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神様が出現しました。

気がつくと、目の前に男がいた。

身長は180ありそうだが、いかんせんガリガリで紙みたいに薄っぺらい印象を受けた。

着ている物はボロいジャージの上下で、気怠そうな表情をしている。

髪はボサっとしていて、一週間前に切っておくべきだったという感じの長さになっている。

十人中九人が抱くであろう第一印象は、「いかにもな引きこもりのニート」だと思う。後の一人は知らない。

僕は彼に自宅の布団に寝かされていたようだ。


ズキン


「うっ…」


さっき殴られたところが痛む。


「大丈夫ですか。」


目の前のガリガリ男が言う。

大丈夫ですか、じゃねえよお前が殴ったんだろ。

ぼんやりした頭で、僕は今までに起こったことを振り返った。







「起立、礼。」


チャイムが鳴り、授業が終了した。

僕、七瀬七は学校から徒歩で二十分ほどの家へ真っ直ぐ帰ろうとした。

七なんて女みたいな名前だが、もちろん男だ。

チビで運動神経皆無で女顔だが男だ。

いつも初対面の女子に「七ちゃんっていうんだ~かわいいね~」とか言われるが男だ。

…何熱くなってるんだ、僕。


「ねえねえ太郎、今日デートしない?」


「昨日もデートしたろ?花子。」


「ええ~?デート、イヤ?」


「イヤなわけないだろ。」


うるさいリア充共くたばれそして爆発しろ


まあ、どうせ先程の太郎アンド花子カップルなんかすぐ終わるだろうからいいか。

所詮は若気の至り。さっさと別れてしまえ。

中学校というものは厄介で、「初々しい恋人達」が見れるという素敵仕様になっている。

僕は十四年間女と喋ったことがほとんどない。(母は除く。)

よって、女性経験は無いに等しい。

あとコミュ障なせいで、友達いません。はい。ぼっちです。

それと僕は帰宅部である。

だから、放課後は部活に勤しみ、友との友情を育むという機会が無い。

まあ、帰宅部なのは家庭の事情とかではなくて、ただめんどくさいからなのだが。

イジメは受けていないが、僕はクラスでは空気である。

でも、僕は望んでぼっちでいる。

友達なんてめんどくさい。僕は一人でいい。

・・・カッコいい感じに言ってるが、内容は全然カッコよく無い。

なんか虚しくなってきた。うん。もう帰ろう。




そして、僕は帰宅した。

幼い頃から僕の両親は共働きで、家にいないことが多い。

よって、僕は自然と鍵っ子になった。

それを寂しいとか、悲しいとか、そういうふうに思ったことは無い。

とりあえず僕は鍵を開けて、自宅へ入った。


ガチャリ


「ただいまー。」


もちろん、「お帰りなさーい。」なんて返ってくる訳が・・・


「お帰りなさーい。」


あった。

目の前には、長身痩躯の男がいた。


あれ、こんな人知らないよ、僕。


これ、アレかな?いわゆる不審者とかいうやつかな?


と、思った途端、僕は行動を開始した。よし、これならやれる。


「ウワアアアアアァア!フシンシャダッ!ケーサツ!ケーサツクダサイ!ダレカアッ!」


だが、僕の中で思い描いていた「冷静に台所へ行き、スマートに受話器を取り、クールに110番通報する」

という策は、見事に実行されず、代わりに情けない叫び声が上がった。


「すいません。お先、いただいてます。」


何をいただいてるんだよアンタ。


「ウワアアアアアァア!ゴメンナサイゴメンナサイ!」


「あのー」


「ウワアアアアアァアァアァァァ!」


「あ、これちょっとヤバい感じですね。少し失礼します。」



ドゴッ



目の前の不審者は、僕のみぞおち目掛けて華麗に拳をスイングした。


「ぐぁっ!!」


つまり、殴られた。

そして、不審者が僕を抱きとめたのを最後に、僕の意識は途絶えた。







で、冒頭に戻る。


「すいません。警察に通報されないためにはこれが一番手っ取り早いと思いまして。」


ごめんで済んだら警察いらねえよ。

だが、突っ込んでも僕が危険な状態にあることに変わりはない。

また、警察を気にしたことで、さらにこの不審者が危険だということがわかった。


「だっだだだ誰ですか⁉︎何なんですかアンタ⁉︎」


すると、目の前の不審者は、こう言った。


「神です。」

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