聖職者のきまぐれ
「あのねぇ・・・どうやったら6点なんてとれるの?」
「知るかよ・・・お前、もっと簡単なテスト作れよ」
「ちょっと!もう『再々再々テスト』なのになにが『簡単に作れよ』よ!!」
私は、×だらけの真っ赤なテストを机に放った
彼は、きっとちゃんと真面目にテストを受ければかならず良い点を取る
私はそう確信していた
だからこそ、こうして『再々再々テスト』を受けさせている
高校の数学教師になって2年目の春。早くも問題児にぶつかった
中間テストも、期末テストもすべて赤点。
何度補習をしても、気がついたら寝てしまう
必ず、この子は出来るのに・・・・
「あのね、『sin60°=』の答えがなんで『さいんろくじゅうど』なのよ!」
「え?これ読み方を答える問題じゃないんすか?」
「当たり前でしょ!そんなのサルでも出来るわ!」
「へぇ、サルってニホンゴ出来るんですか、初耳~」
「揚げ足取らない!」
「あ、すみません。答えに『いこーる』が抜けてましたね」
「そういう問題じゃないっ!」
この半年で、教師達の努力の末。彼の赤点はなくなった
・・・私が担当する数学を除いては
「あのさ、国語も英語も理科もぜーんぶ100点とれてるのに、なんで数学だけ6点なわけ!?」
「なんでだと思う?」
「なに?何か理由でもあるの!?」
私は、自分の教え方が悪くないかを頭の中で確認した
彼以外の子たちは、平均点ちょっと上をキープしている。
生徒達も私に親切に接してくれているし、何も問題は無いはず・・・
そう思いを巡らせていると、彼は私の方に顔を近づけてこういった
「・・・あんたとマンツーマンで補習受けたいから」
「・・・・・・・・・・え?」
「さて・・・『再々再々再テスト』期待してますよ、鎌田センセイ?」
「え・・・あ・・・はい・・・・」
彼は、いたずらそうな笑顔を浮かべて、教室を去っていった
再々再々再テスト・・難しめに作っておこうかな
なんかベタ過ぎましたね、スミマセン(ノ_<。)