笑顔の裏側
「それじゃあ!今日の『わらってにこにこあっぷっぷ』はここまで。ばいば~い♪」
と、俺が愛想良く手を振ると、監督から「OK」の合図が出た
「お疲れ、よしひろお兄さん。今日もなかなかの笑顔っぷりだったよ」
と俺の肩をたたく
「そうですか!ありがとうございますっ!」
と返事をすると俺は楽屋に戻る。
「・・・あー疲れた。あーうぜぇ」
楽屋に戻ると俺はそうつぶやいた。
オコサマ向けの教育テレビに就職したはいいものの
急遽「お兄さん役」の奴が出られなくなって、俺が代役を務めることに
正直、ガキは嫌いだ
ぎゃーぎゃー騒ぐし、大人の言うことはまともに聞かないし(おっと、これは大人にも言えることか)
しかも、この番組に出ることになって、恋愛がNGになった。
よって彼女と別れる・・・というか、番組が終わるまでの期間限定の破局になったが
その間に彼女が別の男に惹かれる可能性だってある。
このクソ番組のせいで、俺の人生めちゃくちゃだ
そのとき
コンコン・・・
ドアをノックする音が聞こえた
「あっ、はい!どうぞ~」
俺は再び「よしひろお兄さん」の顔に戻ると、そう返した
「失礼しまぁす・・・」
そう部屋に入ってきたのは、同じ(クソ)番組に出演している「まゆこお姉さん」
「真由子さん。どうしたんですか?」
俺がそう聞くと、真由子さんは手に持ってるバッグからあるものを広げた
「ちょっと・・・ここでお酒飲んでいい?」
そのあるものとは、ビールやら発泡酒やら、様々な酒類だった。
「え?いいですけど・・・なんでここで?」
「えっと・・・今マネージャーさんが楽屋に来てて・・・あまり飲みにくくて」
だからといって、「お兄さん」の部屋に来るのもどうかと思うが・・・
俺がそう言おうとしたとき、真由子さんが顔を赤らめながらこういった
「それに・・・よかったら佳宏さんとお酒飲みたいな・・・って」
「え・・・」
・・・子供番組も、悪いことばかりではないようだ。
ちょっとマニアックに「教育番組に出演するお兄さん」を描きました。笑