おっきい犬をもふもふしたい
再びガウラくんに手を引かれ、キャンプ場を後にする。
キャンプ場のすぐ近くには噴水公園があった。
公園の真ん中にある、1番大きい噴水の周りはたくさんのベンチで囲まれていて、いつでも休憩できそうだ。ただ、その中の一つに僕と同じくらいの大きさの猫が寝ているのはちょっと怖いけど。
さらには街灯まである。電気をどこから持ってきているのか、そもそもこの「島」に電気なんてあるのかもわからないけど、ちゃんと灯りがついている。あれもこの「島」の不思議パワーなのだろうか。これだけ不思議なことが起きてるんだ、もしかしたら魔法もあるのかもしれない。
魔法に詳しそうな人とかいないかな、いなかったらリンドウかアイリスさんに訊いてみよう。ガウラくんは…知ってたとしても多分教え方がすごそうだからいいかな、なんてことを考えながら石畳で舗装された道を歩く。外周を流れる川より内側には、ちゃんと道が敷かれているようだ。
噴水公園の出入り口にある上のとこに何かの動物の耳のようなものがついてる半円形のアーチをくぐる。アーチのすぐ側には屋台が一つ。店員さんは人でも獣人でもなく…2匹の犬だ。それも僕どころかリンドウと同じくらいの大きさの。この島の動物はみんなこれくらいのサイズ感なのかな、そう思って周りを見回してみると、狐や狸、鳥がいたが、狐と狸はどちらも僕くらいの大きさだった。でも鳥は僕サイズより小さい、というか現実的な大きさだった。この違いはなんだろうかと思うが、今考えたところできっとわからないから諦める。
見たところたこ焼きや焼きそばを売っているみたいだけど、何を支払えばいいんだろう。
「ねぇガウラくん、この屋台の売り物は何を払えば買えるの?お金?」
「おかね?なにそれお菓子?」
「え?この「島」お金ないの?」
「うーん、おかねっていうのはよくわかんないけど、あのわんちゃんたちをいっぱいなでなですれば食べさせてもらえるよ!」
へぇ、そんなんでいいんだ。むしろおっきい犬をわしゃわしゃできてご飯も食べれるなんて得でしかないじゃんと思うけど、それで満足してくれるならそれでいいのだろう。そういえば犬の手でどうやって調理してるのも不思議だ。まだ1日目というのもあるけど、それにしたってこの「島」にはわからないことが多すぎる気がする。まぁそれもきっと後でわかれる、はず。
道のまっすぐ先には円形のステージとベンチがある広場が見える。広場の四隅には柱のようなもの
が立っていて、なんとなく神聖な感じがする。
他にも色々な場所があるみたいだけど、木が邪魔でよく見えない。後で探検してみたいな、と思っていると、木々で覆われた一本道に出た。その先には、家のドアが見える。
「ここだよ!」
とガウラくんはぼくの手を掴んだままドアに駆け寄る。コンコン、と軽くノックした後、
「お邪魔しまーす!」
と言いながら豪快にドアを開け放つ。
「今日も騒がしいのね。この子は?」
と出迎えてくれたのはぼくたちほどとまではいかないけど小柄な、でも翼は身体を覆うほどある、女性の鳥獣人さんだった。




