なきむし
小学生低学年のころから「泣き虫」というあだ名をつけられていた。
とは言うものの、別に「何かあったらすぐに泣くから」という理由でつけられたわけではなく
ただ単に、目の下にほくろがあり「泣きぼくろ」から「泣き虫」に転換しただけだった
そしてこのあだ名は、後にいじめへと発展していった。
中学生になると、私立に通うことになったからか、友人が大幅に変わった
そして一部のクラスメイトから「泣き虫」と呼ばれている俺は、本当の泣き虫と勘違いされ
「本当に泣き虫なら、それは改善しなきゃいけねぇな」
という理由で、陰口を言われるようになったり、教科書に落書きをされたり・・・
挙げ句の果てには、家を燃やされた。
ん?やけに簡易に言うことにたいして疑問を抱いているのだろうか?
なぁに。家の焼失など、教科書などの直接的攻撃に比べれば幼稚なもの。
もちろん、そのとき家にいた両親・弟妹は皆死に絶えたが。
だがこの経験のおかげで俺は、今『殺し屋』という冷徹な心を必要とする職に就いている。
日本で『殺し屋』というのはあまり聞き難い職業であろう。
ところが、世界にはそれぞれの『お国柄』というものがあり、K国では殺し屋(K国でいう“終人”)の存在を黙認している。
時にはK国政府からの要請もあるほどだ。
俺は前述の自宅焼失から、施設に預けられ、そこで出会った紀興という男とその施設を逃亡し、行き先も知らぬ貨物船にもぐりこみ、K国にたどり着いた。
K国到着後、さっそく見つかった俺たちは、政府直属の終人として生活している。
・・・「政府直属」とついているかついていないかで、生活の裕福さが大きく異なるのは周知の事実。
現在は、政府のある裏切り者の始末を仕っている。
その裏切り者は、政府の人間でありながらも、政府の独裁政治を断ち切るべく、反政府側に政府の情報を漏洩させたとして、政府より死刑が下されていながらも脱走を試み失敗した男である。
・・・そう、おまえだ。紀興。
おまえは外国人でありながら終人の才能を称され、ついには外国人初の国務大臣にまでのぼったが、俺はおまえみたいに起用な人間ではなかった。
そんなおまえをついに殺す指令がくだされたのだ。
わかるな?おまえは亡命に失敗した。おまえはいまから殺されるのだ。
・・・何を泣いている?
旧友の俺に殺されるのが嘆かわしいのか?
・・・なに?「おまえも泣いている」だと?
そんなの、当たり前じゃないか
俺のあだ名は「泣き虫」なのだから。
泣きぼくろから政府の事情までたどり着いた意味不明なものになりました。笑