに連れていってやるよ。


菅野:ありがとうございます。楽しみにしています。


名蔵:あの…僕は?


小野:ついてくる分にはいいよ、ただしお前は自腹な。


名蔵:ひどい! そういうところは兄弟そっくり!


小野:訂正。ついても来るな。


菅野:名蔵はすぐ調子に乗りますが、これでも友達思いの優しい奴なんで、許してやってください。


小野:冗談だよ、冗談。20%くらい。


名蔵:普通そこは半分じゃないんですか?


小野:ははははは。家で何回か顔を合わせたことがあるけれど、こんなに話をしたことって今までになかったよな。こんなに話が盛り上がるとは正直思わなかった。これもすべて名蔵くんのおかげだ、感謝する。


菅野:僕からも感謝するよ。ありがとう、名蔵。


名蔵:そうでしょう、そうでしょう。昔からそういうのは得意でして…


小野:それで、話を元に戻す。悟郎の成績が気がかりだと母が磐境さんにぼやいたようで。磐境さんが悟郎の勉強を見るようになったら、成績が伸び始め、知ってのとおり、尾治戸高校に受かった。


菅野:もともと地力はあると思いますけれど。それに一年くらい必死にやれば、尾治戸高校は受かると思いますが。


小野:今まで勉強をあまりしてこなかったのって理由があると思うんだよ。また、必死にやらせるのにも意識改革が必要じゃない? けどさ、そういう抵抗らしきものも特になく、気づいたら勉強に励んでいた。そういう人心操縦に長けているよ、磐境さんは。彼女が本気になったらどうなるんだろう、そういう末恐ろしさはある。


菅野:悟郎の惚れた弱みでは?


小野:そういうのを感じさせなかったってさっき自分たちで言ってたじゃん。


菅野:そうでした。


小野:けどさ、それも悟郎が帰ってきて、聞くところによると相当ハードな状況に追い込まれたようだけど、二人の関係が変わったな。


名蔵:そうなんですか? 知らなかった!


小野:悟郎が磐境さんへの恋心を自覚して、磐境さんも悟郎への恋心を隠さないようになった、そんな感じだよ。にわかに春めいた感じ。もしかしたら…まぁ無粋なのでこの話はこれぐらいにして。けどさ、悟郎も大変だよ。しかも、磐境さんとルームシェアを始めたというし、さらに別の、馬瀬さんという女の子も一緒らしいよ。


名蔵:ハーレムですか! ハーレム! 羨ましいです!


小野:そんなに羨ましがられるような状況じゃないと思うが。悟郎も大変だよ。


菅野:ええと、唐突ですが予定時間をかなりオーバーしております。お兄様から貴重な話も伺えましたし、名残惜しいのですが、悟郎への心配の声が聞かれた、ということで、今回は終わりとさせていただいてよろしいでしょうか。 


小野:いいよ。


名蔵:OK。


菅野:では、二人ともお時間をいただき、ありがとうございました。


小野:ありがとうございました。


名蔵:ありがとうございました。


小野:菅野くん、この後時間ある? 食事に行こうぜ。


菅野:ええ、喜んでお供します。


名蔵:お兄さん僕は? ねえ、お兄さん!










磐境:という対談の記録を入手したのだけれど。


菅野:どこでそれを?


磐境:どこで入手したかは重要ではないわ。ここで重要なのは、この対談の記録が事実に基づくものかどうかよ。


菅野:…。事実に基づくものでございます。


名蔵:そろそろ足がしびれてきた。正座くずしていい?


磐境:名蔵くんがいいと思うのなら、くずしてもいいのでは?


名蔵:…。ええと。もうしばらく正座していようかな。


磐境:あらそう?


名蔵:正座も集中力を養ういい訓練になるよね。


磐境:私が何を問題視しているか、菅野くんならお分かりではないかしら?


菅野:何となく。個人情報保護?


磐境:そうね。今回は大目に見ましょう。これは公表してもいいですよ。悟郎他には確認したので大丈夫ですよ。


菅野:じゃあ、問題ないんじゃん?


磐境:何か戯れ言でも言いましたか、菅野くん?


菅野:いえ、何も言ってません。


磐境:菅野くんも名蔵くんも、わざわざ足を運んでくれてありがとう。


名蔵:これだけのためにわざわざ呼び出したの? 電話でもメールでも良かったじゃん?


菅野:あ、馬鹿!


磐境:名蔵くんは誠意というものが分かっていないようね。私はこのあと2時間くらいなら時間をとれるので、納得の行くまでご説明いたしましょうか?


菅野:名蔵には僕から言って聞かせますので、磐境さんの貴重なお時間をいただかなくても大丈夫です。


磐境:そう? ならいいけど。そうそう、わざわざ足を運んでくれたのに会えなくて悟郎は残念がっていたわ。よろしく言っておいてと悟郎から。それと、こちらを渡しておくわね。


菅野:え?


磐境:折角だからついでに観光でもしていってね。それではさようなら、久しぶりに会えて良かったわ。




名蔵:びびったね。


菅野:呼び出されたときはどうなるかと思ったが、まぁこれで済んで良かったよ。


名蔵:足代やお土産代まで出してくれて、磐境さんは気が利くよね。


菅野:これまであまり知らなかった磐境さんの姿が垣間見えて面白かったな。


名蔵:本当だね。折角だからお言葉に甘えて観光して行こうよ。


菅野:観光って急に言われても…、どこに行く?


名蔵:東京タワー?


菅野:ベタだね。まぁいいか。先ずは東京タワーを目指そうか。以降の行き先は道々考えよう。

                                   <終わり>


次週も番外編になるかと。

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