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嘘つき山
神奈川県某山。
そこには本物の神様が出るという噂があった。
某SNSにて広がっていったその噂の山には、一時は日本中の人という人が登りに来た。
しかし、その日本中の人々が誰一人として神様を見なかったことから、神奈川県の観光客を集めるだけの戦略だったと、神様が出ることに肯定的だったメディアでさえその山に見切りをつけた。
それが十年ほど前のことである。
観光客は激減し、残ったのは観光客が捨てていったごみたち。ボランティアたちは何度行ってもごみが溜まっている光景に疲れ果て、一人一人とやめていく。
そして山には嘘つき山という不名誉な渾名が付いた。
そんな嘘つき山に男が一人、山を駆け上がっていく。息を切らし、足が縺れそうになりながらも走る、走る。
男が後ろを伺うと猪が一頭、追い掛けてくるのがわかる。男に何かされたのだろうか、猪はとても怒っているようだった。
「かはぁ、は、何でこんな目に!」
男の目には涙が浮かんでいた。
妄想してたらこんなのができました。




