すべての始まり。
今年中を目処に完結させる予定です。
アフターは未定。
何処かで読んだことあるような文章であっても、そのSSの作者にはちゃんと了承を得ています。
「ままならないよなぁ」
今日、12月23日。
僕は親友と決別する。
そしてその足で彼女と決着をつける。
『裏切りは告白のあとで。』
Chapter1-1:すべての始まり。
4月。桜が咲き乱れ散り始める季節。
4月。あらたな出会いの季節
4月。新しい物事が始まる季節。
4月はそういった盛り上がる季節なわけだが。
あろうことか僕、市井隆治はそんな季節とは対照的におちこんでいた。
受験に失敗したからね。
高校受験が総てではないというのは理屈ではわかっていても、
心は納得してくれなかったのだ。
A県にあるA高校やN高校。私立M大学付属M高校を受けたがどれも不合格。
唯一受かったのが私立A大学付属M高校。そうここである。
春休みというクッションを置いても自分の中で消化しきれなかったもやもやは、
入学式の今でも心のなかでくすぶっていた。
「新入生代表イチイノゾミ」
「はい」
へー。俺らの代の代表は小柄な女の子なんやなぁ。
つーかイチイか。んてなると櫟井か俺と同じ市井か。どっちなんやろなあ。
まるで他人事。事実他人事であり、まったくもって自分自身には関係のないお話であった。
そんなこんなで入学式はつつがなく終了した。
まあ現実ってそんなもんだよね。
***
入学式が終われば顔合わせだ。
高校デビューを決めるとかそんな邪な思いはなく、お。
新入生代表の櫟井望海か。同じクラスかよ。やりづれえなあ。
じゃなくてっと。クラスメイトの名前と顔くらいは一致させなくっちゃあな。
なんてそんな軽い気持ちで全員覚えはせども話しかけはせず。
つまるところ最悪の滑り出しになったわけである。
嘆いても時間は無情にも過ぎ去り。
体験入部期間。
我が校ではその期間の初日に先輩方が新入生勧誘を体育館で行うのが恒例であり、
僕ら新入生はそれをみてどこそこの部活見学の算段をつけたりつけなかったりする。
ちなみに僕は前者であり、勧誘を見て部活見学を決めた。
……今にして思えば、なぜ選んだのかよくわかってはいないけれども。
いまのところは、未だ後悔はしていない。
「はーい、こんにちは。演劇部の副部長のトウゴミサでーすっ。皆よろしくねっ」
「部長のサイトウ アスカです」
演劇部の部長副部長はともに女性で。
副部長は元気で部長は静かな方だった。
テンション高ェなこの人だとかうわぁ、キャラ濃いなぁなんて思ったり何だり。
したログはおれにはない。ないったらない。
漢字は藤後美沙に、斎藤飛鳥。
「ウエダ ミマナです!よろしく!」
「イマダエ ショウスケっす。よろしく!」
「トウゴ シオリ。トウゴ先輩とは姉妹じゃないよ」
「ミタライ マコ。みんなよろしくね」
「コドウ ハルナだよ~。いやあ今年も大漁大漁。豊作だねぇ」
「ええとウダケ ユイキ、です。あー、んとよろしくね」
上から熱血女、チャラ男、思慮深い女、姉貴肌、謎女、臆病男。
悪意はない。他意もそこまではない。
植田珠真、今多江章介、藤後栞里、御手洗麻子、古藤晴菜、鵜岳結輝。
今で言うDQNネームの走りがちらほらいた。
その時は未だ社会問題になっていなかったか、なったばかりである。
そんなことにリソースは割けないほどボンクラであったため、
正直自分に関係ない社会問題の事柄はよく覚えられていない。
「あ、僕からなんですね。ええと隆治っていいます。市井隆治です。おねがいします」
「ナカダ ユナです。よろしくお願いします」
「オボ シノです。よろしくお願いします」
「ニワ アイコです。よろしくお願いします」
「カンバラ ユキです。よろしくお願いします」
「加津幸喜です。おねがいします」
同期となる、新入生の印象は、
顔のパーツ整ってる、薄い、濃い、ハーフ、隣の席の子。
そうなんだよね。初めて此処でクラスメイトとマトモな会話を交わしたのであった。
仲田結菜、御戊紫帆、二輪愛子、神原ゆき。
つまり4対2で野郎の意見は封殺されることが決定した瞬間でもあった。
ガッデム!
初日の顔合わせはこれにてお終い。
***
「隆はさー本好きなのー?」
勧誘期間初日に入部したため僕ら新入生は特にやることがないため、
思い思いの行動を取り雑談や読書をしていた。
僕はもちろん読書していたわけだが。
そんな僕に結菜が話しかけてきた。
我が校の演劇部では下の名前で呼ぶことが義務付けられていた。
やめろよ!DTが勘違いしちゃうでしょ!
この子ひょっとしてとか勘違いしちゃうでしょ!
「ええ、まあ。それなりに?」
だがしかし。此処の俺は女性に絶望した状態だったため。
一匹狼気取りのロンリーウルフよ。ん?同じ意味だな。まあいい。
つまるところ、なんだァ、コイツ。何が狙いだ?
なんて。疑いの目100%で質問に質問で返したわけである。
何も問題はない。強いて言うのであれば。
疑いの目と質問に質問で返すことが同時に行われてしまったことが問題であるか。
隆ちゃんうっかりー。
「ヒッ……え、えっとね化物語って読んだことある?」
「寡聞にして知らないな。良ければ教えてくれないか?」
「んーんとね表紙が真っ赤っ赤な小説!」
んー。この子はおつむが弱いのかな、なんて思った僕は悪くないだろう。
あらすじを聞くつもりが小説の外観を語られるとは。
ここはテンプレに従って。
「そう、ですか。機会があれば読んでみますね」
「うん! にしても堅いねー」
「うん? なにが?」
「話し方ー」
「癖、みたいなもんです」
女性よけの、ね。
「ほへぇー。大変そうだね」
「そうでもないですよ。昔からこうなので」
「すげー」
昔といっても二月程前のお話なのはお口ミッフィーだ。
口は災いの元。気を抜けば語るに落ちてしまう。
こんな感じではやくも打ち解けつつあった。
僕以外の皆はね。
僕はまだ引き摺っていたから正直な所、
なんかよくわからない違和感がずーっと残っていたわけである。
なあんかチグハグだなあと。
負け犬の遠吠えでしかないことに目をつむって。
このときはまだ、自分と結菜の関係や自分と演劇部の他の人たちとの関係性に、
悩むことが来ることになるとは思いもしなかった。
一人称ブレブレになったり何だり基本的に仕様です。
誤字かどうか気になったらメッセージや感想にて。