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偽った年齢

夜でも人が途絶えることがない、交差点にて。


「いやいや、だからってなんで私が」


西島真由は駅前に立っていた。というよりも、立たされている、といったほうがいい。

普段メイクなどしない真由はOL風に変わっていて洋服も大人っぽい服を着ていた。

……と言うのも、そもそも真由は女子高生であった。





事の発端は、数時間前にのぼる。


『真由ちゃん!一生の頼みよ。』

『その一生っていう言葉、今までに何回聞いた?』

『まーまー!そんなことは置いといて、ね?』


どうやら姉は間違って合コンをダブってしまったらしく妹の前で手を合わせていた。


『やだよ。高校生が社会人になれるわけないもん。』

『ふっ、甘いわ。甘すぎるわ!見てなさい!』


………そんなことで、無理矢理メイクされてこんなところにこさせられたのだ。


確かに流された自分も悪い。けれど、合コンを引き受けるだけ受けといて自分のスケジュールも管理出来ない姉の方がもっと悪いと思う。真由は後悔していた。


「あ、真由ちゃん?」

「…あ!は、はい!」


待ち合わせ場所に来た一人の女の人は手を振ってこちらにやってきた。事情を知っている姉の友達だ。右目の下にホクロがありなんとも色気のある女性だった。


「あいつから話は聞いているわ、私もちゃんと叱っておいたから。」

「…本当に申し訳ないです。」

「ま、今日は楽しんじゃいなさいよ。これも人生の経験、と思ってね」


姉の友達、加賀恵梨香さんと話をしながら目的の場所に行く。姉の馬鹿話だったり、姉の愚痴だったり、気を使ってくれているのか笑い話が多かった。


「…ついたね」


歩みが止まると目の前におしゃれなドアがあった。


「いい?真由ちゃんの設定は説明したとおりよ」

「はい、しかと記憶しています!」


真由のだいたいの設定はこうだ。

・姉と一緒の職場

・姉と同じ年、25歳

・恵梨香さんとは親友

まぁ、ほとんど姉と一緒だ。その代わり、同じ姉妹として覚えやすいという利点があった。


「大丈夫よ、私がついてる。それに私の友人ももう二人いるし」


真由が恵梨香さんの言葉に微笑むととたんに恵梨香さんは戦闘態勢に入った。…今回は上玉らしく、ねらっているんだとか。


「いらっしゃいませー」


定員の明るく掛け声が聞こえると恵梨香さんを呼ぶ声が聞こえた。


「あぁ、とーこ、まーちゃん。お待たせー」

「あ、その子が真由ちゃんね。」

「よろしくー」


どうやら男性陣はまだらしく先に”とうかさん“と”まいさん“がきていた。恵梨香さんの親友で同じ大学だったんだとか。


女4人で軽くしゃべっていると遅れてきた男性陣がやってきた。

仕事帰りだからか、スーツをビシッと決めている。


「よろしくお願いします」


恵梨香さんの言葉で始まった、合コン。真由は緊張しながらメニューを見て、とりあえずソフトドリンクを注文した。

それから料理が来るまでの間お互いに自己紹介をし、8人で会話する。


「西島さんはお酒飲まないの?」


真由の真正面に座っていた、道東彰は笑顔で話しかけてきた。


「え、と。……お酒、弱くて」

「そうなんだー」


未成年なんで、とは言えない。心の中はバレかないかドキドキだった。


「…あの、あっちに混ざらないんですか…?」


あっち、とは真由と道東さん以外の賑わっている6人の方だ。


「君こそ混ざらないのかい?」

「わ、私…?……私はいいんですよ。」

「じゃあ、俺もいいよね?」


何なんだ、この人。

口が引きつりそうになるのを必死に抑え、とりあえず笑顔で済ます。

恵梨香さん!助けて…!

チラチラと恵梨香さんに視線を送るものの、恵梨香さんはお酒を飲み前の男の人と仲良くなっていた。あれはもう狙っているに違いない。ということは、助けは望めないことになる。


「西島さん、この後一緒に抜けれる?」

「……へっ??」


ニコッと笑う道東さんは焦る真由を楽しそうに見つめていた。



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